【寄稿】南シナ海から台湾海峡へ 中国海警局が揺さぶる第1列島線の秩序

2026-07-31 12:00
台湾の海洋委員会海巡署(沿岸警備隊に相当)は21日、金門島の制限水域に接近する中国海警局の船艇4隻の編隊を確認し、直ちに巡視艇4隻を派遣して1対1で併走しながら監視・警告を行った。中国海警局の船艇は午後5時頃にすべて反転して同水域を離れたが、7月に入ってからの侵入はこれで3度目となる。(写真/海巡署金馬澎分署提供)
台湾の海洋委員会海巡署(沿岸警備隊に相当)は21日、金門島の制限水域に接近する中国海警局の船艇4隻の編隊を確認し、直ちに巡視艇4隻を派遣して1対1で併走しながら監視・警告を行った。中国海警局の船艇は午後5時頃にすべて反転して同水域を離れたが、7月に入ってからの侵入はこれで3度目となる。(写真/海巡署金馬澎分署提供)

7月20日、フィリピン船がセカンドトーマス礁(Second Thomas Shoal)付近で中国海警局(沿岸警備隊に相当、以下、海警局)と衝突する事案が発生した。同日、東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議がフィリピンのマニラで開幕した。

その後、マルコ・ルビオ米国務長官と中国の王毅外相が会談し、米中関係、台湾、南シナ海、地域安全保障などの課題をめぐり意見交換を行った。さらに7月23日、24日には、スカボロー礁(Scarborough Shoal)周辺で、中国海警局の船舶がフィリピン公船に対して放水砲を使用し、退去させようとする事案が相次いだ。

外交の場では安定を模索する一方で、海上では圧力をかけ続ける。こうした手法を通じて、中国政府は海警局を「第1列島線(First Island Chain)」をめぐる主導権争いの最前線へと押し出している。

こうした体制の下で、人民解放軍は軍事的威嚇を担い、海警局は巡航、進路妨害、臨検・立ち入り検査を実施する。さらに海上民兵がこれらの行動を支援し、中国当局は法律や宣伝を通じて、一連の動きを「法に基づく管轄」として正当化している。

中国政府はこの構図を通じて、軍事的圧力を日常的な法執行へと転換し、武力衝突を容易に引き起こさない形で、第1列島線の海上秩序を段階的に変えようとしている。

2026年5月25日、米国務長官のマルコ・ルビオ氏が妻のジャネット・ルビオ(Jeanette Rubio)氏とともにインドのタージ・マハルを訪問。(AP通信)
25日、マルコ・ルビオ米国務長官が妻のジャネット・ルビオ(Jeanette Rubio)さんとともにインドのタージ・マハルを訪問。(写真/AP通信提供)

南シナ海でのモデルケース 圧力を日常の「管轄」へ

​セカンドトーマス礁からスカボロー礁に至るまで、中国政府は海軍による直接的な支配ではなく、海警局の船艇を繰り返し派遣している。巡航、補給活動の妨害、放水砲による退去要求、至近距離での進路妨害を行いながら、その映像や「法執行」という言葉を通じて、国際社会に対し「これは軍事的拡張ではなく、管轄権の行使である」と訴えている。

この戦略の核心は、中国海警局の存在を「常態化」させることにある。フィリピンが補給を試みれば妨害し、拠点を維持しようとすれば法執行を名目に圧力をかける。海警船は軍艦に比べて武力衝突への警戒を引き起こしにくい一方で、一般の公船よりも強い強制力を持つ。そのため、グレーゾーン(Grey Zone)における対立の中で、極めて対応が難しい存在となっている。

ASEAN外相会議の期間中も、南シナ海の領有権問題や「南シナ海行動規範(COC)」の策定交渉が焦点となった。中国とフィリピンは互いに抗議を行っているものの、双方とも事態が制御不能に陥ることは望んでいない。

こうした状況下で、中国政府は交渉の場では緊張緩和の余地を残しつつ、海上では圧力をかけ続けている。この手法は現在、台湾海峡へと波及しつつあり、第1列島線をめぐる競争は、単なる軍事配備にとどまらず、現場のルールや管轄秩序をめぐる争いへと広がっている。 (関連記事: 中国学者「バタン諸島は台湾に帰属」 フィリピン反発、専門家「主権は問題にならない」 関連記事をもっと読む

台湾海峡への波及、増加する中国公船の活動

​台湾海峡でも、南シナ海と似た変化が生じている。2024年2月、金門島周辺で中国大陸の小型高速艇が転覆した事件を契機に、中国側は台湾が主張する「禁止・制限水域」の存在を否定し、中国海警局による金門島周辺での常態的な巡航を開始した。

最新ニュース
渋谷の夏を彩る「第7回 渋谷盆踊り」が8月8日に開催へ 日英レクチャー新設や豪華ゲスト登場も
東京ゲームショウ2026ビジネスデイの有料事前登録が受付開始、基調講演などの詳細も発表
BTS「ARIRANG」アジア4都市のチケット価格を比較 最安席は高雄、VIP最高はフィリピン
スタジオツアー東京、初の「ハグリッドの小屋」ハロウィーン限定コレクションを8月5日より発売
アシックス、日本で2店舗目の旗艦店「ASICS FLAGSHIP SHINJUKU」を7月31日にオープン
NVIDIAと日本がAIおよびロボティクス連携を強化、全産業への物理AI実装を加速
中国、米中首脳会談前にレッドライン提示 関税「20%上限」主張、AI制裁けん制
【東京レガシーハーフマラソン2026】 障がい者アートが国立競技場を彩る!チャリティビブスプロジェクト始動
【アジアパラ2026】開閉会式コンセプトが決定、聖火台等の制作ワークショップも開催へ
出入国在留管理庁、令和8年熊本地震に関する外国人生活支援特設ページを開設
【新新聞】「5年で人類の知性超え」「破局リスク70%」マスク、元OpenAI研究者、DeepSeekから読むAIの未来
災害時の孤立を防ぐ GTNが熊本の企業・教育機関へ多言語支援アプリを無料提供へ
日本人の人口、42年ぶり1億2000万人割れ 91万人減で過去最大、外国人は初の400万人超
モロッコ、台湾人向けビザ手続きを突如停止 台湾外交部は相互主義に基づき対抗措置
日台韓の半導体株が全面安 SKハイニックス一時15%超急落、「買い場」との見方も
猛烈な台風13号(ドルフィン)が急発達 最大瞬間風速80メートル、進路は琉球・九州方面か 台湾への影響は限定的
静岡県初上陸となる銭湯風居酒屋「大衆酒泉テルマエ」が8月1日、静岡駅前にオープン
【舞台裏】台湾の行政院長「私的なWBC訪日」が波紋 日本側に残った不信、林佳龍外交部長の羽田泊へ
西日本最大級の資産運用イベント「第7回 資産運用 EXPO 関西」が8月28日から開催へ
名古屋駅で朝からMLB観戦!「MLB Breakfast Club」を8月24日より期間限定開催
ジョー マローン ロンドン 香りの世界観に迫る限定イベント「シー ソルト アドベンチャー」を開催
ADKグループが次世代AI「Genspark」を大規模導入 全社横断の実証実験を開始
神戸市が持続可能なまちづくりを展開 空き家対策と下水再生リンの資源循環で独自施策を推進
ナビタイムジャパンと台湾交通部観光署、スマート観光推進に向け覚書締結
アートとデザインを巡る2026年夏の韓国カルチャースポット5選
「飛鳥・藤原の宮都」がユネスコ世界文化遺産に登録決定、国内22件目の快挙
【独自】台湾ファン7人に聞くフジロックの魅力 参加歴13年の常連らが語る苗場の初心者向け攻略法
【台湾・食用油問題】発がん性物質が基準値の約4倍 通報遅れの経緯と対象商品・返品方法を解説
チャイナエアライン、桃園―重慶線を10月28日から再開か 運休から約6年8カ月ぶり
【台湾世論調査】蒋万安台北市長、好感度49%で頼清徳総統を上回る 2028年国民党候補でも首位
熊本地震、台湾が「いつでも支援」 頼清徳総統が日本にお見舞い
「困難な時こそ心をつなぐ」台湾・新竹市長、熊本地震にお見舞い 熊本県・熊本市・八代市の安全願う
熊本地震、台湾が4自治体の救助隊を待機 日本側の要請あれば「4時間以内に出発」
熊本M7.1地震、TSMC熊本工場が生産ラインを順次復旧 従業員全員の安全確認、建設工事の一部中断
「2027年台湾侵攻論」は誤読か 元幹部自衛官「台湾海峡の平和は軍事だけで決まらない」
【フジロック2026】雨の最終日も熱演 3日間で約12万人来場 30周年の次回日程を発表
熊本でM7.1、最大震度7 TSMC熊本工場が従業員を避難、津波注意報も
味の素、「夏休みマンネリ」解消へ 7月29日に「氷みぞれつゆ」活用の食育体験教室を開催
NVIDIA、SIGGRAPH 2026にて物理AIおよびグラフィック最新技術を発表
台湾14県市で初の大規模「通信低速化」訓練 動画・決済に影響、医療や緊急通報は維持
「六本木ヒルズ盆踊り2026」8月21日から開催 伝統芸能や限定グルメで夏の夜を彩る
【USJ】「ワンピース・プレミア・サマー 2026」開催決定 ワンピースの最新フード&グッズ発表
東京ラーメンストリートに喜多方の名店「食堂はせ川」が出店へ 東京駅限定メニューも登場
蒋万安台北市長、食用油問題で内閣不信任案を提起 国民党内で支持広がるか
【地震速報】熊本で最大震度7、M7.1 有明・八代海に津波注意報、熊本3地点で到達中か
青森・八戸中心街の「ハチノスクエア」に「リッチモンドホテル八戸スクエア」が2026年秋開業へ
ベルリン映画祭出品の台湾クィア・ノワール『宵闇の火花』東京で上映 チュウ・ピン監督「台湾では自由に描ける」
台湾の食用油から発がん性物質 原因は大豆基準の10倍緩和と活性炭不使用
「いのちの未来+」開幕 万博の感動を再構成、夏目漱石アンドロイドとの対話も
伊勢神宮「令和のお木曳」からF1まで 三重県が東京で観光PR、平祐奈・相川七瀬・松丸亮吾が登壇