台大法学部卒からステージへ 佳那が語る「夢を諦めない理由」
佳那(KANA-KANA)は最近、SNSでの「台湾大学法学部を卒業したのにアイドルを選んだ」という投稿が話題となった。この件についての反応を聞かれた際、彼女は「全く悲しくなかった」と率直に語った。佳那さんは《風傳媒》の単独インタビューに応じた。さらに、「自分の両親も“怖いおじさん”たちと同じような考え方かもしれない」と笑いながら話し、アイドル活動を始めた当初から「本当に弁護士にならないのか」といった声を何度も聞いてきたため、すでに慣れてしまったという。
佳那は日系アイドルグループ「Primulav」のメンバーで、台湾大学法学部を卒業。大学在学中からアイドル活動を始め、2024年に卒業したばかりだ。最近SNSで、親戚から「卒業後は弁護士になるの?」と聞かれ、「私はアイドルになる」と答えたことを投稿し、一部のネットユーザーから「学歴の無駄遣いでは?」と批判を受けた。それに対し、佳那は高EQで「自分はステージに立つことが楽しい。みんなにも自分のやりたいことを追求してほしい」と答えた。
「私は弁護士にならない。アイドルになります」──台大卒・佳那が選んだ道
彼女は、「台大」という肩書きが人々に強い先入観を与えていると語る。「もし自分が台大法学部卒じゃなかったら、ここまで期待されたり、言われたりしなかったかもしれない」と話す。また、「大学に入ったからといって、特定の職業に進まなければならないわけではない。今アイドルをしているけれど、契約の場面や自分の権利を守るために、法学の知識が役立っている」とも語った。
彼女はその高学歴な背景から、「旧帝国大学出身のメンバーによって結成された日本のアイドルグループ『学歴の暴力』の台湾版」とも形容されている。多くの若者たちが彼女に関心を持ち、声援を送ったことに対し、佳那は「とても感動した」と語った。「日本で同じようなことがあっても、ここまで大きな反響にはならなかったと思う」とも述べ、今回の支持の多くが20代から30代の若い世代であったことも明かした。
佳那(KANA-KANA)は最近、SNSで「台湾大学法学部を卒業したのにアイドルを選んだ」という投稿が話題となった。この件についての反応を聞かれた際、彼女は「全く悲しくなかった」と率直に語った。(写真 Zi:zoo Taipei Co., Ltd.)“学歴より夢”──台湾の才女・佳那が貫くアイドルという生き方
将来の目標については、以前から「日本でアイドルデビューしたい」という夢を持っていたという。過去にはオーディションに合格した経験もあるが、ビザの問題やコロナ禍の影響で実現には至らなかった。「アイドルの活動はスケジュールの変動が激しく、長期的なプランを出せないから、長期ビザが取得できない」と説明した。「毎回日本でライブをやるたびに、1〜2週間の短期ビザしかもらえない。それが今の自分の唯一の心残り。死んだらビザも一緒に棺に入れてほしい(笑)」と冗談交じりに語った。
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また、彼女は「実は大学卒業後にアイドルになったのではなく、台大2年生のときにオーディションを受けて活動を始めた」と明かした。小学生の頃に日本で生活した経験があり、当時からアイドル文化に親しんでいたが、両親の反応を恐れて長らく夢を抑えていたという。現在では「本当に続けるの?」と聞かれつつも、髪型のアドバイスをくれたり、髪を結んでくれたりと、両親は表向きは否定的でも、実際には支えてくれていると語った。
「やらずに後悔するくらいなら、やって後悔したい」──佳那が語る選択の勇気
彼女の成長背景もユニークだ。父の仕事の都合で、台湾と日本を行き来する生活を送っていた。生まれは横浜で、3歳以前の記憶はないというが、小学校の半分を日本で、高校も日本で過ごし、中学校は台湾で通った。家庭は「ごく普通」だと述べているが、高校時代は非常に努力し、全校トップになったこともある。「泣きながら必死に勉強して、台大に合格した」と振り返る。
「いつ死ぬか分からない。怖がってやらないで後悔するくらいなら、挑戦した方がいい」と彼女は言う。明確な「卒業」時期はまだ決めていないが、「だいたい30歳くらいまでかな?」と考えており、「ファンから『80歳までアイドルを続けて欲しい」と言われたけど、もしかしたらそれもアリかも(笑)」と語った。そして「すべてやりきったと思える日が来たら、きちんと『卒業』したい。引退したら戻らない。それが理想の終わり方だと思う」と締めくくった。
佳那(KANA-KANA)は最近、SNSで「台湾大学法学部を卒業したのにアイドルを選んだ」という投稿が話題となった。この件についての反応を聞かれた際、彼女は「全く悲しくなかった」と率直に語った。(写真 Zi:zoo Taipei Co., Ltd.)Primulavの誇り、「中国語で歌う台湾アイドル」として日本へ
アイドル活動を始めたばかりの頃を振り返って、KANA-KANAは「あの時期が一番つらかった」と率直に語る。もともと歌やダンスの経験がまったくなかった彼女は、特にダンスは完全にゼロからのスタート。最初は必死に他人の振りを真似るしかなかったが、力の入れ方がわからず、足の親指を内出血させてしまったという。それでも練習を重ね、後にはTikTokのダンス動画を繰り返し真似ることで記憶力を鍛え、振付の習得が早くなったと話す。現在、彼女にとっての課題は「ダンスや歌」ではなく、「次の目標が見えないこと」だという。彼女にとってアイドルの日常とは、歌い、踊り、ファンと交流しながら、より大きなステージを目指すことにほかならない。
これまでで最も印象的なステージは、TOKYO IDOL FESTIVAL(TIF)だという。デビュー1年目から参加し、昨年は夢だった「SKY STAGE」――お台場のフジテレビ屋上の特設ステージ――に初めて立った。「2年前からの目標だったので、実現できてすごく嬉しかった。でも同時に“この次は何を目指せばいいんだろう?”という気持ちにもなった」と胸中を明かす。少し欲張りだと思いつつも、「もっと多くの人に台湾を知ってほしい、アイドル文化を知ってほしい」と次なる目標を模索している。
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台湾×香港×日本 多言語で挑むPrimulavのアイドル戦略
所属グループPrimulavは、日本式のアイドルスタイルを採用しているが、会社の方針によりすべてのオリジナル曲は中国語で歌うという方針がある。日本でのライブでも基本的にこの原則は変わらず、彼女は「これがうちのグループの一つの特徴。カバーや日本語の楽曲が多い他の台湾アイドルと違って、私たちは中国語で歌う台湾のアイドルとして、日本のファンにも“かわいい”と注目される」と誇らしげに語る。
また、Primulavの強みはメンバーの言語的多様性にもあるという。彼女と妹は幼い頃から日本で育ち、日本語がネイティブレベル。リーダーは香港出身で、広東語が母語だ。香港、マカオ、上海などへの遠征でも言葉の壁はなく、国際的な活動が可能だと強調する。「他のグループに比べて、言語面では本当に強いと思う」と自信を見せた。そして「見た目は王道アイドルだけど、中身は個性的で面白いメンバーばかり」と笑う。
「夢も退路も大事」──台大卒・佳那が歩む“保険としての学歴”という視点
法律の道に戻る可能性について聞かれると、KANA-KANAは「今は平日も仕事があって、休日はほとんどない。でも支援的な立場で社会課題と関わる仕事もしている」と話す。直接的に法学の知識を使うわけではないが、「いつかは絶対に役に立つ」と考えている。どんな職業であれ、「台湾と日本の両方で活動できればいい」とも語る。「台湾では、アイドルと別の仕事を両立している人も多い。学生だったり、メイドカフェで働いたり、みんな何かしらやっている」と現実的な視点を持つ。
夢については「夢はずっと追い続けられるものだと思う」と強調する。最初から明確なビジョンがあったわけでも、自信があったわけでもないが、大学卒業後にアイドルの道を選んだ。母親からは「本気でアイドルになりたいなら、せめて大学は卒業して」と言われたという。彼女自身もそれに同意し、「学歴は人生の保険のようなもの。夢を追いながらも退路を確保することは大切」と語る。
「アイドルの収入は他の職業に比べてずっと少ないけど、私はこの仕事に幸せを感じている。お金よりも、自分が本当にやりたいことをやれていることが一番大事」と笑顔を見せた。