BTSのワールドツアー「ARIRANG」では、公演を見るために必要な費用やチケットの入手条件が、開催される国・地域によって大きく異なっている。
韓国・高陽、台湾・高雄、タイ・バンコク、フィリピン・ブラカンの4都市の最安価格を比べると、一般チケットは約93~132ドル、サウンドチェック付きVIP席は約176~407ドルとなり、開催地によって大きな差がある。
一方、座席の種類やVIP特典、販売手数料、会場の条件は公演ごとに異なる。単純に価格だけで各公演の価値や負担の重さを比較することは難しいものの、同じツアーでも参加する公演の開催地によって、ファンが負担するチケット代に大きな差が生じていることは確かだ。
韓国・高陽は一般席19万8000ウォンから VIPは4都市で最安
「ARIRANG」ツアーは2026年4月9、11、12日、韓国・高陽総合運動場メインスタジアムで開幕した。
公式販売サイトのNOL Ticketによると、一般席は19万8000ウォンと22万ウォンで、公演前のリハーサルを観覧できるサウンドチェック席は26万4000ウォンに設定された。米ドルに換算すると、一般席は約132~147ドル、サウンドチェック席は約176ドルとなり、今回比較した4都市の中ではVIPに相当するチケットが最も安い。
公演では購入者本人の氏名を登録する実名制が採用され、入場時には公的な身分証明書による本人確認が行われた。不正購入や転売に関連すると判断された予約は取り消しの対象となった。
それでも、韓国文化体育観光部は3月、高陽公演と光化門での公演を巡る転売投稿を調査し、重複分を含め計1868枚のチケットを確認したと発表した。このうち4件、計105枚については、組織的な高額転売の疑いがあるとして警察に捜査を要請した。厳格な本人確認を実施しても、人気公演を狙った転売が後を絶たない状況が浮かび上がった。
韓国では不正なチケット購入や転売を規制する改正公演法が2026年8月28日に施行される。違反者に対し、不正販売額に応じて最大50倍の課徴金を科すことができる規定も盛り込まれている。
台湾・高雄は2980台湾ドルから 写真付き身分証で本人確認
台湾では11月19、21、22日、高雄国家体育場で3公演が開催される。
主催するLive Nation Taiwanによると、一般席は2980~7980台湾ドル。サウンドチェックへの参加、限定ギフト、VIP用のラミネートパスとストラップなどが含まれるVIPパッケージは9380台湾ドルに設定された。
米ドル換算では一般席が約93~249ドル、VIPパッケージが約292ドルとなる。最安席は韓国・高陽の最低価格を下回るが、最高価格の一般席とVIPは高陽より高い。
一般販売は6月4日に始まり、公式販売サイトの拓元售票で実名制が採用された。入場時には有効なチケットに加え、購入者本人の写真付き身分証明書の原本を提示しなければならない。
台湾では販売プラットフォームによる本人確認だけでなく、法律でもチケットの高額転売が規制されている。定価を超えて芸術・文化公演のチケットを転売した場合、券面価格または定価の10~50倍の過料を科される可能性がある。
バンコクは3300バーツから 一般席は約99~204ドル
タイ・バンコク公演は12月3、5、6日にラジャマンガラ国立競技場で開催される。
公式販売サイトのThai Ticket Majorによると、チケットは3300、4300、5300、6300、6800バーツで、VIP席は7800バーツ。米ドル換算では一般席が約99~204ドル、VIP席が約234ドルとなる。最安席は高雄よりやや高い一方、一般席の最高価格とVIP席はいずれも高雄を下回る。
バンコク公演でも、購入時にすべての来場者の氏名を登録し、チケットに印字された氏名と身分証明書を照合する制度が採用されている。公式サイトではすでに全公演が完売と表示されている。
フィリピンはVIP2万5000ペソ 韓国の2倍を超える
フィリピン公演は2027年3月13、14、16日、ブラカン州のフィリピン・スポーツ・スタジアムで開催される。
Live Nation Philippinesによると、VIPサウンドチェック付きスタンディング席は2万5000ペソ、フロアスタンディング席は2万ペソ、スタンド席は7500ペソと1万3500ペソに設定された。
米ドル換算では、スタンド席が約122~220ドル、フロアスタンディング席が約326ドル、VIP席が約407ドルとなる。
VIP席は韓国・高陽の約176ドルに対し、ブラカンでは約407ドルと、2倍を超える。フロアスタンディング席とVIP席は、今回比較した4都市で最も高い価格となっている。
公式の販売条件では、チケットを賞品や懸賞などの商業目的で使用することを禁止しており、規約に違反したチケットは払い戻しなしで無効とされ、入場を拒否される場合がある。
アジア4都市のチケット価格を比較
一般席とVIPサウンドチェック席の価格を米ドル換算で比較すると、次のようになる。
・韓国・高陽:一般席約132~147ドル/サウンドチェック席約176ドル
・台湾・高雄:一般席約93~249ドル/VIP約292ドル
・タイ・バンコク:一般席約99~204ドル/VIP約234ドル
・フィリピン・ブラカン:スタンド席約122~220ドル、フロアスタンディング席約326ドル/VIP約407ドル
一般席の最安価格は高雄、VIP席の最安価格は高陽となった。一方、高雄は最安席からVIPまでの価格帯が広く、ブラカンはフロアスタンディング席とVIP席の高さが目立つ。
※米ドル価格は各国・地域の公式な現地通貨価格を基にした概算。為替変動のほか、座席の種類、VIP特典、予約手数料などが異なるため、単純比較には注意が必要。
価格だけでなく転売対策にも違い
各公演では、チケットの価格だけでなく、本人確認や転売対策にも違いがある。
韓国では実名制と入場時の本人確認に加え、2026年8月から不正転売への全国的な規制が強化される。台湾でも実名制が導入されているほか、定価を超える転売に対して10~50倍の過料を科す法律がすでに施行されている。
バンコク公演も来場者全員の氏名をチケットに印字する方式を採用している。一方、ブラカン公演の公式販売条件は、チケットの商業利用や規約に反する使用を禁止している。
ただし、制度が存在することと、転売や詐欺を完全に防げることは同じではない。韓国では、転売投稿に掲載されたチケットが重複分を含め1868枚確認された。厳格な本人確認を導入しても、転売目的とみられる投稿が相次ぐ実態が浮かび上がっている。
「どの公演に参加するか」もファンの重要な判断に
チケット価格の違いには、会場費や輸送費、税制、為替、座席構成、VIP特典、現地プロモーターの価格設定など、複数の要因が影響すると考えられる。ただし、各主催者は都市間の価格差について、統一した説明を公表していない。
また、現地の所得水準や渡航費を考慮せず、ドル換算したチケット価格だけで負担の大きさや公平性を判断することも難しい。
それでも、同じ「ARIRANG」ツアーで、VIP席が約176ドルから407ドルまで開いていることは、参加する公演の開催地によって、チケット代や購入条件が大きく異なる現実を示している。
グローバルファンダム「ARMY」にとっては、発売日にいつ申し込むかだけでなく、どの都市の公演に参加するかも重要な判断となる。2027年まで続くツアーを通じ、経済状況や制度が異なる国・地域で、どこまで幅広いファンに観覧機会を提供できるかが問われることになりそうだ。
※米ドル換算は2026年7月11日時点の為替レートによる概算。