独占インタビュー》台湾の新鋭監督・王彥蘋SSFF & ASIA 2025に『Till Next Time』でノミネート

2025-06-14 15:37
台湾の若手映画監督・王彥蘋(ワン・イェンピン)監督が手がけた短編映画『Till Next Time』が、「Short Shorts Film Festival & Asia(SSFF & ASIA)2025」の「Cinematic Tokyo」部門にノミネートされた。(写真/王彥蘋提供)
台湾の若手映画監督・王彥蘋(ワン・イェンピン)監督が手がけた短編映画『Till Next Time』が、「Short Shorts Film Festival & Asia(SSFF & ASIA)2025」の「Cinematic Tokyo」部門にノミネートされた。(写真/王彥蘋提供)
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台湾の若手映画監督・王彥蘋(ワン・イェンピン)監督が手がけた短編映画『Till Next Time』が、アジア最大級の国際短編映画祭「Short Shorts Film Festival & Asia(SSFF & ASIA)2025」の「Cinematic Tokyo」部門にノミネートされた。本作は、アイドルとファンの関係を幻想的かつ断片的に描きながら、「愛」と「喪失」という普遍的なテーマを問いかける作品となっている。

台湾の若手映画監督・王彥蘋(ワン・イェンピン)監督が手がけた短編映画『Till Next Time』が、「Short Shorts Film Festival & Asia(SSFF & ASIA)2025」の「Cinematic Tokyo」部門にノミネートされた。王彥蘋
台湾の若手映画監督・王彥蘋(ワン・イェンピン)監督が手がけた短編映画『Till Next Time』が、「Short Shorts Film Festival & Asia(SSFF & ASIA)2025」の「Cinematic Tokyo」部門にノミネートされた。(写真/王彥蘋提供)

本作は、高雄市電影館と公共電視の共同制作による短編シリーズの一編で、「非典型的な語り」を軸に据えている。

《風傳媒》の独占インタビューで王監督は、「今の自分が最も夢中で関心を持っているテーマがアイドル文化だった」と語った。中学時代からアイドルを追いかけてきたという自身の体験をもとに、「ファンとしての記憶はいつも断片的。そのバラバラな感覚こそ、この作品に合っていると思った」と振り返る。

アイドル文化を通して「愛」と「別れ」を描く

物語では、最愛のアイドルを自死で失ったファンが、その喪失と向き合おうとする姿を静かに描く。王監督は「この作品の中心にあるのは“愛の複雑さ”です」と語る。「多くの場合、私たちの“愛”には“期待”が含まれている。でも、本当の意味で誰かを愛するというのは、その人のすべての選択を受け入れることだと思う」と続けた。

「Short Shorts Film Festival & Asia(SSFF & ASIA)2025」。黃信維
「Short Shorts Film Festival & Asia(SSFF & ASIA)2025」。(写真/黃信維撮影)

撮影現場で印象に残ったのは、主演の徐鈞浩氏によるダンスシーンだったという。ダンス未経験だった彼は当初苦戦し、撮影を見学していたテレビ関係者からは「演出を見直すべきでは」と声が上がった。しかし、最終的に完成したシーンを見た全員が、徐鈞浩の成長に驚かされたという。

王監督の過去作にも共通して描かれているのが、「人と人との関係性」だ。「私たちは日々、誰かと関わらずにはいられない。その関係の在り方は、自分自身にも観客にも響く普遍的なテーマだと思っている」と語る。

台湾の若手映画監督・王彥蘋(ワン・イェンピン)監督が手がけた短編映画『Till Next Time』が、「Short Shorts Film Festival & Asia(SSFF & ASIA)2025」の「Cinematic Tokyo」部門にノミネートされた。王彥蘋
台湾の若手映画監督・王彥蘋(ワン・イェンピン)監督が手がけた短編映画『Till Next Time』が、「Short Shorts Film Festival & Asia(SSFF & ASIA)2025」の「Cinematic Tokyo」部門にノミネートされた。(写真/王彥蘋提供)

今回アイドル文化を題材にした理由について、「メディアではファンは一方的で非理性的と描かれがちだが、実際には純粋に“好き”という気持ちだけで支えられている関係もある」と語った。台湾での上映では、実在のアイドルと重ねて涙する観客の姿もあった。「この作品には、確かに誰かにとって意味があるのだと実感した」と述べた。

SSFF & ASIAは、王監督が大学時代から「いつか参加したい」と思っていた憧れの映画祭だったという。「念願だった場所に、自分の作品で来られることが本当にうれしい。結果はどうであれ、もう十分満足しています」と語った。

「Short Shorts Film Festival & Asia(SSFF & ASIA)2025」。黃信維
「Short Shorts Film Festival & Asia(SSFF & ASIA)2025」。(写真/黃信維撮影)

今後は、短編で培った経験を活かし、長編映画の脚本にも挑戦する予定だという。「そろそろ、もっと長い物語に取り組みたいと思っています」と語る王監督。

王彥蘋監督は、国立台北芸術大学映画創作学科を卒業。『雨水直接打進眼睛』『是日大暑』などで注目を集めた、新世代の感性を映す若き映像作家のひとり。『Till Next Time』は、台湾から世界に届けられる、静かで力強いまなざしを持つ最新作となっている。

​編集:田中佳奈

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