台湾の仏教慈善団体の慈済基金会によるワクチン調達を巡り、10億台湾元余りを詐取されたとされる事件が明らかになり、検察当局は捜査を終えて関係者を起訴した。元彰化弁護士会理事長の陳昱瑄氏らが所有する多額の資産も押収・差し押さえられたが、事件を巡る政治的な波紋は広がり続けている。
財信伝媒会長の謝金河氏は、台北市長の蒋万安氏が「当時、民進党政権が十分なワクチンを購入していれば、民間が調達する必要はなかった」と発言したことについて、公平さを欠き、「事実を逆さまにしている」と批判した。
これに対し、蒋氏は8日、台北市の台風対策会議に出席した際、取材に応じ、ワクチン調達に協力した民間団体に改めて感謝を表明する一方、「国民の痛ましい記憶が消し去られることはない」と述べた。
台湾はワクチン不足をどう乗り越えたのか 謝金河氏が当時を回顧
謝氏は7日、フェイスブックに「コロナ禍の二、三の出来事を振り返る」と題する文章を投稿。慈済の詐欺被害を巡って与野党間の論争が起きていると指摘した。
謝氏によると、蒋氏は当初、「慈済を信じるのか、それとも民進党政権を信じるのか」と発言し、その後、「当時、政府が十分なワクチンを購入していれば、民間が調達する必要はなかった」と述べた。謝氏は、こうした発言は公平さを欠いているとの考えを示した。
謝氏は2021年6月を振り返り、世界各国がワクチン確保を競い、中国側による妨害がある中でBNTワクチンを調達するため、当時の蔡英文総統が鴻海精密工業(ホンハイ)創業者の郭台銘氏らを総統府に招いて協議したと説明した。
また、当時の安倍晋三首相が台湾にアストラゼネカ(AZ)製ワクチン124万回分を提供し、翌月にも113万回分を提供したことに触れ、「ワクチンは命を救う最も貴重な宝物だった」と振り返った。
「政府が十分に購入していれば民間調達は不要だった」に謝氏が反論
謝氏は、当時モデルナの株価が497.49ドル、BNTワクチンを扱う復星グループの株価が22香港ドルまで上昇したと振り返った。
ワクチンが最も不足していた時期にもかかわらず、野党はその状況につけ込み、政府を「無能だ」と繰り返し批判し、中国製ワクチンを購入するよう求めたと主張した。
その後、中国のシノバック(科興)製ワクチンで問題が起き、生産が停止されたとして、幸い台湾の人々はシノバック製ワクチンを接種せずに済んだとした。
謝氏は投稿の最後で、今になって「政府が十分なワクチンを購入していれば、民間が調達する必要はなかった」と主張するのは公平さを欠いていると改めて指摘した。
台湾の感染症対策は世界から称賛されたとしたうえで、当時の指揮官だった陳時中氏について、「たとえ功績がなかったとしても、苦労はあった」と評価。「今では多くの人が当時の大変さを忘れ、さらには事実を逆さまにしている。痛ましいことだ」と述べた。

慈済の詐欺被害巡り蒋万安氏「国民は忘れない」
一方、慈済を巡る事件が波紋を広げる中、民進党陣営は、最近、内政問題について相次いで発言している蒋氏を名指しし、ワクチン調達当時に政府や感染症対策チームを中傷していたと批判した。
蒋氏の対立候補である民進党の台北市長候補、沈伯洋氏も、「民進党を信じるのか、慈済を信じるのか」という言い方は誤解を招くと批判した。
謝氏から「当時、政府が十分なワクチンを調達できていれば、民間団体が資金を集めて購入する必要はなかった」との発言を批判されたことについて、蒋氏は8日の取材で、支援に乗り出した民間団体や最前線の医療従事者に改めて感謝を表明した。
その一方で、「今、一部の人が国民の記憶を書き換えようとしている」と主張。当時について「政府がワクチンを阻んだこと」「特定の業者を擁護したこと」「3+11」「万華区が感染拡大の突破口だとされたこと」などを挙げ、「こうした痛ましい記憶を国民が忘れることはない」と強調した。
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編集:梅木奈実 (関連記事: 台湾・慈済のBNTワクチン調達巡る詐欺事件 蔡英文前総統「慈済も被害者」、当時の対応を説明 | 関連記事をもっと読む )


















































