フィリピン海軍の当局者は、マニラとワシントンが合意し、2026年に500回を超える合同の軍事・安全保障演習を実施する計画だと明らかにした。演習には、両軍が参加する大規模合同演習「バリカタン(Balikatan)」のほか、海上での協同行動や空中での訓練が含まれる。
軍関係者によると、こうした動きの背景には、中国が2027年までに台湾に対する軍事準備を完了させるとの目標を掲げているとされる点があるという。フィリピン側は、台湾海峡や南シナ海をめぐる情勢の変化に対応できるよう、事前に必要な備えを進める狙いがあるとみられる。
現地メディアのABS-CBNは、フィリピン海軍の報道官であるロイ・ビンセント・トリニダード少将が、これらの演習計画は両国の最高レベルで構成される「相互防衛委員会・安全保障関与委員会(MDB-SEB)」の承認を受けていると説明したと伝えた。
実施が予定されている協力項目には、年次の大規模合同軍事演習「バリカタン」、海上協同行動(MCA)、空中訓練、軍事専門家交流(SMEE)などが含まれる。また、価値観を共有する国々の参加も想定しているという。
Philippines, US to conduct over 500 military activities in 2026 as Taiwan concerns risehttps://t.co/KBnFFDTRN2
— ABS-CBN News (@ABSCBNNews)February 11, 2026
MDB-SEBは、「米比相互防衛条約(MDT)」の履行を目的に設けられた中核的な枠組みである。同条約は、米国またはフィリピンのいずれか一方が「武力攻撃」を受けた場合、双方が共同防衛を発動することを定めている。
フィリピン軍の高官の一人は匿名を条件に、今回の一連の軍事的な対応は臨時の判断ではなく、戦略的な評価に基づくものだと説明した。そのうえで、マニラは2026年を「重要な節目」と位置づけているとし、中国指導部が人民解放軍に対し、2027年までに台湾に対する軍事行動に必要な準備能力を整えるよう目標を示しているとの見方が背景にあると述べた。
高官はさらに、こうした動きは、台湾情勢や地域の安定を揺るがす事態に対する抑止力として機能するとの認識を示した。

フィリピン軍は記者団の質問に対し、今年予定されている一部の演習内容について、すでに「リハーサル(予行演習)」と位置づけていると一時明らかにした。この表現は、今後の情勢をめぐりさまざまな憶測を呼んでいる。
台湾海峡で衝突が発生した場合の波及リスクも、フィリピンが強い関心を寄せる理由の一つである。台湾とフィリピンはバシー海峡を挟んで向かい合う地理的関係にあり、台湾には20万人を超えるフィリピン人労働者が常時滞在している。仮に台湾海峡で武力衝突が発生すれば、大規模な退避が必要となる可能性がある。
匿名の政府高官は、こうした「潜在的な需要」を踏まえ、政府は北部地域で主要なインフラ整備を進めていると説明した。フィリピン最北端に位置するバタネス州とカガヤン州のバブヤン諸島では、避難者の受け入れを想定した事前準備が進められているという。

一方で、武力衝突の状況下で安全な退避作戦を実施することは容易ではない。このため、フィリピン国軍(AFP)は近年、「非戦闘員退避作戦(NEO)」の訓練を繰り返し実施してきた。将来的に発生し得る事態に備えるのが目的である。
退避任務は軍が計画を策定し、実際の輸送は商船や民間航空機が担う。フィリピン国民の退避を最優先とするが、緊急時には他国籍の人々も受け入れ、あわせて退避させる可能性があるとしている。
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編集:丁勤紜、小田菜々香 (関連記事: 中国軍トップを「壊滅的粛清」 台湾・李逸洋駐日代表、2つの危機に警鐘「軍事行動で内部矛盾転嫁の恐れ」 | 関連記事をもっと読む )

















































