2021年、新型コロナウイルスの感染が拡大し、ワクチンやマスクなどの感染対策物資が不足する中、仏教慈善団体の慈済、鴻海精密工業(ホンハイ)、台湾積体電路製造(TSMC)は計1500万回分のBNTワクチンを調達し、政府に寄贈した。ワクチンは政府によって配分され、当時の中央感染症指揮センターも民間団体による貢献について繰り返し公に言及していた。
その後、慈済基金会のワクチン調達を巡って詐欺事件が発覚し、検察・調査当局は捜査を終えて関係者を起訴した。事件を巡る政治的な波紋も広がっている。
総統在任中に新型コロナ対策に当たり、自ら花蓮を訪れて証厳法師に謝意を伝えた蔡英文前総統は7日午後、フェイスブックを更新。「危機が訪れた時、人々は特定の政党を信じる必要はない。しかし、専門性は必ず信頼しなければならない」と強調した。
指揮センターは当時から警戒 陳時中氏、王必勝氏が振り返る
慈済が10億台湾元を超える詐欺被害に遭ったとされる事件が明らかになった後、前衛生福利部次長の王必勝氏は6日、フェイスブックで当時を振り返った。
王氏は、時間がたつにつれて、当時の指揮官だった陳時中氏の判断の賢明さが分かるとして、陳氏から何度も「我々は混乱してはならない」と念を押されていたと明かした。
その翌日の7日、陳氏もフェイスブックを更新し、慈済基金会が詐欺被害に遭ったことについて遺憾の意を示した。
陳氏によると、当時の指揮センターはワクチンの確保に全力を挙げる一方、台湾社会がワクチン仲介業者に狙われ、詐欺被害に遭うことも防ぐ必要があったという。
しかし、当時繰り返し注意を促したことが特定の政党や政治家の攻撃材料となり、政府がワクチンの導入を妨げているとの批判につながったと指摘。自身も「金銭のために人命を害した」との汚名を着せられ、現在もなお、そうした主張を信じている人がいるとの認識を示した。
蔡英文氏、ワクチン調達当時の政府の姿勢を説明
蔡氏は投稿で、コロナ禍では多くの医療従事者や感染症対策に携わる人々が感染のリスクを抱えながら最前線に立ち、企業や宗教団体、民間団体も台湾が少しでも早くワクチンを確保できるよう力を尽くしたと振り返った。
そのうえで、防疫に関わったすべての人々に改めて感謝を表明した。
蔡氏は、ワクチン調達は外部から見える以上に困難だったと説明。当時は世界的にワクチン供給が極めて逼迫し、各国が調達を競う中、あらゆる可能性のあるルートを通じて確保に努める必要があったという。
一方で、人々の焦りが強まり、時間が切迫している時ほど、政府は混乱してはならなかったと強調した。
国家の資源には国民の健康と信頼がかかっているため、調達先や文書、支払いの一つ一つを確認する必要があり、機会を逃さないと同時に、国家や国民が詐欺被害に遭うことも防がなければならなかったと説明した。
蔡英文氏「慈済も被害者」 司法による事実解明に期待
蔡氏はさらに、当時の防疫チームは大きな圧力の中で時間と闘いながら、手続きと専門性を守らなければならなかったと振り返った。
そのため、当時の多くの判断や決定は必ずしもすぐには理解されなかったものの、現在振り返れば、慎重な判断の背景にあった責任の重さをより理解できるとした。
今回の事件については、慈済が資金を投入してワクチンを寄贈しようとした出発点は人命を救うことだったと指摘。調達過程で詐欺が関わっていたとされる今回の事件では、慈済も被害者だとの認識を示した。
そのうえで、司法による調査を尊重するとし、関連する事実が明らかになり、被害者の権益が守られることへの期待を示した。
投稿の最後では、コロナ禍でそれぞれの立場から役割を果たした人々に改めて感謝を表明した。
また、コロナ禍を通じて、台湾社会が危機の際にともに責任を担い、互いに助け合おうとする姿勢が示されたとしたうえで、困難で切迫した時ほど、冷静さと専門性、制度によるチェックが重要だと改めて強調した。
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編集:梅木奈実


















































