中国軍の台湾上陸は本当に困難か 米専門家がノルマンディーと一江山島戦役から分析、米介入にも慎重論

1944年6月6日、連合軍によるノルマンディー上陸作戦の様子。(写真/Wikipediaより)
1944年6月6日、連合軍によるノルマンディー上陸作戦の様子。(写真/Wikipediaより)

台湾で毎年実施される「漢光演習」が8月5日に始まった。今年の演習は10日間9夜にわたり、常備・予備役合わせて約2万人が参加する。「コンピューター支援指揮所演習」「即時戦備演習」「統合防衛演習」などが含まれ、戦備態勢の展開、戦力の防護・温存、統合的な上陸阻止、縦深防御・持久作戦という4段階で構成される。近年では比較的大規模で、実戦に近い演習とされている。

国際的には、中国人民解放軍(中国軍)が大規模な兵力を台湾に上陸させる能力を持つのか、あるいは台湾を封鎖できるのかを巡る議論も続いている。

こうした中、ワシントンの戦略専門家は、台湾と米国は中国を過小評価すべきではなく、1955年に中国軍が行った「一江山島戦役」の水陸両用作戦の経験にも目を向ける必要があると指摘する。また、台湾問題を巡る米中双方の利益は一致しておらず、台湾海峡で戦闘が発生しても、米国が必ずしも介入するとは限らないとの見方を示している。

中国軍の水陸両用作戦能力をどう見るか

米国の政策立案者や戦略専門家の間では従来、中国軍が台湾や周辺の島々に対して大規模な水陸両用上陸作戦を実施する能力があるのかについて懐疑的な見方があり、水陸両用作戦そのものも極めて複雑だと考えられてきた。

これに対し、米シンクタンク「ディフェンス・プライオリティーズ(Defense Priorities)」のアジア担当ディレクター、ライル・ゴールドスタイン(Lyle Goldstein)氏は、中国軍の水陸両用作戦に備える政策を「希望的観測や歴史の誤った解釈の上に築くべきではない」と指摘した。

ゴールドスタイン氏は台湾メディア『風傳媒(ストームメディア)』の電子メール取材に対し、過去1世紀を世界的に見ると、大規模な海上上陸作戦の多くが戦略的な成功を収め、失敗例は少数だったと説明した。

1944年の連合軍によるノルマンディー上陸作戦と比較した場合、中国軍が台湾で被る損失は「より大きくなる」可能性はあるものの、中台間の火力に大きな差があることを考慮すれば、その損失はノルマンディー上陸作戦のD-Dayと同程度となる可能性もあるとの見方を示した。

ゴールドスタイン氏によると、ノルマンディー上陸作戦当日の連合軍の損失は、ドイツ軍と比較して相対的に軽かった。オマハ・ビーチでは激しい戦闘となったものの、D-Day当日の連合軍の戦死者は計4414人で、6月6日にノルマンディーへ上陸した兵士全体の3%未満だったという。

今後、中国軍が台湾への侵攻作戦を行う場合、その規模はノルマンディー上陸作戦と同程度、あるいはそれを上回る可能性が高いとみる。

「もう一つの類似点は、中国軍が数の面で台湾の防衛戦力を大きく上回ることだ。より多くの艦艇、作戦機、兵士を持っている」と指摘した。 (関連記事: ラッド元豪首相、「2028年台湾海峡危機説」に改めて言及 「真の焦点は米軍の抑止力」 関連記事をもっと読む

戦略面について、ゴールドスタイン氏は、台湾の防衛が直面する問題は1944年初頭のドイツ国防軍の将官らが抱えていた問題とよく似ていると分析する。

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