世界の株式市場が7月から8月にかけて激しく変動する中、中国が海外所得をめぐる新たな税務調査を進めているとして、国際金融市場の注目を集めている。
複数の海外メディアによると、中国の税務当局は銀行やファミリーオフィス、金融機関に対し、富裕層の海外資産や投資収益を調べるよう求めている。対象には海外株式、不動産、信託、暗号資産、海外口座などが含まれ、一部の事案では2000年以降の海外所得にまで遡り、未申告の所得に対する税金や延滞金を追徴しているという。
カナダ・ヨーク大学の沈栄欽副教授は5日、フェイスブックへの投稿で、中国政府が財政赤字を補うため、富裕層や企業に目を向けていると指摘した。
沈氏は「統一後、台湾人の生活がさらに良くなると考えている人がいるなら、その幻想から目を覚ます時だ」と述べた。
中国の税務調査、海外資産や投資所得が対象に
中国国家税務総局は、個人所得税法や税収徴収管理法に基づき、国境を越えた金融口座情報やビッグデータ、人工知能(AI)などを活用し、中国の税務上の居住者が得た国外所得を含む全世界所得の確認を強化している。対象には、海外で得た給与、配当、利子、株式や持分の譲渡所得、不動産の賃貸収入などが含まれる。
国家税務総局は今年初め、個人の国外所得に関する納税周知と管理を継続して強化していると発表した。納税者に対し、2022年から2024年までに得た国外所得を自ら点検し、必要に応じて修正申告するよう求めている。
当局は、目的は「国境を越えた租税回避の防止」であり、特定の国や地域を対象とした新たな課税ではないと強調している。
財政赤字の穴埋めか 富裕層は最長25年遡る事例も
沈氏は、中国経済の減速や不動産バブルの崩壊により、企業の収益と納税額が減少し、地方財政が深刻な状況に陥っていると分析した。その上で、中国政府は財政問題への対応として、富裕層の海外資産に対する税務調査を強化しているとの見方を示した。
対象には、超富裕層が利用することの多いオフショア信託、海外株式、暗号資産などが含まれ、最長で25年遡って税金の納付を求める事例もあるという。
沈氏は、中国国内でも過去に遡って税金の納付を求める動きがあり、地方では1990年代まで遡り、中国の消費税や企業所得税の追納を求める事例があると指摘した。調査対象となる範囲と期間が非常に広く、無傷で済むと言い切れる企業はほとんどないとの見方を示した。
富裕層や芸能人は低姿勢に 海外投資にも影響
沈氏によると、一連の動きにより、中国の富裕層や芸能人の間では不安が広がっている。富を誇示する行為を避け、行動を控えめにするとともに、税務当局に目を付けられないよう、資産をこれまで以上に目立たない形で保有するようになっているという。
沈氏は、副作用として、中国企業が海外に資金を投じることも難しくなっていると指摘した。政府から租税回避を疑われる可能性があるためだという。
一方、中国の一般市民は、地方政府が追徴によって得た税収から公共支出の恩恵を受けられる可能性があるため、税務調査の強化を支持することも考えられるとした。
沈氏は、北京側には税収を増やすことで個人消費を促し、経済の活性化につなげたい思惑もあるとの見方を示した。
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編集:梅木奈実 (関連記事: 中国、富裕層の海外所得を2000年まで遡及調査か 口座凍結や信託課税、移住加速の動きも | 関連記事をもっと読む )

















































