台湾文化庁駐日本代表処台湾文化センターが主催するテーマ写真展「沈黙の空間、肖像、身体─栄眷・光景」が7月31日、同センターで開幕した。
同展は日本の美術史家で東京藝術大学名誉教授の伊藤俊治氏がキュレーションを手掛け、写真家の黄子明(ファン・ジーミン)氏、沈昭良(シェン・チャオリャン)氏、および台湾・嘉義市の「眷恋眷村」写真プロジェクトが共同で出展している。
「身体」「肖像」「空間」の3つの視点を主軸に、写真作品を通じて台湾近現代史における生命の物語と共通の記憶を改めて見つめ直す内容となっている。
写真を通じて台湾の歴史と人々の記憶をたどる
開幕式に出席した台湾文化センターの曾鈐龍(ツェン・チェンロン)主任は挨拶で、写真は目の前の瞬間を切り取るだけでなく一つの時代の記憶を保存するものだと述べた。
また、同展は多様なクリエイターの視点を通じて、歴史が人々の身体や生活空間、世代を超えた記憶にどのように刻まれているかを捉えなおす機会になると説明した。同時に、現在の台湾が自由や民主主義、多元性を尊重し、歴史や文化の保存と継承を重視する姿勢を示すものでもあると述べた。
さらに、台湾と日本は長年にわたる多層的な歴史的つながりを持ち、共に歴史や文化的景観の保存と継承を重視していると指摘した。こうした文化資産を保存、活用することで、次世代が過去を理解し、未来について考える機会を生み出しているという。
同展は台湾を題材としているものの、地域や時代を超えて日本の観客の共感を呼び、日台の文化交流と相互理解をさらに深めることが期待されると語った。
今回のテーマ写真展では、3組の作品を紹介している。黄子明氏は長年にわたり朝鮮戦争の捕虜や栄民(退役軍人)の生命の軌跡を追い、肉体に刻まれた時代の傷痕や孤独な日常を記録してきた。
沈昭良氏は温かく繊細な写真表現により、台湾で唯一解体されず現在も残る高雄海軍自強新村の風景と、住民同士の絆を捉えた。
嘉義市の「眷恋眷村」プロジェクトは、再開発後の新しい生活を記録し、居住環境が変化する中でも世代を超えて脈々と受け継がれる文化的アイデンティティーを表現している。
特別講座で国共内戦と朝鮮戦争の記憶を考察
開幕式の後には特別講座が開催され、会場は熱気に包まれた。講座は著名な写真家である港千尋教授が司会を務め、キュレーターの伊藤俊治教授と出展アーティストの黄子明氏、沈昭良氏が登壇して対話し、数十年間に及ぶ作品の背景や創作の歩みを共有した。
キュレーターの伊藤俊治教授は講座の中で、本展は国共内戦と朝鮮戦争という、戦後の東アジアに深刻な影響を与えながらも現在の日本社会の視野から薄れつつある二つの戦争を文脈としていると語った。
1895年から1945年までの日本統治を経た後、台湾は戒厳令や冷戦下の対立を経験し、極めて多様な民族や集団の記憶を積み重ねてきたと説明した。 (関連記事: 過去10年、日本で話題を呼んだ台湾・香港映画TOP10 『呪詛』『青春18×2』は何位?首位作は興収5億円を突破 | 関連記事をもっと読む )
写真は単なる記録にとどまらず歴史的な傷やトラウマに寄り添い慰めるメディアであり、日本の観客に写真を通じて歴史の重みと人々の温もりを感じ取ってほしいと意欲を示した。

















































