深刻化する財政赤字を補うため、中国政府が数千億ドル規模に上る税収の確保を目指し、富裕層の海外所得を対象とした大規模な税務調査に乗り出そうとしている。
英紙『フィナンシャル・タイムズ』によると、中国当局は国内の富裕層が海外で得たキャピタルゲインや投資収益への調査を全面的に強化する。一部の事案では2000年まで遡って調べるほか、資金流出への管理も強める方針だという。
複数の外国当局者、中国の銀行関係者、ファミリーオフィスの幹部は同紙に対し、中国の金融監督当局が富裕層の海外投資記録を全面的に精査し、税務当局に正確に申告しているかを確認する方針を示したと明らかにした。
主な対象は、海外の不動産や株式、貴金属、暗号資産などから得たキャピタルゲインで、当局は詳細な調査と税額の算定に着手するという。
税金・罰金の納付まで富裕層の口座を凍結
華南地方のプライベートバンク幹部が匿名を条件に明らかにしたところによると、ここ数カ月、中国の主要銀行は税務当局への協力を強め、富裕層の預金口座を直接凍結し始めている。
口座の凍結は、当事者が海外資産や信託のキャピタルゲインに対する税金と罰金を完納するまで続くという。
同幹部は「最も多いのは、調査対象となった富裕層が口座の凍結を早期に解除してもらうため、直ちに現金を用意し、税金と罰金を納付するケースだ」と説明した。

税務調査の遡及期間は事案によって異なる。深圳のファミリーオフィスの責任者によると、顧客の一人は2017年から2022年までに得た海外資産のキャピタルゲインについて、税金を追加で納めるよう求められた。当局からは、なぜこの期間が指定されたのか説明がなかったという。
カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)で中国政治経済学を専門とするビクター・シー教授は、一連の動きの背景には明らかに財政上の圧力があると分析した。
中国の不動産市場が急落する中、国有地使用権の譲渡収入は2021年の8兆7000億人民元(約203兆円)から、2025年には4兆1500億人民元(約96兆円)まで急減した。
2025年の予算収入全体も前年比1.7%減の21兆6000億人民元となり、当局は富裕層への課税強化を迫られている。
オフショア信託の所得に20%の税率
過去の未納税額の調査に加え、中国財政部と国家税務総局は7月、オフショア信託を通じた資産移転の抜け穴を封じる新たな規定を発表した。
これまで富裕層がオフショア信託を利用し、中国国内での税負担を回避してきた仕組みに対する規制を強化し、オフショア信託から生じる所得に20%の税率を適用する。
中国人富裕層の資産管理を支援するシンガポールのプライベートバンカーは、新たな規定が明らかになった後、顧客が「極度のショック」を受けたと語った。
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「これまで多くの人がオフショア信託を利用し、香港や米国で上場した企業の株式を保有することで税負担を抑えてきたが、今ではその利点が完全に失われた」

















































