米国とイランが先月、停戦覚書に署名してから1カ月もたたないうちに、新たな軍事衝突が発生した。双方による報復攻撃が続き、中東情勢は急速に緊迫化している。
米軍は8日、イラン沿岸部に対する第2波の報復空爆を実施し、約90の軍事目標を攻撃した。これに対し、イラン革命防衛隊(IRGC)は、バーレーンとクウェートにある米軍基地を狙い、2日連続でミサイルと無人機による攻撃を行った。
英通信社ロイターは、現在の交戦状態について、米国とイランの外交的な緊張緩和に向けた試みが失敗し、両国が再び明確な出口の見えない混乱に陥ったことを示していると伝えた。
米国のドナルド・トランプ大統領は8日、トルコで開かれた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議を終え、大統領専用機で帰国する途中、同行記者団に対し、米国とイランの暫定合意は「すでに終わった」と述べた。
トランプ氏はイラン側を「非常に信義に欠ける人々だ」と批判し、短期間で交渉を再開できる状況にはないとの認識を示した。
その後、自身の交流サイト(SNS)「トゥルース・ソーシャル」に、「これはイランが前日に商船を爆撃したことへの報復だ。再び起きれば、結果ははるかに深刻なものになる」と投稿。米国が攻撃を受けた場合には、イランに対して「20倍の規模で報復する」と警告した。
停戦決裂で原油価格が一時7%上昇
ロイターによると、短期間で停戦が崩れたことは、エネルギー供給網にも直ちに影響を及ぼした。
戦闘が、世界の原油輸送の約5分の1を担う海上輸送の要衝に直接波及したため、米軍による空爆と停戦決裂の知らせを受け、8日の国際原油市場では供給不安を背景に買いが膨らみ、原油価格は一時約7%上昇した。
アジア時間の取引では市場の警戒感がやや和らいだものの、価格は高値圏で推移した。
北海ブレント原油先物は1.1%、86セント上昇し、1バレル=78.88ドルとなった。米国産標準油種のWTI先物も1.2%高の1バレル=74.37ドルに上昇した。
アナリストは、戦闘が本格的に再燃すれば、原油価格が今年4月につけた1バレル=120ドル前後の高値に再び迫る可能性があると懸念している。
米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)のジョン・アルターマン氏は、今回の危機拡大の背景について、イランが原油価格の上昇とインフレを米国に圧力をかける手段として利用していると指摘した。
アルターマン氏によると、イラン側は、11月の中間選挙を控えるトランプ氏が、原油高による国内の経済的不満に耐えられないとみている。そのため、弱い姿勢を見せず、ホルムズ海峡の航行を混乱させることで米国に譲歩を迫ろうとしているという。
米軍がイラン沿岸部を空爆 海峡封鎖も選択肢に
米中央軍(CENTCOM)の戦況報告によると、米軍は8日深夜、イランに対する第2波の報復空爆を実施した。 (関連記事: ホルムズ海峡めぐり米・イランの攻撃激化 米軍が約140の軍事目標を空爆、イランは封鎖宣言 | 関連記事をもっと読む )
攻撃対象は、ホルムズ海峡からオマーン湾にかけてのイラン沿岸部で、防空システムやミサイル貯蔵施設、革命防衛隊の海軍関連施設など約90の軍事目標を攻撃した。


















































