トップ ニュース 黎智英氏への懲役20年判決で露呈した「一国二制度」の崩壊 「香港の経験は痛烈な警告」頼清徳氏が猛反発
黎智英氏への懲役20年判決で露呈した「一国二制度」の崩壊 「香港の経験は痛烈な警告」頼清徳氏が猛反発 香港高等法院は、国家安全維持法違反などの罪で、香港メディア「壱伝媒(ネクスト・デジタル)」創設者の黎智英(ジミー・ライ)氏に対し、懲役20年の判決を言い渡した。(資料写真、AP通信)
香港メディアグループ「壱伝媒(ネクスト・デジタル)」創業者、黎智英(ジミー・ライ)氏ら9人と、かつての日刊紙『蘋果日報(アップル・デイリー)』関連企業3社が香港国家安全維持法(国安法)違反に問われた裁判で、香港高等法院(高裁)は9日、西九龍裁判法院にて判決を言い渡した。裁判所は黎氏を一連の共謀における「首謀者かつ推進役」と認定し、量刑の起点を引き上げた上で懲役20年の実刑判決を下した。この判決は国際社会に大きな波紋を広げている。
これを受け、台湾外交部は10日午後に声明を発表し、中国政府および香港政府が国家安全を名目に、再び香港市民の自由と人権を弾圧・迫害しているとして、国際社会に対し共同で厳しく非難するよう呼びかけた。
「首謀者」認定で量刑加重、国安法で最も重い判決 香港の裁判所は昨年末、黎氏が問われていた2件の「外国または境外勢力と結託し国家安全に危害を加えた罪」および1件の「煽動出版物の発行等に関する共謀罪」について有罪判決を下していた。
香港高等法院の指定裁判官は昨日、判決理由を説明し、関係する被告の中で黎氏に最も重い懲役20年を言い渡した。裁判官は、黎氏が各共謀における首謀者であり推進役であったと指摘し、これを理由に量刑の起点を引き上げた。香港国安法では、外国勢力との結託による国家安全危害罪は通常3年以上10年以下の有期懲役だが、罪行が重大な場合は無期懲役または10年以上の有期懲役が科される規定となっている。
英外相「終身刑に等しい」 国際社会から非難殺到 判決を受け、国際世論は騒然となった。英政府公式サイトによると、イベット・クーパー外相は声明で、英国民である黎氏が言論の自由を行使したことで政治的動機に基づく訴追を受け、懲役20年の判決を受けたことについて、「78歳の黎氏にとっては実質的な終身刑に等しい」と強く非難した。また、北京当局が香港で国家安全法を強行実施し、中国への批判者を沈黙させていると指摘した上で、香港当局に対し、人道的立場から黎氏が受けている過酷な苦難を終わらせ、釈放するよう改めて求めた。
このほか、米国のマルコ・ルビオ国務長官や日本の木原稔内閣官房長官らも相次いで声明や見解を発表し、懸念を表明している。
懲役20年の実刑判決を受けた香港メディア「壱伝媒」創設者の黎智英氏。(資料写真、AP通信)
台湾外交部「即時釈放を」 自由と人権の侵害を糾弾 外交部はさらに、中国および香港政府による今回の措置が国際的な人権規範に違反し、国際法の精神にも適合しないと指摘。個人の身体的自由を明白に剥奪し、言論と報道の自由を蹂躙するものであり、ひいては為政者に説明責任を求める国民の基本的権利を否定するものだと批判した。一連の事態は、北京当局が自由と人権を無視し、その侵害が極限に達していることを示しており、国民に対して「萎縮効果(チリング・エフェクト)」を与えようとする意図が浮き彫りになっていると強調した。
その上で、国際社会に対し、香港の民主主義・自由・人権状況を引き続き注視し、中国に対して迫害行為の即時停止を求めるよう再度はたらきかけた。台湾としても、引き続き友好国やパートナーと緊密に連携し、自由と民主主義の防衛線を共に守り抜くとしている。
頼清徳総統「香港の経験は痛烈な警告」 一方、台湾の頼清徳総統は同日午後、SNSを通じて声明を発表し、「台湾は黎智英氏および自由を守るすべての人々と共にある」と連帯を表明した。頼氏は、黎氏が国安法によって懲役20年の重刑を科されたことについて、「この判決は、中國が主張する『一国二制度』がもはや形骸化し、名ばかりであることを改めて証明した」と批判した。司法が身体の自由を奪い、言論と報道の自由を弾圧し、国民の問責権を否定する道具に成り下がったとの認識を示した。
頼氏は、黎氏が長年自由に声を上げ続けた代償として、5年以上もの勾留と2年に及ぶ審理に耐えることになった現状を指摘。これは中国当局が『中英共同声明』を反故にし、萎縮効果を生み出そうとしている証左であり、国際社会が支持する普遍的価値に対する深刻な脅威であると述べた。
さらに頼氏は、「香港の経験は痛烈な警告であり、台湾の民主主義と自由が決して当たり前のものではないことを再認識させるものだ」と強調した。その上で、北京当局に対し、黎氏の即時釈放と、司法の名を借りた政治的迫害の停止を改めて要求。国際社会に対しても、全体主義の拡大が普遍的人権に与える衝撃について警戒を続けるよう求め、「台湾は引き続き民主的価値を断固として守り、国際的なパートナーと肩を並べ、このかけがえのない自由な生活を共に守り抜く」と結んだ。
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