イラン、トランプ氏に停戦働きかけ イスラエルとの交戦5日目

2025-06-17 13:37
2025年6月14日、トランプ大統がワシントンDCで大規模なパレードを開催。(AP通信)
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イスラエルとイランの交戦が5日目に突入し、16日夜のイスラエルの攻撃でイラン国営放送とイラン最大のウラン濃縮工場が大規模な被害を受けた。イランは中東諸国を通じてトランプに働きかけ、ネタニヤフに停戦を促すよう求めた。

イスラエル国防軍はイラン・イスラム共和国放送(IRIB)を攻撃したと発表。この放送局はイラン全土をカバーする唯一のテレビメディアで、同時にイラン軍が通信に使用する施設でもある。イランのテレビ映像では、爆発が起きた際にニュースキャスターが席を急いで離れる様子が映っており、17日未明にテヘランからもイスラエルに向けてミサイルが発射され、テルアビブでは空襲警報が鳴り響いた。ロイターは、イランの軍事指導者が殺害され、領空支配権が失われたことは1979年のイスラム革命以来イランの神権統治体制にとって最大の試練になる可能性があると指摘した。

イスラエルのメディア本部攻撃が波紋

AP通信によると、イスラエル国防軍はIRIBへの攻撃の1時間前にその地域に警告を発し、テヘラン中心部の33万人の避難を求めたという。イスラエルのミサイルがイランのテレビ局に命中した際、ニュースキャスターのサハール・エマミ氏が報道席を離れる映像が確認され、すぐに灰と破片がスタジオを覆い、現場からは「アッラーフ・アクバル」(神は偉大なり)の声がはっきりと聞こえた。その後、エマミ氏は別のスタジオから生中継を再開し、空に煙と炎が立ち上る様子が映し出された。このテレビ局は、その建物が4発のミサイルに被弾したと報じた。

イラン外務省のスポークスマン、エスマイル・バカエイ氏は、イスラエルのメディア攻撃を非難し、国際社会にイスラエルに責任を取らせるよう呼びかけた。「世界が見ている:生放送中にイランのニュース機関#IRIBのオフィスを標的とするのは卑劣な戦争犯罪だ」と発言し、イスラエルの国防相は「イランの宣伝機関に対する攻撃」を認めた。SNS上に投稿された映像では「ガラスビル」と呼ばれるイラン国営テレビ局のビルがまだ燃えている様子が確認できるが、当局はまだこの事件の死傷者について発表していない。1人のキャスターは生放送で、数人の同僚が負傷したものの、家族は過度に心配する必要はないと述べた。

ジャーナリスト保護委員会(CPJ)は、イスラエルがイラン国営テレビを爆撃し、生中継を中断させたことに「驚愕」したと表明。CPJ中東代表のサラ・クダ氏は声明で「イスラエルはガザで約200人の記者を殺害し罰せられることなく、中東の他の地域のメディアを標的とする胆力を得た」と述べた。国連とCPJの記録によれば、2023年10月以降、イスラエルのガザへの作戦で少なくとも173人のメディア関係者が亡くなった。 (関連記事: 中東の緊張が高まる中、イスラエルがテヘランを急襲!革命防衛隊司令官を狙撃 関連記事をもっと読む

テヘラン、核交渉再開を模索し終戦を目指す

イラン国営メディアは、イラン外相のアラクチがヨーロッパの外交官に対して、イランが外交手段で紛争解決を図ることに真剣であるとしながらも、現在の重点は侵略行為の対抗にあると述べたと報じた。イスラエルは継続して、今回の軍事行動の目標はイランの核兵器開発能力を排除することであり、目標を達成しない限りは止まらないと主張している。ロイターによると、双方のミサイル発射が数日続いた後、イランはこれまでに224人以上が死亡し、その大半が民間人であると表明。一方、イスラエルはイランが370発のミサイルと数百機のドローンを発射し、24人が死亡し、全員が民間人だったと主張している。