日本外国特派員協会(FCCJ)にて7月31日、日本茶業中央会の上川陽子会長および鈴木定美専務理事が記者会見を開き、日本茶産業の現状と今後の課題について説明を行った。
上川氏は、近年の世界的な抹茶ブームの恩恵を受ける一方で、日本の地域名を騙る模倣品が国内外で流通している現状を指摘し、地理的表示(GI)保護制度を通じた日本茶ブランド防衛の重要性を訴えた。
日本茶輸出が過去最高、抹茶需要の急増で生産転換進む
2025年の世界における茶の年間生産量は約700万トンに上る一方、日本の年間生産量はその約1%にとどまる。しかし、日本の茶の輸出額は721億円に達して前年比98.2%増となり、輸出量も1万2672トンで同43.4%増と過去最高を記録している。
最大の市場である米国が全体の約35%を占め、欧州やアジア、中東など世界各地で日本茶の需要が急速に拡大している状況が浮き彫りとなった。需要の急増に伴い、生産現場では従来の煎茶から抹茶の原料となる碾茶への転換が急激に進んでいる。
鈴木専務理事は、碾茶の栽培には日光を遮るための被覆作業や病害を防ぐための高度な栽培管理が不可欠であり、適した品種への植え替えには約5年を要するなど技術的および時間的な障壁が極めて高いと言及した。
さらに、抹茶専用の工場施設など設備投資の負担も大きいため、行政による補助金や融資などの支援が急務であると説明した。
同時に、碾茶への転換が過度に進めば、煎茶の供給不足によって国内向けの煎茶価格が2倍近くに高騰し、日本の消費者が麦茶など他の飲料へ流出してしまう恐れがあると警告し、伝統的な煎茶と抹茶の生産・供給バランスを安定的に保つ必要性を強く訴えた。
生産者の高齢化が課題、ティーツーリズムにも期待
生産者の高齢化と茶農地面積の減少も日本の茶産業における深刻な課題として挙げられている。日本の茶の栽培面積は2002年の4万9000ヘクタールから直近では3万3000ヘクタール台にまで落ち込んでいる。
上川氏は、30年から40年先を見据えた持続可能な産業構造を構築するためには、若手就農者の育成が最重要課題であると述べた。その具体的な解決策として、若い世代の農家が強い関心を持っているスマート農業の推進を挙げ、長期的な視点に基づく政府の支援政策を実現していく意向を明確に示した。
さらに上川氏は、日本茶の価値を世界へ発信するソフトパワー外交の一環として「ティーツーリズム」の大きな可能性について言及した。
数年前に欧州の雑誌記事をきっかけに静岡県の茶工場を訪れた外国人観光客が当初わずか3人であったのに対し、現在では単一の工場に年間500人以上が訪問するほどのダイナミックな成長を見せているという。
茶摘みから製造、試飲までを包括的に体験できるプログラムが鹿児島から埼玉に至る全国の産地で展開されており、今年で第80回を迎える全国お茶まつりなどの品評会を通じた技術向上と併せ、日本茶文化のさらなる国際的認知の拡大と産業の強靭化を目指す構えだ。
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編集:小田菜々香














































