中国戦略原潜から弾道ミサイル発射 豪・NZ反発、南太平洋で軍事圧力常態化の懸念

2026-07-06 15:07
2019年4月23日、中国人民解放軍海軍の創設70周年を記念し、山東省青島で海上閲兵式が行われた。写真は晋級原子力潜水艦「長征10号」。(写真/AP通信)
2019年4月23日、中国人民解放軍海軍の創設70周年を記念し、山東省青島で海上閲兵式が行われた。写真は晋級原子力潜水艦「長征10号」。(写真/AP通信)

中国海軍の戦略原子力潜水艦が6日午後0時1分(日本時間午後1時1分)、太平洋の公海上に向けて、訓練用の模擬弾頭を搭載した潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を発射した。中国側は「年次訓練の一環」と強調している。

ただ、同日には山東省青島で中露合同軍事演習「海上合同2026」が開幕したほか、オーストラリアがフィジーと重要な防衛協定を締結したばかりだった。今回の軍事行動は南太平洋諸国の警戒を招いており、オーストラリアとニュージーランドの外相は相次いで声明を発表し、中国の行動は「地域の安定を損なう」と非難した。

ニュージーランド政府は、中国側からの通報が発射の数時間前だったことにも不満を示している。

中国「特定の国を対象とせず」

中国国営新華社通信によると、中国海軍は6日、公式の微信(ウィーチャット)アカウントで声明を発表した。声明では、今回のミサイル発射について「中国側の年次軍事訓練における定例の取り組みであり、関係国には事前に通報した」と説明した。

さらに、中国側は「国際法と国際慣例に合致しており、特定の国や目標に向けたものではない」と主張している。

中国が国際水域に向けて戦略ミサイルを試射するのは、2024年9月にロケット軍が仏領ポリネシア付近の太平洋海域へ大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射して以来となる。

一方、ニュージーランド国防軍(NZDF)の内部機密文書では、中国の遠洋海軍活動や弾道ミサイル試射が、今後、太平洋地域における「新常態」となる可能性への懸念が示されている。

事前通報はICBM、実際はSLBMか

今回の試射は、タイミングの敏感さに加え、事前通報された内容と実際の発射手段が異なっていた可能性があることから、中国側の透明性にも疑問が出ている。

豪紙『シドニー・モーニング・ヘラルド』と『オーストラリアン』はいずれも、中国当局が事前にオーストラリアなど周辺国政府へ説明した際、通報内容は「大陸間弾道ミサイル(ICBM)」の試射だったと報じた。

しかし、実際に行われたのは、海軍の戦略原潜から水中発射されたSLBMだった。発射に関わる軍種も、秘匿性の高い発射母体も異なる。

ミサイル発射の数時間前にあたる6日午前9時ごろには、山東省青島の軍港で中露合同軍事演習「海上合同2026」の開幕式が行われたばかりだった。

中国共産党機関紙の傘下にある『環球時報』によれば、今回の中露合同演習は両国海軍の混成編成で行われ、合同偵察・早期警戒、防空・ミサイル防衛など複数の実弾演習が含まれる。演習終了後には、太平洋で「海上合同巡航」を実施する計画だという。

AFP通信は、今回のSLBM発射が中露軍事演習の予定された一部だったかどうかは確認できないとしつつ、二つの大規模な軍事行動が同日に重なったことで、地域の緊張をさらに高めたとの見方を示している。 (関連記事: 【独占】2027年の台湾海峡危機は遠のいたのか 習近平氏の軍粛清と揺らぐ中共後継体制を専門家が分析 関連記事をもっと読む

豪・NZが反発「地域の安定損なう」

中国の遠洋での軍事行動に対し、南太平洋諸国は警戒を強めている。

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