台北政経学院基金会、平和と安全センター、中華戦略および兵棋研究協会の共催による「台湾海峡防衛机上演習」が行われ、米国、日本、台湾の著名な軍事指導者の参加により注目を集めている。この「総長級」と呼ばれる机上演習には、前参謀総長の李喜明氏と、彼の師でもある元アメリカ太平洋軍司令官のデニス・ブレア氏が中心人物として名を連ねている。
ブレア氏は、これまで台湾の漢光演習(第19号から第23号)に上級観察員として連続して参加してきた経緯がある。李氏は、現在の台湾軍における合同演習システム(JTLS)や合同作戦訓練システムは、ブレア氏の助言をもとに設計されたものだと明かしている。台湾軍の戦力増強についても、ブレア氏は深く理解しているという。

前参謀総長の李喜明氏(写真)は、国軍合同演習システムがブレア氏の助言のもとに創設されたと語った。(写真/柯承惠撮影)
トランプよりも台湾海峡の不確定要素? ブレア氏「台湾が孤立する可能性は低い
ブレア氏は、援助が全くなければ台湾は数的に不利になり、中国が最終的に成功する可能性があると述べる一方で、台湾が完全に孤立した状態で攻撃を受ける可能性は低いとの見方を示している。

数か月の抵抗が勝敗を分ける 「その間に敗れてはならない」
他国が台湾支援を決定するには時間がかかるため、その間に台湾が戦争に敗北することがあってはならないとブレア氏は警鐘を鳴らす。
台湾が前線を維持し続けることで、各国の政治的判断を後押しし、支援を引き出すことができる。これはアジアの近隣諸国だけでなく、地域外の国々からの支援にも共通する点だという。

ウクライナからの学び 台湾の不対称作戦と無人機活用
台湾国防部は現在、防衛戦略の柱として「不対称作戦」を掲げている。防衛部長の顧立雄氏は、特別予算で無人機や無人艇を購入する方針を国会で明らかにしている。
これに対しブレア氏は、台湾が数年前からこうした技術の重要性を見越し、防衛構想に取り入れてきたと評価している。

台湾だけが標的ではない 中国軍の近代化は多方面
ブレア氏は、中国人民解放軍の軍事近代化は台湾のみを対象にしたものではなく、より広範な目標に向けたものだと指摘している。また、よく言及される2027年が明確な攻撃時期であると断言することには慎重な姿勢を示した。

2027年以降、米台の軍事力が解放軍を上回る可能性も
さらにブレア氏は、2027年はあくまで象徴的な日付にすぎないとし、その時点で台湾や米国の軍事力が中国人民解放軍を凌駕している可能性もあると語った。
今後も軍備競争は続くと見られるが、台湾にとっては希望を持てる展望も示された形となった。
編集:田中佳奈 (関連記事: 美日台軍事机上演習》中国の台湾侵攻で、米日が台湾独立承認?北京学者が民進党主導の「戦略的軍事演習」を疑問視 | 関連記事をもっと読む )
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