防衛省が公表した令和8年版防衛白書は、中国の対外姿勢や軍事動向を、日本と国際社会にとっての「深刻な懸念事項」であり、「これまでにない最大の戦略的な挑戦」と位置付けた。
中国は透明性を欠いたまま、継続的に高い水準で国防費を増加させ、核・ミサイル戦力や海上・航空戦力を中心に、軍事力の質と量を広範かつ急速に強化していると指摘した。
中国空母の太平洋での活動が活発化
日本周辺では、2025年6月に中国海軍の空母1隻が硫黄島より東側の海域で活動したほか、空母2隻が太平洋上で活動した。同年12月には、空母が沖縄本島東方から奄美大島東方にかけての太平洋上で活動した。
中国軍機による自衛隊機への特異な接近も相次ぎ、2025年12月には、中国軍戦闘機が自衛隊機に対して約30分にわたり断続的にレーダーを照射する事案が発生した。
白書は、中露爆撃機による共同飛行などにも触れ、中国がロシアとの軍事的な連携を一層強化しているとの認識を示した。
米国、第一列島線での「拒否的防衛」を重視
米国では、2025年1月に第2期トランプ政権が発足し、同年12月に国家安全保障戦略を発表した。白書は、米国が中国を念頭に、第一列島線に沿った強固な拒否的防衛を構築する姿勢を示していると記した。
米中両国は、半導体やレアアースなどの重要鉱物をめぐり、輸出管理の強化を含む対抗措置を応酬する一方、偶発的な衝突を避けるため、軍事当局間の意思疎通を維持している。
米国は南シナ海や台湾周辺における中国の軍事的威圧を批判し、フィリピンで地上発射型中距離ミサイルシステムの展開を継続している。
台湾に対しては、2025年12月に無人機など総額約111億ドル規模の武器売却を決定するなど、同盟国やパートナーとの連携を強化している。
中台軍事力バランス、中国側に有利な方向へ
台湾情勢について、白書は、中国が頼清徳政権への圧力を続け、台湾周辺での軍事演習を通じて、中国軍が常態的に活動する状況の既成事実化と実戦能力の向上を図っていると分析した。
中台の軍事力バランスは、全体として中国側に有利な方向へ急速に傾いていると指摘している。
陸上兵力は中国の約95万人に対し、台湾は約9万5000人。近代的な第4・第5世代戦闘機は、中国が計1838機を保有する一方、台湾の第4世代戦闘機は計323機となっている。
台湾は米国からの武器調達や装備品の自主開発を進めるとともに、2025年の軍事演習「漢光41号」などを通じ、非対称戦力や社会全体の強靱性を高めることで防衛力の強化を図っている。
台湾周辺で海底ケーブル損傷
白書は、新たな課題として、台湾周辺海域で相次いだ海底ケーブルの損傷事案も取り上げた。
2025年1月には台湾北部海域で国際通信用の海底ケーブルが損傷し、同年2月には台湾本島と澎湖諸島を結ぶ海底ケーブルが切断された。
白書は、こうした事案について、意図的な破壊であればハイブリッド戦の一要素となる可能性があるとの指摘を紹介した。
海底ケーブルは国民生活や経済活動に欠かせないインフラだとして、損傷事案を重大な関心を持って注視する必要があるとの認識を示した。
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編集:梅木奈実

















































