令和8年版防衛白書は、中国が核・ミサイル戦力や海上・航空戦力を急速に強化し、台湾周辺や日本周辺で軍事活動を活発化させていると分析した。
中国が公表した2026年度の国防予算は約1兆9095億元、日本円で約40兆円に上る。日本の同年度の防衛関係費と比べると約4.6倍の規模となっている。
白書は、中国が透明性を欠いたまま国防費を高い水準で増加させ、軍事力を質と量の両面で広範かつ急速に強化していると指摘した。
核・ミサイル戦力や空母を強化
核・ミサイル戦力をめぐっては、中国が2024年9月、訓練用の模擬弾頭を搭載した大陸間弾道ミサイル(ICBM)を太平洋に向けて発射した。中国による太平洋へのICBM発射は44年ぶりとされる。
海空戦力では、電磁式カタパルトを装備した3隻目の空母「福建」の就役に加え、第5世代戦闘機「J-20」や「J-35」の開発と配備が進んでいるとした。

日本周辺でレーダー照射や空母訓練
白書は、日本周辺の海空域における中国軍の活動が規模と頻度の両面で拡大しているとの認識を示した。
2024年8月には、長崎県の男女群島付近で中国軍のY-9情報収集機による初の領空侵犯が確認された。
2025年12月には、中国軍戦闘機が自衛隊機に対し、約30分にわたって断続的にレーダーを照射する事案が発生した。
中国海軍の空母による太平洋上での発着艦訓練は年間1400回を超えた。尖閣諸島(台湾名・釣魚台列島)周辺の接続水域では、中国海警局の船舶が年間357日活動した。
白書は、こうした行動が不測の事態を招くおそれがあり、常態化しつつあるとして警戒感を示した。
台湾周辺で大規模演習
台湾情勢については、中台の軍事力バランスが、全体として中国側に有利な方向へ急速に傾いていると指摘した。
中国軍は台湾周辺で軍事活動を活発化させ、2025年4月には「海峡雷霆2025A」、同年12月末には「正義使命2025」と称する大規模演習を実施した。
白書は、中国が軍事演習を繰り返すことで、中国軍が台湾周辺で活動する状況の既成事実化を図るとともに、実戦能力の向上を目指していると分析した。
「実戦化・宣伝化・常態化」の3特徴
防衛研究所中国研究室の杉浦康之主任研究官は、中国軍の台湾周辺での活動には「実戦化」「宣伝化」「常態化」の三つの特徴があると分析した。
実戦化は、台湾有事を念頭に、精密誘導攻撃や封鎖作戦を想定した訓練を行う動きを指す。
宣伝化は、J-20ステルス戦闘機や無人機を使った映像を配信するなど、情報発信を通じて心理的な圧力を加える動きとしている。
常態化については、日常的な軍事活動を通じて台湾や米国をけん制し続ける動きだとした。
杉浦氏は、中国がこうした活動を通じ、現状の既成事実化と実戦能力の向上を図っていると分析した。
ロシアや北朝鮮との連携も
白書は、中国がロシアや北朝鮮との連携も強化していると指摘した。
2025年12月には、中国とロシアの爆撃機が東シナ海から太平洋へ進み、四国沖まで共同飛行した。
同年9月には金正恩委員長が中国を訪問し、中朝首脳会談が行われた。白書は、中国、ロシア、北朝鮮の間で軍事的な協調が目立っているとの認識を示した。
その上で、日本は複雑化する安全保障環境を踏まえ、中国の軍事動向を引き続き注視し、同盟国や同志国と連携して対応する必要があるとした。
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編集:梅木奈実 (関連記事: 【2026年版防衛白書】「戦後最も厳しく複雑」 AI・ドローン時代への備えを強調 | 関連記事をもっと読む )

















































