【インタビュー】一本のニンジンに宿る料理哲学 米澤文雄が語るNo Code Taipeiの味

2026-08-01 10:47
東京のNo Code本店が持つ隠れ家的な雰囲気とは異なり、No Code Taipeiは、米澤文雄氏が当初思い描いていたレストランの姿により近いという。(写真/No Code提供)
東京のNo Code本店が持つ隠れ家的な雰囲気とは異なり、No Code Taipeiは、米澤文雄氏が当初思い描いていたレストランの姿により近いという。(写真/No Code提供)

インタビューは、わずかな沈黙から始まった。

「No Code Taipei」を手がける米澤文雄は、質問に目を通すと、少し笑った。日本語と英語を行き来しながら、時折言葉を止め、考えを組み立て直していく。事前に質問項目を受け取った際、広報担当者には英語で一言、「Very difficult」と返したという。

そうした状態は数分ほど続いた。しかし、話題が料理そのものに移ると、米澤の言葉は次第に滑らかになっていった。日本語で話し始めたかと思えば、その続きを英語で補い、話す速度も上がっていく。通訳者が後から「少し追いつくのが大変でした」と笑ったほどだ。

それは、米澤が自分のリズムを取り戻していく過程のように見えた。

抽象的な問いに答えるときには、一度立ち止まって言葉の筋道を整える。一方、料理について話し始めると、説明は驚くほど直接的になる。概念を重ねるのではなく、常に一つの基本的な問いへ戻っていく。

一皿の料理は、どのようにして成立するのか。

「子どものように、すぐ飽きてしまう」

​料理を「創作」として捉えているかと尋ねると、米澤はこう付け加えた。

「僕は子どもみたいなところがあって、すぐに飽きてしまうんです」

軽い冗談のようにも聞こえるが、彼の仕事の進め方を理解するうえで、この言葉は重要だ。

一皿が安定し、完成度の高い状態に到達しても、そこで立ち止まることはない。すでに成立している味であっても、まだ変化させられる部分がないかを探す。塩味をわずかに変える。酸味の輪郭を調整する。香辛料を加える順番を入れ替える。

変化は小さくても、料理全体の印象は大きく変わる。

米澤にとって「完成」は固定された結果ではない。繰り返し確認し、その都度判断し直す状態に近い。そこには、同じ答えにとどまることを嫌う、子どものような好奇心がある。

一皿が完成する瞬間

​米澤は料理を考える際、まず頭の中で味の方向性を組み立てるという。

甘味と酸味をどのような比率にするのか。複数の香辛料をどう組み合わせるのか。最初の段階ですでに、基本的な風味の構造は描かれている。

そのイメージに近い試作を作り、味見を重ねながら微調整する。塩を少し増やすこともあれば、酸味を弱めることもある。香辛料の種類ではなく、使うタイミングを変える場合もある。

一度形になっても、すぐには決定しない。数時間、あるいは一日置いた後、もう一度作り直して味を見る。

味覚は一定ではないからだ。食材の状態や周囲の環境だけでなく、作り手自身の気分によっても判断は変わる。その瞬間には調和していると感じた組み合わせが、時間を置いて食べると、どこか不自然に感じられることもある。

味見を何回繰り返すかは決めていない。料理ごとの状態を見ながら判断する。

では、一皿が完成したと確信するのはいつなのか。

「口にした瞬間に、『これが求めていた味だ』と思えたときです」
(関連記事: 【独占インタビュー】一青妙|10年かけて完成した長編小説『青色之花』 家族と記憶が交錯する真実を描く 関連記事をもっと読む

その基準は数値化されていない。外部の評価によって決まるものでもない。最終的には、自分自身の味覚が納得できるかどうかにかかっている。

最新ニュース
MORE STAR、初のコラボバッテリーが「CHARGESPOT」に登場
【独占】25周年で過去最大規模のSUMMER SONIC 2026へ、世代とジャンルを超えた出演者が集結
第5回青龍シリーズアワードがパラダイスシティで開催、Kコンテンツの殿堂として注目
Cygames、学生対象の「サイゲームス クリエイティブコンテスト2026」を開催へ 9月1日より応募開始
池袋で『北斗の拳』特別企画展が開催へ 8月22日から設定資料や体験型コンテンツを公開
高市内閣の支持率はなぜ急落したのか 物価高と無党派層の支持離れ、その背景は
渋谷の夏を彩る「第7回 渋谷盆踊り」が8月8日に開催へ 日英レクチャー新設や豪華ゲスト登場も
東京ゲームショウ2026ビジネスデイの有料事前登録が受付開始、基調講演などの詳細も発表
BTS「ARIRANG」アジア4都市のチケット価格を比較 最安席は高雄、VIP最高はフィリピン
スタジオツアー東京、初の「ハグリッドの小屋」ハロウィーン限定コレクションを8月5日より発売
アシックス、日本で2店舗目の旗艦店「ASICS FLAGSHIP SHINJUKU」を7月31日にオープン
【寄稿】南シナ海から台湾海峡へ 中国海警局が揺さぶる第1列島線の秩序
NVIDIAと日本がAIおよびロボティクス連携を強化、全産業への物理AI実装を加速
中国、米中首脳会談前にレッドライン提示 関税「20%上限」主張、AI制裁けん制
【東京レガシーハーフマラソン2026】 障がい者アートが国立競技場を彩る!チャリティビブスプロジェクト始動
【アジアパラ2026】開閉会式コンセプトが決定、聖火台等の制作ワークショップも開催へ
出入国在留管理庁、令和8年熊本地震に関する外国人生活支援特設ページを開設
【新新聞】「5年で人類の知性超え」「破局リスク70%」マスク、元OpenAI研究者、DeepSeekから読むAIの未来
災害時の孤立を防ぐ GTNが熊本の企業・教育機関へ多言語支援アプリを無料提供へ
日本人の人口、42年ぶり1億2000万人割れ 91万人減で過去最大、外国人は初の400万人超
モロッコ、台湾人向けビザ手続きを突如停止 台湾外交部は相互主義に基づき対抗措置
日台韓の半導体株が全面安 SKハイニックス一時15%超急落、「買い場」との見方も
猛烈な台風13号(ドルフィン)が急発達 最大瞬間風速80メートル、進路は琉球・九州方面か 台湾への影響は限定的
静岡県初上陸となる銭湯風居酒屋「大衆酒泉テルマエ」が8月1日、静岡駅前にオープン
【舞台裏】台湾の行政院長「私的なWBC訪日」が波紋 日本側に残った不信、林佳龍外交部長の羽田泊へ
西日本最大級の資産運用イベント「第7回 資産運用 EXPO 関西」が8月28日から開催へ
名古屋駅で朝からMLB観戦!「MLB Breakfast Club」を8月24日より期間限定開催
ジョー マローン ロンドン 香りの世界観に迫る限定イベント「シー ソルト アドベンチャー」を開催
ADKグループが次世代AI「Genspark」を大規模導入 全社横断の実証実験を開始
神戸市が持続可能なまちづくりを展開 空き家対策と下水再生リンの資源循環で独自施策を推進
ナビタイムジャパンと台湾交通部観光署、スマート観光推進に向け覚書締結
アートとデザインを巡る2026年夏の韓国カルチャースポット5選
「飛鳥・藤原の宮都」がユネスコ世界文化遺産に登録決定、国内22件目の快挙
【独自】台湾ファン7人に聞くフジロックの魅力 参加歴13年の常連らが語る苗場の初心者向け攻略法
【台湾・食用油問題】発がん性物質が基準値の約4倍 通報遅れの経緯と対象商品・返品方法を解説
チャイナエアライン、桃園―重慶線を10月28日から再開か 運休から約6年8カ月ぶり
【台湾世論調査】蒋万安台北市長、好感度49%で頼清徳総統を上回る 2028年国民党候補でも首位
熊本地震、台湾が「いつでも支援」 頼清徳総統が日本にお見舞い
「困難な時こそ心をつなぐ」台湾・新竹市長、熊本地震にお見舞い 熊本県・熊本市・八代市の安全願う
熊本地震、台湾が4自治体の救助隊を待機 日本側の要請あれば「4時間以内に出発」
熊本M7.1地震、TSMC熊本工場が生産ラインを順次復旧 従業員全員の安全確認、建設工事の一部中断
「2027年台湾侵攻論」は誤読か 元幹部自衛官「台湾海峡の平和は軍事だけで決まらない」
【フジロック2026】雨の最終日も熱演 3日間で約12万人来場 30周年の次回日程を発表
熊本でM7.1、最大震度7 TSMC熊本工場が従業員を避難、津波注意報も
味の素、「夏休みマンネリ」解消へ 7月29日に「氷みぞれつゆ」活用の食育体験教室を開催
NVIDIA、SIGGRAPH 2026にて物理AIおよびグラフィック最新技術を発表