「バタン諸島は中国領」中国が展開する新たな主権主張 台湾東方で海上圧力強まる

2026年7月1日、北京の人民大会堂で開かれた中国共産党創立105周年記念式典で演説する習近平国家主席。(写真/AP通信)
2026年7月1日、北京の人民大会堂で開かれた中国共産党創立105周年記念式典で演説する習近平国家主席。(写真/AP通信)

日本とフィリピンは先ごろ、太平洋における排他的経済水域(EEZ)と大陸棚の境界画定交渉を正式に始めると発表した。両国は安全保障面での協力も一段と強化している。

日本は、あぶくま型護衛艦などの防衛装備移転に向けた協議を加速させる方針で、日比関係はフィリピンにとって初となる「包括的戦略的パートナーシップ」に格上げされた。

これに中国は強く反発した。台湾東方海域では中国海警船による巡視活動が行われ、中国政府も日比の動きが中国の海洋権益を侵害していると批判している。

さらに中国共産党系紙『環球時報』は9日、学術シンポジウムに参加した中国の研究者らが、フィリピン最北部のバタン諸島について「台湾の地理的な自然延長であり、主権は中国に属する」と主張したと報じた。

中国によるこうした「主権をめぐる言説」と海上活動に、周辺国では警戒が強まっている。

専門家は、中国が日比の境界画定交渉を口実に、台湾東方海域での活動を拡大しようとしていると分析する。通常の二国間の海洋法上の手続きを、中国の管轄権主張を台湾東方に広げるための根拠として利用しているという。

その背景には、中国が十分に掌握できていないとみる重要な海上交通路、バシー海峡への影響力を強める狙いがあるとみられている。

フィリピンのマルコス大統領(左)が東京を訪問し、日本の高市早苗氏と二国間会談を行った。(AP通信)
東京を訪問し、高市早苗首相(右)と首脳会談に臨むフィリピンのフェルディナンド・マルコス大統領(左)。(写真/AP通信)

中国研究者「バタン諸島の主権は中国に属する」

​『環球時報』によると、バタン諸島の主権問題をテーマとした学術シンポジウムが6月30日、中国の暨南大学で開かれた。

同紙は、参加者らが、バタン諸島は台湾の地理的な自然延長であり、その主権は中国に属するため、日比による同海域での境界画定交渉には法的効力がないとの見解を示したと伝えた。

暨南大学国際関係学院の鞠海龍院長は、バタン諸島が明・清代に台湾府の管轄下にあり、最北端の島が台湾南東部の蘭嶼から約99キロしか離れていないと説明した。

鞠氏は「これらの島々は距離的に台湾に近いだけでなく、台湾島の地理的な自然延長でもある」と主張した。

同紙はさらに、バタン諸島に住む1万人以上のイバタン人と蘭嶼のタオ族は、言語や文化の面で共通の起源を持ち、「その文化的なルーツは中国にある」とする研究者の見解も紹介した。

バスコ灯台はフィリピン・バタン諸島州の観光スポットの一つであり、州都バスコの丘の上に位置する。(台湾中央通信社、林行健記者撮影・バタン諸島バスコ、115年6月26日)
フィリピン北部バタネス州の州都バスコにある観光名所、バスコ灯台。市街を見下ろす丘の上に立つ。(2026年6月26日、中央通信社・林行健撮影

軍事・準軍事力で主権主張を裏打ち

中国が歴史や文化を根拠に領有権を主張するのは今回が初めてではない。

中国の国営英語放送CGTNは2024年、ドキュメンタリー番組『ここは中国の南海』を放送し、現地調査や専門家への取材、歴史資料を通じて、「南シナ海の諸島は古くから中国領だった」と主張した。

自由アジア放送(RFA)の「アジア・ファクトチェック・ラボ」は当時、番組が示した根拠を検証し、多くの論証が偏った情報に基づくか、歴史の全体像を反映していないと指摘した。 (関連記事: 【寄稿】台湾東部沖はもはや「静かな海」ではない 日比境界交渉が映す第一列島線の再編 関連記事をもっと読む

​海洋活動の透明性向上に取り組むプロジェクト「SeaLight」のエグゼクティブ・ディレクター、レイモンド・パウエル氏は9日、「全国西フィリピン海サミット」で、中国が台湾東方海域で展開している活動について説明した。

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