独占インタビュー》2025年「台湾映画上映会」が大学に拡大開催 林家威監督と曾鈐龍センター長が語る

2025-06-01 15:11
イベントのキュレーター・林家威氏。(写真/黃信維撮影)

台北駐日経済文化代表処台湾文化センターが主催する「2025台湾映画上映会」は、例年の台湾映画紹介活動をさらに発展させ、今年は初めて日本の有名大学キャンパスにも拡大した。日本未公開作品を多数上映し、映像と対話を通じて日本の若い世代の視野を広げることを目指している。開催期間中、「風傳媒」は本上映会のキュレーターである林家威(リム・カーワイ)監督と台湾文化センターの曾鈐龍(そう けいりゅう)センター長に独占インタビューを行い、選定方針や日台文化交流の戦略、そして台湾映画の国際的な展望について話を聞いた。

20250525-活動策展人林家威。(黃信維攝)
イベントのキュレーター・林家威氏(写真/黃信維撮影)。
20250525-文化中心主任曾鈐龍。(黃信維攝)
台湾文化センター主任・曾鈐龍氏(写真/黃信維撮影)。

林家威監督は、本上映会のテーマが「歴史と人文の眼差し」であり、歴史的記憶と人間へのまなざしを選定基準にしていると説明する。「台湾映画は中国や香港と比較して、より誠実かつ自由に歴史と向き合い、政治や社会課題に対する見解を表現できる。これは台湾映画最大の魅力の一つです」と語った。また、人と都市、自然との関係を描く際の感性や包容力においても、台湾のクリエイターは際立っていると述べた。

作品選定については「日本の観客がどのような台湾映画を観たいのかを意識しました。今回は、日本で未公開だった8作品を厳選し、主流作品だけでは触れられない台湾映画の現場に日本の観客が出会えるようにしました」と語った。多くの優れた台湾映画が商業的な理由で日本市場に届かない中、この上映会がそのギャップを埋める役割を担っているという。

台湾映画の国際的な魅力について、長年国際共同制作に携わってきた林監督は「中華圏の中でも、台湾は海外との共同制作が最も活発な地域です」と述べ、蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)監督、廖克発(リャオ・コーファ)監督、曾威量(チャン・ウェイリャン)監督などを挙げ、マレーシアやシンガポールとの深いネットワークを紹介した。台湾政府も近年「TAICCA(台湾クリエイティブ・コンテンツ・エージェンシー)」など国際共同制作を支援する仕組みを積極的に推進しており、「今後はベトナムやタイの監督が台湾で映画を撮るような動きがさらに広がっていくだろう」と期待を寄せた。

また、自身に影響を与えた台湾の映画監督として、林監督は「楊徳昌(エドワード・ヤン)監督の作品は私にとって非常に大きな影響を与えました」とし、『牯嶺街少年殺人事件』や『一一(イーイー)』が映像表現や社会構造への理解に与えた影響を語った。さらに、侯孝賢(ホウ・シャオシェン)氏、蔡明亮氏、林書宇(リン・シューユー)氏、張作驥(チャン・ツォーチー)氏らも、自身の創作において重要な存在だと述べた。 (関連記事: 台湾文化センター主催「台湾映画上映会2025」が日大で開催、映画『タイペイ、アイラブユー』上映後には監督と批評家が登壇へ 関連記事をもっと読む

一方、台湾文化センターの曾鈐龍センター長は、主催者の立場から本上映会の方針を語った。今年のキーワードは「キャンパスへ足を運ぶ」。これまでセンター内での上映が主だったが、今年は東京大学、早稲田大学、慶應義塾大学、日本大学、大阪大学など、日本を代表する5大学と連携して8回の上映会を開催する。「無料上映という形で、より多くの日本の若者に台湾と直接触れ合ってもらいたい」と述べた。