JR東日本の喜勢陽一代表取締役社長は4日、日本記者クラブで会見を開き、グループ経営ビジョン「勇翔2034」に基づく今後の事業展開や安全対策について説明した。同社は鉄道を中心としたモビリティ事業と、不動産や流通などの生活ソリューション事業を両輪とする成長戦略を掲げている。
モビリティ事業においては、人口減少社会にあっても成長の余地があるとし、中央線グリーン車の導入効果が当初想定の80億円を上回る営業収益を記録したことなどを挙げ、2031年度までに3000億円のトップライン増収を目指す方針を示した。
また、羽田空港アクセス線の東山手ルートを2031年度に開業する計画を順調に進めており、臨海部ルートの同時開業に向けても関係者との協議を継続している。
安全投資に1兆3000億円、輸送障害を受け対策強化
安全面については、長年掲げてきた「究極の安全」という理念を基盤としつつ、顧客視点に立った「安心」の提供へと深化させる決意を表明した。これに伴い、2024年からの5年間で1兆3000億円の安全投資を実施する。
地震対策として、海底地震計を活用した早期検知システムの導入により、新幹線や在来線の緊急停止を従来より約20秒早く行える体制を整備した。
さらに、今年初頭に相次いだ大規模な輸送障害の反省を踏まえ、業務フローの抜本的見直しや、山手線沿線へのドローンステーション設置による点検迅速化、修繕費の増額などを通じて安定輸送の確保に努めている。
生活ソリューション事業では、2033年度に収益利益を倍増させるという従来の目標を2年前倒しし、さらなる上積みを図る。
3月に開業した高輪ゲートウェイシティを「100年先の心豊かな暮らしのための実験場」と位置づけ、スタートアップ企業との協業や100億円規模のファンドを通じた社会課題の解決を目指す。
また、決済プラットフォームであるSuicaについても「Suicaルネッサンス」を展開し、来年3月に高輪ゲートウェイ駅や品川駅などでウォークスルー改札の実証実験を開始するほか、今秋には決済上限額を30万円に引き上げるなど、生活デバイスとしての機能を拡充する。
水素車両や地方創生を推進、組織改革も加速
環境対策や地方創生に向けた取り組みも加速させている。水素を燃料とするハイブリッド車両「HYBARI(ひばり)」を2027年度末に南武線や鶴見線で営業運転を開始する計画のほか、農業法人への出資を通じた農地の集約や生産性向上、オンライン医療ブースの地方駅への展開などを進める。
社内体制においては、社員が働きがいを持てる環境づくりのため、全社員を総合職に統一する人事制度改定を4月に実施し、支社などの中間階層を廃止して第一線職場に権限を移譲する大規模な組織再編を行った。同社はこれらの変革を通じ、2031年度にグループ全体の営業収益4兆3000億円の達成を目指す。
世界を、台湾から読む⇒風傳媒日本語版 X:@stormmedia_jp
編集:小田菜々香


















































