長崎県平戸市は2025年6月1日、イタリア発祥の観光モデル「アルベルゴ・ディフーゾ(分散型ホテル)」の考え方を自治体単位で発展させた「アルベルゴ・ディフーゾタウン(ADT)」として、世界で初めて正式認定を受けた。認定式は市内の宿泊施設「The 曜 Terrace」前にて盛大に開催され、アルベルゴ・ディフーゾ・インターナショナル会長ジャンカルロ・ダッターラ氏より認証が授与された。

アルベルゴ・ディフーゾ(Albergo Diffuso)とは、宿泊、食事、入浴、レセプションなどのホテル機能を一箇所に集約せず、町全体に分散して設けることで、地域の歴史的資産や空き家を活用しながら観光と地域活性化を図るイタリア発祥の概念。平戸市はその取り組みをさらに広げ、街全体を一つのホテルと見立て、住民と観光客の交流を促進するADTモデルとして認証された。


認証を記念し、米蔵を改修した宿泊施設「The 曜 Terrace(ザ・テラス)」がオープン。江戸時代に建てられた歴史ある建物を活用し、総合受付、カフェ、ギフトショップ、メゾネットタイプの宿泊棟(海・山)などの機能を備えている。室内は黒松の梁や柱を活かした和モダンなデザインで、快適性と歴史的趣を両立。キャンペーンとして、6月30日(月)までにご予約をされた方を対象に、2025年12月20日(土)までの宿泊費を50%OFFとするキャンペーンを実施中。

さらに、7月には新たに「甚兵衛邸」もオープン予定。こちらは平戸藩上級武士の旧邸地に立地し、昭和時代の木造住宅を一棟貸切型に改修。ダイニングキッチン、和ギャラリー、ピットリビング、サウナ付きで、4〜10名のグループ利用に対応する。

こうした取り組みは、空き家や歴史的建造物の活用による地域の再生、観光資源の磨き上げ、インバウンド誘客の促進などを狙いとしており、観光庁もこの試みを「地方創生の先駆け」と評価。平戸市の黒田成彦市長は「市の取り組みが点から線、線から面へと広がった成果」と述べ、「懐かしい未来」をテーマに、新しい観光のあり方を提示していく考えを強調した。
予約や詳細情報は、アルベルゴ・ディフーゾタウン公式サイト、およびThe 曜 Terrace予約プラットフォーム、甚兵衛邸予約プラットフォームにて確認できる。
編集:梅木奈実 (関連記事: 石垣島〜台湾・基隆の定期フェリーが9月就航へ 片道1万円から、週3便運航 | 関連記事をもっと読む )
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