中国人観光客の訪台再開、さらに遠のく 台湾が旅行業者の視察申請を却下

上海や福建省の旅行業者から2度にわたり台湾視察の申請があったとされるが、いずれも陸委会に却下され、中国人観光客の訪台再開は膠着状態が続いている。写真は台北松山空港で離陸準備に入る上海航空機。(中央社)
上海や福建省の旅行業者から2度にわたり台湾視察の申請があったとされるが、いずれも陸委会に却下され、中国人観光客の訪台再開は膠着状態が続いている。写真は台北松山空港で離陸準備に入る上海航空機。(中央社)

中国の上海市や福建省の旅行業者による台湾視察申請は、中国人観光客による台湾旅行再開に向けた重要なシグナルとされてきたが、台湾の対中政策を所管する大陸委員会(陸委会)は、中台間の観光事務を専門に担当する双方の団体を総称したもので台湾側の「台湾海峡両岸観光旅遊協会(台旅会)」と中国大陸側の「海峡両岸旅遊交流協会(海旅会)」、いわゆる「観光小両会」による事前協議が必要だとしてこれを却下した。

台湾の旅行業界団体、中華優質旅遊発展協会の李奇嶽・理事長は、台湾メディア『風傳媒(ストームメディア)』の取材に対し、中国の視察団(下見ツアー)が却下されたことについて、「率直に言って業界は全く驚いていない。中国人観光客の受け入れは経済問題ではなく、既に政治問題化していることは皆が理解している」と述べた。

中国共産党の習近平・総書記が4月に台湾の最大野党、国民党の鄭麗文・主席(党首)と会談した直後、中国共産党中央台湾工作弁公室(中台弁)は上海および福建省の住民による台湾本島への個人旅行の解禁や、台湾の農水産物の中国への輸入円滑化などを含む「10項目の台湾優遇措置」を発表した。

一方で、中国の国務院台湾事務弁公室(国台弁、中台弁の別称)は6月24日夜、上海および福建省の観光業者が申請していた台湾本島への観光視察が台湾側に却下されたと発表した。その際、国台弁の陳斌華・報道官は、台湾の民進党当局が一方的に「事前に観光小両会による協議が必要」との前提条件を設け、視察団の入島申請を却下したと指摘し、「典型的な政治的操作で、人為的な障壁の設置だ」と非難した。

視察団の派遣は、中国側が観光旅行を解禁するための通常行われる事前準備であり、その目的は宿泊施設や飲食、観光地、受け入れプロセスのすり合わせにある。視察団の訪問後、通常は速やかに中国人観光客の渡航が解禁される。今回、陸委会が上海や福建省の観光業者による台湾視察を阻止したことで、中国人観光客を巡る膠着状態は依然として打開が困難な状況にある。

視察団の申請は2度却下されていた

中華優質旅遊発展協会の李・理事長は、風傳媒の取材に対し、今回の上海および福建省の視察団の台湾訪問申請について、最初は旅行商業同業公会全国連合会(全連会)の名義で申請したが通過せず、次に高雄市旅行商業同業公会の名義で再申請したものの、やはり許可されなかったと明かした。陸委会が提示した理由は、中台双方が事前に「観光小両会」を通じて意思疎通を図るべきだというものだった。しかし、国台弁の主張によれば、「1992年の共通認識(九二共識、92コンセンサス。中台が「一つの中国原則」を口頭で確認したとされるが、民進党は存在を認めていない)」がなければ、「小両会」の対話再開という選択肢は存在しないとしている。 (関連記事: 中国人観光客は台湾本島に戻るのか 上海市民の金門・馬祖旅行解禁で陸委会が警戒 関連記事をもっと読む

中華優質旅遊発展協会の理事長・李奇嶽氏。(柯承恵撮影)
中華優質旅遊発展協会の李奇嶽・理事長は風傳媒に対し、中国人観光客の問題はすでに経済問題ではなく政治問題であり、今回の視察団受け入れ拒否に業界は驚いていないと語った。(柯承恵撮影)

李氏はさらに、九二共識は政治的基礎であるが、中国側は政治と経済を分けて考えることができると認識していると指摘した。中国は民進党との対話を望んでいないが、一般の民生経済は別の問題として切り離すことが可能だという。観光業界も陸委会と意思疎通を図っており、双方の対話は円滑だが、現状で何ら成果はないという。陸委会はあくまで最前線の業務担当機関に過ぎず、その背後には国家安全当局の思惑があるため、陸委会の一存で決定できる事案ではないとの見方だ。

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