「TSMCも台湾人材だけでは成長できない」元グーグル台湾幹部が語るAI時代の人材戦略

2026-07-06 15:43
元グーグル台湾マネージング・ディレクターの簡立峰氏は、企業は国際化を図るべきで、「台湾人」の概念を拡大する必要があると指摘する。(資料写真/柯承恵撮影)
元グーグル台湾マネージング・ディレクターの簡立峰氏は、企業は国際化を図るべきで、「台湾人」の概念を拡大する必要があると指摘する。(資料写真/柯承恵撮影)

人工知能(AI)ブームと半導体産業の活況を背景に、台湾株式市場では台湾積体電路製造(TSMC)など大手テクノロジー企業をけん引役として、強気相場が続いている。

これに対し、グーグル(Google)台湾法人の元董事総経理(マネージング・ディレクター)、簡立峰氏は、インターネット番組『Sega on AI』の中で、台湾は恵まれた環境にある一方で人口が少なく、人材不足が課題だと指摘。現在、時価総額で世界第6位を維持するTSMCが台湾の人材のみを雇用し続ければ、台湾の永続的な発展は不可能だと指摘し、「企業はグローバル化を推進し、『台湾人』の概念を広げる必要がある」と訴えた。

簡氏は、現在、台湾は世界の注目を集めており、台湾企業が海外展開を進めざるを得ないのは事実だと語る。その上で、オランダのフィリップス(Philips)は世界的な製造企業へと成長したが、本社は依然としてオランダに置いていると指摘。台湾企業も研究開発(R&D)の中核を国内に残しつつ、重要な国で製造を行い、遠隔管理を行うべきと提言した。

こうした構想は、単に生産を海外に移転することで関税引き下げや地政学的リスクの回避を図るというだけに留まらず、人材確保を目的とすると同氏は強調する。「かつての台湾企業は海外を市場ではなく工場とみなし、外国人を人材ではなく労働力としてしか扱ってこなかったが、世界が台湾を必要とし、台湾もまた世界を必要としている以上、他国の力を活用すべきだ」と述べ、台湾はグローバル人材を統合し、保有する資本を背景に「スマートマネー」の活用法を思案し、技術買収や人材買収を通じて「台湾人」の概念を拡張していくべきとの考えを示した。

さらに簡氏は、現在、台湾株における外国人投資家の持ち株比率が49.9%に達しており、台湾は「量的変化から質的変化」へと進む可能性があると指摘。台湾はすでに資本集約型の時代に突入しており、これは技術集約型とは全く異なるため、統合(インテグレーション)を学ぶ必要があると説く。同時に、台湾企業は外国の労働者を搾取するのではなく、機会を提供する存在になるべきだと訴えた。

また、台湾のソフトウェア産業の規模は大きくないものの、AIの活用により規模を拡大し、速度向上や参入障壁の引き下げが可能となると指摘。こうした変革は産業の再編を招くため、ソフトウェア産業が巨大な米国、インド、中国では痛手を被る企業も多くなる可能性があるが、ゼロからのスタート(From scratch)となる台湾にとっては絶好の機会となるとの認識を示し、「台湾のソフトウェア産業をハードウェア産業の上に発展させ、ハードウェアと共に海外へ飛躍すべきだ」。台湾はさらにAIの学習に注力し、ハードウェア産業の効率を高め、管理能力を強化すべきだと同氏は語る。

簡氏は、台湾のソフトウェア起業家に対し「すべてをやり直す」よう奨励している。失うものが少なく、得られる機会が極めて大きいためだ。AI時代においては、起業経験者が最も価値を持つ。彼らはあらゆる業務を経験しており、AIツールを手にして再出発すれば、最大の効率を発揮できるからだ。これは、損失が大きくなる米国やインドとは対照的である。

この時代にトップ1%の人材になるためには、個人の「AIアバター」を構築し、AIに自らの業務プロセスを支援させる必要があると氏は呼びかける。その上で「自分が忙しい時に、AIを遊ばせておいてはならない。若い世代は自らのAIエージェントの管理方法を学ぶべきであり、すべてを自ら行い、苦労を美徳とする過去の概念を踏襲してはならない。すべてに関与するが、すべてを自分自身でやるわけではないというアプローチへの転換が求められている」と訴えた。

編集:平松靖史

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