トランプ氏、イラン最高指導者の暗殺を阻止、イスラエルとイランの衝突回避へ調停の意志示す プーチン氏も協力姿勢

2025-06-16 14:52
イラン最高指導者ハメネイ師が10月2日に首都テヘランでの会議に参加し、厳格な表情で講演を聴いている様子。(AP通信)

ロイター通信》は16日、イスラエルは当初、イランの最高指導者ハメネイ師の暗殺を計画していたが、アメリカのトランプ大統領によって拒否されたと報じた。トランプ氏はメディアのインタビューに応じ、「現在のところイスラエルとイランの戦争には関与するつもりはなく、むしろ両国間の衝突を調停する準備がある」と述べた。これは、ロシアのプーチン大統領から電話があり、自らこの調停役を担う用意があると伝えられたことを受けた発言とされる。

米政府関係者2人が《ロイター通信》に語ったところによると、トランプ大統領はイスラエルによるイラン最高指導者ハメネイ師の暗殺計画を却下したという。​そのうちの1人は、「イラン人がアメリカ人を殺したことがあるのか?現時点ではまだない。そうである以上、政治指導者を標的にするような行動は議論の余地すらない」と述べた。報道によれば、イスラエルがイランの核開発を阻止する目的で大規模な攻撃を行ったことを受け、アメリカ政府高官とイスラエル側は緊密な連絡を取り続けているという。

米政府関係者2人によると、イスラエル当局は過去に、イランの最高指導者アリ・ハメネイ師を暗殺できる機会があったとして、米側に計画を伝達していた。しかし最終的に、この計画はトランプ大統領によって却下されたという。この否決がトランプ大統領本人の直接の判断だったかどうかについて、関係者は明言を避けた。ただし、トランプ大統領が最近、イスラエルのネタニヤフ首相と頻繁に電話で連絡を取っていることは確認されている。ネタニヤフ首相は16日、米FOXニュースのインタビューで「世の中には実際には起きていない噂があふれている。私からは特にコメントしない」と述べつつも、「必要に応じて行動を取る。我々にはその意思があり、アメリカも自国にとって何が有利かを理解している」と強調した。

2025年2月4日。米国大統領トランプ(Donald Trump)とイスラエル首相ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)がホワイトハウスで記者会見を行った。(AP)

2025年2月4日、アメリカのドナルド・トランプ大統領とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相がホワイトハウスで記者会見を行った。(AP通信)

トランプ大統領は、かつてイランに対して「60日間の最後通告」を出し、合意の達成を求めたと明かしたが、現在は新たな期限を設定していないと述べた。「新たな期限はないが、双方は引き続き対話を続けている。彼らは合意を望んでおり、実際に交渉を行っている」と語った。今回の衝突が核交渉に与える影響については、むしろ合意の促進につながる可能性があるとし、「今回の出来事は交渉の進展を加速させるかもしれない」との見方を示した。一方、イランのアラグチ外相は日曜日にテヘランで各国大使と会談し、イスラエルによるイランへの連続攻撃は「米国の同意と支持なしにはありえない」と強調し、イラン政府は米国の「関与していない」とする主張を信用していないと述べた。

トランプ大統領は以前より、米国とイランの核交渉再開に期待を示してきた。だが、16日にオマーンで予定されていた米イラン核交渉は、最近の米イラン間の軍事衝突を受けて中止となった。イランのアラーグチー外相は、米国の支援を受けた攻撃のため、今後の核交渉は「合理的に進めることが困難だ」と述べている。ABCニュースの15日インタビューでトランプ大統領は、現時点で米国はイスラエルによるイランへの攻勢に関与していないと語ったものの、イスラエルのネタニヤフ首相が米国に介入を要請したかどうかについては回答を避け、「将来的に介入する可能性は否定しない」と述べた。しかし、トランプ大統領は先週、ロイター通信に対して「イスラエルの攻撃に関しては詳細を把握している」と語っている。ニューヨーク・タイムズ紙は、米国が積極的に関与しなければ、イスラエルがイランの核計画を破壊する目標を実現することはほぼ不可能だと指摘し、トランプ大統領はこの点に関して慎重な姿勢を崩していないと報じている。