トップ ニュース トランプ政権、TSMCへの「半導体関税」免除に条件か 生産能力の4割米国移転も?施俊吉氏が指摘する「割当枠」の衝撃
トランプ政権、TSMCへの「半導体関税」免除に条件か 生産能力の4割米国移転も?施俊吉氏が指摘する「割当枠」の衝撃 海外メディアによると、トランプ政権は「半導体関税の免除」をTSMCの投資確約と紐付けることを計画しているという。(写真/顔麟宇撮影)
台米間の関税協議が長期交渉の末に妥結し、台湾側の対等関税は15%に引き下げられた。最恵国待遇(MFN)税率への上乗せが不要となり、半導体関連の232条関税でも最優遇措置を獲得した形だ。しかし、英『フィナンシャル・タイムズ(FT)』が報じたトランプ政権の「次の一手」は、TSMCにとって単なる優遇措置に留まらない、より戦略的な「縛り」を含んでいる。台湾の元行政院副院長、施俊吉氏は10日、FTの報道を深掘りし、トランプ政権が導入する「関税割当制度」の驚くべき実態を明らかにした。
「関税割当(TRQ)」制度による巧妙な誘引 施氏の分析によれば、トランプ政権は晶片(チップ)関税の免除措置を、TSMCの投資確約と密接に紐付けている。ここで鍵となるのが「関税割当(TRQ)」制度だ。これは、一定の輸入数量までは低税率(または免税)を適用し、それを超える分には高関税を課すという「アメとムチ」の仕組みである。
施氏が指摘する、台米合意に基づくTRQの具体的な数値は以下の通りだ。
建設期間中のプロジェクト: 新工場の計画生産能力の「2.5倍」までの輸出が免税。 稼働後のプロジェクト: 米国拠点の生産能力の「1.5倍」までの輸出が免税。 この制度により、TSMCは米国での生産能力を拡大しなければ、台湾からの輸出分に高関税が課されるリスクに直面することになる。
「40%移転」の数学的根拠 米国の真の狙い 最も衝撃的なのは、米国が要求する生産能力の「4割移転」の妥当性だ。トランプ政権のハワード・ラトニック商務長官は、任期中に台湾の半導体サプライチェーンの40%を米国に移転させる目標を掲げている。施氏はこの「40%」という数字の裏付けを次のように試算する。
「もしTSMCが台湾から米国への輸出をすべて免税にしたいのであれば、米国拠点の計画生産能力を『対米輸出総量の40%』に設定する必要がある。米国拠点の生産能力が40%であれば、残りの60%を台湾から輸出しても、TRQの『1.5倍枠(40%×1.5=60%)』に収まり、全量が免税となるからだ」
つまり、米国市場の需要を100%満たしつつ、関税を回避するための「黄金比」が、米国での40%生産なのである。
TSMCが握る「割当権」と残るリスク 一方で、施氏は好材料も挙げている。FTによれば、TSMCはこの免税枠(関税割当)の配分を自ら決定できる見通しだという。
顧客への恩恵: NVIDIAやAppleなどの主要顧客に対し、免税枠を優先的に配分することで、TSMCの市場競争力はさらに強化される。利益への寄与: 関税コストをコントロール下に置くことで、安定したマージンの確保が期待できる。しかし、施氏は台湾政府の姿勢に疑問を呈している。鄭麗君・行政院副院長は「40%移転は不可能」と述べているが、米国が意図する「対米輸出総量の4割」という定義について明確な説明を避けている。施氏は、台湾側が慎重な言い回しに終始する一方で、米国側は着実にこの「40%移転計画」を執行するだろうと結論付けている。
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