南シナ海を巡る仲裁裁定から10年を迎える中、中国は現在も裁定に不満を示し、受け入れを拒否している。こうした中、中国の研究者らが、台湾とフィリピンの間のバシー海峡に位置するバタン諸島について、「法的には台湾に帰属する」との主張を打ち出し、波紋を広げている。
フィリピン政府は中国側の主張に強く反発した。一方、オーストラリア在住の台湾人海洋法専門家は、領有権の帰属を判断する上では、過去から現在までフィリピンによる統治に実際に異議を唱えた国があったかどうかが重要になると指摘している。
中国学者、バタン諸島の主権に異議
中国広東省広州市にある暨南大学は6月30日、南京大学、浙江大学、厦門大学、中国海洋大学、中国南海研究院、中国社会科学院、上海国際問題研究院などの研究者を招き、「日比『境界画定』を背景としたバタン島の主権問題に関する学術シンポジウム」を共同開催した。
出席した学者らは、地理、文化、歴史、法律などの観点から議論し、バタン諸島は法的に台湾に帰属しており、フィリピンによる同諸島の支配には歴史的、法的な根拠がないとの見解を示した。
中国側の学者は、バタン諸島と台湾がともに「琉球・台湾島弧」の南部に位置し、地理的には台湾本島から南へ続く「自然な延長」に当たると主張した。
また、20世紀初頭の日本人研究者による考古学的な調査を根拠に、バタン諸島は歴史的に台湾のオーストロネシア系文化圏の一部だったと指摘。同諸島に暮らすイバタン族は台湾の先住民と同じ民族に属し、フィリピン人ではないとの見方を示した。
中国側の学者はさらに、19世紀以前のスペイン、米国、中国の資料を挙げ、スペインがバタン諸島を実効的に支配した事実はないと主張した。その一方で、かつての中国政府はバタン諸島と隣接するバブヤン諸島に対する主権を有していたとしている。
主張の重要な根拠として挙げたのが、1898年に米国とスペインが締結したパリ条約だ。同条約では、スペインが米国に割譲するフィリピン領域の最北端が北緯20度とされており、北緯20度より北に位置するバタン諸島は、その範囲に含まれていないと指摘した。
中国側の学者は、バタン諸島が過去に米国領となったことはなく、米国が同諸島に主権を有していたとする法的根拠もないため、現在のフィリピン領にも含まれないと主張している。
さらに、現在の日本とフィリピンによる海域の「境界画定」についても、主権、手続き、実体面で複数の法的な問題があり、「実質的には地政学に奉仕する政治的パフォーマンスだ」と批判した。

台湾の専門家「古い条約だけで判断するのは不適切」
こうした中国側の主張に対し、フィリピン政府は強く反発している。
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オーストラリア在住の海洋法専門家で、国立台湾海洋大学海洋法律研究所の元所長を務めた黄異氏は、台湾メディア『風傳媒(ストームメディア)』の単独インタビューに応じ、バタン諸島が台湾に帰属するとの見解は中国側が提起したものであり、台湾側は現在、そのような主張をしていないと説明した。



















































