舞台裏》朱立倫氏の進退に注目集まる 民進党リコール戦略で国民党に動揺

2025-05-29 17:44
全国的なリコールの動きが期待通りに進まず、青陣営内部では悲観的なムードが漂っている。党主席を巡る権力争いにも影響が及びそうだ。(写真/柯承惠撮影)
全国的なリコールの動きが期待通りに進まず、青陣営内部では悲観的なムードが漂っている。党主席を巡る権力争いにも影響が及びそうだ。(写真/柯承惠撮影)
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台湾全土で展開されるリコール(罷免)運動の第2段階署名が終盤に差し掛かっている。5月23日までに、国民党から31名の立法委員(国会議員に相当)に対するリコール案が提出された。一方、民進党の15名の立法委員に対するリコール案は現在署名中で、5月31日に2名の原住民立法委員である陳瑩(ちんえい)氏、伍麗華(ご りか)氏の署名期間が最初に締め切られ、最後は6月24日の宜蘭県立法委員、陳俊宇(ちん しゅんう)氏となる予定だ。国民党は最後まで諦めないと宣言しているものの、党内部には悲観的な雰囲気が漂っており、民進党の15名の立法委員に対する第2段階署名は通過しないだろうと予想されている。このままではリコール運動は第3段階に突入し、結果は「30±1」対0となり、国民党は歴史的な大敗を免れられないかもしれない。

国民党の主要な党関係者は、当初、民進党のリコール対象者15名のうち、陳瑩氏、伍麗華氏、陳俊宇氏、台北市の民進党立法委員である呉思瑤(ご しよう)氏、呉沛憶(ご はいおく)氏の5名だけが第2段階署名を突破する可能性があると予想していた。しかし、司法当局が国民党の署名不正を調査している重圧の中で、これら5名の民進党立法委員に対する署名状況はかなり悪化しているという。現在、2名の原住民立法委員に対するリコール署名はほぼ停止しており、リコール発起人も辞退を模索しており、5月31日までに提出することは非常に困難な状況だ。呉思瑤氏、呉沛憶氏、陳俊宇氏の署名進捗も滞っており、台北市の両名については署名締め切りが6月7日だが、提出基準達成にはまだ大きな開きがあり、達成の可能性は低いと見られている。

この国民党の重要党関係者は、全国の30の選挙区がリコール第3段階の投票に入る心の準備をしていると強調する。特にこの30の選挙区はすべて国民党の地盤であり、台北市、新北市、桃園市、台中市の4つの直轄市だけで23名の立法委員がリコール投票にかけられる。国民党にとって、7月、8月のリコール投票結果と、10月、11月に行われる可能性のある立法委員補欠選挙の勝敗は、2026年の国民党の県市長選挙に影響を与えることは避けられない。これは2026年の地方統一選挙の前哨戦とも言え、台北市長の蔣万安(しょう ばんあん)氏や桃園市長の張善政(ちょう ぜんせい)氏といった再選を目指す国民党の首長や、総統の座を狙う台中市長の盧秀燕(ろ しゅうえん)氏などが全力を尽くす必要がある。

20250426-国民党26日午後に凯达格兰大道で「反緑共、独裁を戦う」426デモを開催。写真はリコールの署名に取り組む吳思瑤。(撮影:柯承惠)
台北市での2件のリコール案は、6月7日の締切を前に基準達成が困難との見方が強く、中央選挙委員会も5月28日に吳思瑤氏の同意書が基準に達していないと発表した。(写真/柯承惠撮影)

リコールゼロを解消し圧力をかわす 朱立倫氏、党首交代を匂わせる

国民党主席である朱立倫(しゅ りつりん)氏の立場はさらに厳しさを増している。最大の課題は、6月下旬までに国民党が推進した「精密リコール(民進党議員に対するリコール)」が「ゼロ達成」を確定すれば、朱氏は党内公職者や支持者からの圧力を受けざるを得ないということだ。反朱派はこの機会に乗じて朱氏に責任を認めさせ、すぐに辞任しないまでも、続投しないと公に約束させようとしている。彼は5月26日付の「聯合報」のインタビューを通じて、「交代を切望している」との意を示し、反朱派の攻撃を予防し、国民党内の混乱が世論に悪影響を与えるのを防ごうとしている。

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