「TSMCの独走は2029年まで」アナリストが予測 サムスンは1.4ナノ量産を先送り

2026-07-13 17:06
アナリストの謝明哲氏は、少なくとも2029年までTSMCにライバルは不在だと指摘する。(写真/資料写真、魏鑫陽撮影)
アナリストの謝明哲氏は、少なくとも2029年までTSMCにライバルは不在だと指摘する。(写真/資料写真、魏鑫陽撮影)

また、韓国メディア、The Bellは、韓国サムスン電子(Samsung)が1.4ナノプロセスの開発を再開したものの、量産開始は2029年に延期されたと報じている。こうした状況下で、ファウンドリー世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の地位は揺らぐだろうか。ベテランアナリストの謝明哲(しゃ・めいてつ)氏は、経済番組『鈔銭部署』に出演し、TSMCは少なくとも2029年まで業界内で圧倒的な優位性を保つとの見解を示した。

謝氏によると、最先端プロセスや先進パッケージング技術において、TSMCの生産能力は米エヌビディア(NVIDIA)や米アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)といった大手顧客によって実質的に独占されている状態だ。そのため、多くの企業がサプライチェーンのリスクを分散すべく「第2の調達先」を模索しており、「脇役」企業が今後「​主役」に躍り出る可能性もあるが、それにはまだ時間を要するとみられ、最先端のプロセス技術に限って言えば、「TSMCの独走状態は少なくとも2029年まで続く」と同氏は指摘する。

TSMCの1.4ナノプロセス、2028年量産開始

さらに謝氏は各社のロードマップに言及し、サムスンは1.4ナノプロセスの量産時期を2029年に先送りしたと指摘。また、インテルは2028年に同プロセスでの「リスク生産」を開始し、2029年に量産へと移行する計画だ。対照的に、TSMCは2028年に1.4ナノプロセスの量産を始める予定で、これにより少なくとも2028年以前においては競合を引き離し、トップの座を維持すると分析している。

リスク生産(Risk Production)とは、製品の本格的な大規模量産に先立ち、小規模で行われる初期生産を指す。その主な目的は、製造プロセスの実現可能性を評価し、生産ラインの欠陥を特定して歩留まりを確認することである。この段階において、メーカーはすべての指標を検証し、潜在的な不具合のパターンを評価する。さらに状況に応じて新製品導入(NPI)プロセスを通じ、量産に伴うリスクの低減を図る。

謝氏はまた、最先端プロセスの競争は単なる「ノード名(微細化の呼称)」を競うものではないと強調した。実際の競争力は、パフォーマンス、消費電力、チップ面積、歩留まり、EUV(極端紫外線)露光装置の稼働状況、そして量産規模といった総合的な要素で決まる。AI関連の巨大顧客から受注を獲得できるかどうかも、ひとえに製造プロセスの成熟度にかかっている。

同氏は過去の事例として、2015年に起きた「チップゲート事件」を挙げた。当時、米アップル(Apple)が発売した「iPhone 6s」にはTSMC製とサムスン製のチップが混在していたが、TSMC製の方が省電力性に優れ、端末の発熱も抑えられていることが明らかになった事件で、謝氏は「仮に同じプロセスのチップであっても、製造技術や歩留まりが異なれば、顧客が製品に対して抱く印象も大きく変わる」と指摘した。

極端紫外線(EUV)露光装置の導入数についても謝氏は触れ、2027年におけるTSMCの導入数が40台以上に達するのに対し、インテルは9~11台、サムスンは5~7台にとどまると予測し、TSMCが引き続き最大の導入規模を誇ることを示している。「TSMCは依然として世界で最も重要なファウンドリである」と同氏は断言する。

現在、TSMCは海外での工場建設を進めているものの、最先端のプロセス拠点は台湾国内に留め置かれている。南部科学園区(南科)では3ナノ、2ナノ、および「A10」プロセス、新竹科学園区(竹科)では2ナノおよび「A14」プロセスが展開される一方、米国や日本の工場では主に3ナノプロセスの生産を担う計画だ。

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