台湾駐日本代表処台湾文化センターが主催する連続上映企画「台湾文化センター台湾映画上映会2026」の第7回上映「夜明けの前に(原題:南方時光)」が2026年8月1日、日本映画大学新百合ヶ丘キャンパスの大教室で開催された。
上映後には、ツァオ・シーハン(曹仕翰)監督が登壇し、トークイベントが行われた。
1996年の台湾を描く長編デビュー作
本作は、台湾初の総統直接選挙を目前にした1996年の時代を背景に、15歳の少年・シャオジョウ(小洲)が大人へと成長していく姿を描いたツァオ・シーハン監督の長編デビュー作である。
「藍色夏恋」のイー・ツーイェン(易智言)監督がプロデューサーを務め、実力派俳優のウー・カンレン(吳慷仁)も出演している。
トークイベントの会場となった日本映画大学は、創設者の今村昌平監督も教鞭をとった場所である。ツァオ監督は、敬愛する今村監督が創設した大学での上映に非常に興奮し緊張していると喜びを語った。
コメンテーターを務めた東京国際映画祭シニア・プログラマーで同大学教授の石坂健治氏は、本作を台湾映画史の系譜を受け継ぎながら世界映画の新しい潮流も感じさせる素晴らしいデビュー作であると絶賛した。
完成まで9年、台湾ニューシネマの表現を継承
映画の舞台である1996年についてツァオ監督は、当時、中学3年生だった自身の青春はまさに灰色の時代であり、台湾社会も抑圧から変化を求めていたと回顧した。暗かった時代から明るい時代に向かう思いが、英題「Before the Bright Day」に込められている。
本作は新型コロナウイルスの影響などもあり、完成までに9年を要した。当初は高雄を舞台にしたテコンドーの青春映画を構想していたが、企画中断を経て、本当に撮りたいものを自身の映画言語で表現する覚悟を決めたという。
キュレーターで映画監督のリム・カーワイ氏から台湾ニューシネマの系譜を感じると評されると、ツァオ監督は、人々の暮らしや風景の中から感情を描き出す台湾ニューシネマの表現が本質に最も近いと考えたと応じた。
そのため、スタンダードサイズの画角を選び、カメラを固定して人物のアップを極力避ける撮影手法を採用したと明かした。
少年の純粋な視点に託した時代への思い
また、当時の社会情勢を登場人物の人生に重ね合わせており、総統選挙の日に街頭インタビューで誰に投票したいかと問われた弟が「トランクス」と答えるシーンには、亡くなった鳥山明氏への感謝の気持ちが込められていると説明した。子どもはイデオロギーではなく、自分の好きな人がリーダーになればいいと考える純粋な存在であると述べた。
最後に台湾映画の魅力について問われたツァオ監督は、台湾映画にはやわらかく穏やかな空気が流れているが、その奥には揺るがない芯があり、その強さこそが台湾映画の魅力であると語り、イベントを締めくくった。

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編集:小田菜々香













































