世界のファウンドリー(半導体受託製造)市場で、台湾積体電路製造(TSMC)のシェアは72.3%に達する一方、2位の韓国・サムスン電子は6.5%にとどまる。両社の差は65.8ポイントに広がっている。
TSMCが圧倒的な首位を維持するなか、韓国政府は今後10年以内にTSMCを追い抜き、2030年までにフィジカルAI分野で世界トップ3入りを果たすとの目標を掲げた。その実現に向け、半導体、フィジカルAI、ヒューマノイドロボットを対象に、官民合わせて約1兆2000億ドルを投じる構想だ。
台湾経済研究院の産業経済データベース部門ディレクターで、台湾アジア太平洋産業分析専門家協会のフェローを務める劉佩真氏は、『風傳媒(ストームメディア)』の番組「下班国際線」で、韓国の今回の投資計画を「世紀の大勝負」と表現した。
劉氏によると、李在明(イ・ジェミョン)大統領は台湾の地図を手に取り、新竹科学園区、中部科学園区、南部科学園区へと連なる台湾の産業クラスターを研究した。韓国国内にも同様の技術産業の集積を築こうとしているという。
劉氏は、これは単なる産業政策の見直しではなく、韓国が国家の総力を挙げ、台湾が築いてきた半導体産業の発展モデルを学びながら追い上げを図る動きだと分析した。
韓国が第2の半導体クラスター DRAM生産能力を5年で倍増へ
韓国政府は6月末、サムスン電子、SKハイニックスと連携し、3つの大規模プロジェクトを発表した。
官民を合わせた総投資額は約1兆2000億ドルに上る見通しで、首都圏とは別に、湖南地方へ国内第2の半導体産業クラスターを新設する。新たに4棟の半導体工場を建設し、今後5年間でDRAMの生産能力を2倍に引き上げる方針だ。
政府は、地下送電網や水資源、交通網などの関連インフラ整備費用を全額負担する。李政権が主導するこの計画は、世界の半導体産業の勢力図を揺るがし、台湾が長年築いてきた「シリコンアイランド」としての地位にも影響を及ぼす可能性がある。
台湾はファウンドリーや先端プロセスで世界をリードしてきた一方、DRAMやNAND型フラッシュメモリーなどの分野では、中・高付加価値品やニッチ市場を中心に事業を展開している。
劉氏は、韓国が国家主導で生産能力の増強を進めることで、AI半導体に不可欠な広帯域メモリー(HBM)や大容量DDR5の市場において、他国が容易に追いつけない供給力と価格競争力を築こうとしていると指摘した。

TSMCの海外展開を好機と分析
韓国は国内に第2の産業クラスターを整備する一方、サムスン電子とSKハイニックスの半導体パッケージング拠点を、天安(チョナン)と温陽(オニャン)に維持する方針だ。
劉氏は、TSMCが米国、日本、ドイツで生産拠点の整備を進めるなか、韓国は台湾国内の産業集積に生じかねない空白を好機と捉えていると分析した。 (関連記事: 韓国、新たな半導体クラスター整備へ 台湾の多拠点型モデルを参考か | 関連記事をもっと読む )
韓国の半導体投資はこれまでソウル周辺に集中しており、産業の裾野も台湾ほど広くなかった。台湾のように、材料や設備、製造、パッケージング、検査など、川上から川下までが緊密につながる産業生態系は十分に形成されていなかったという。





















































