台湾に「第二の護国神山」?米軍需と連携、半導体に続く戦略産業に浮上

2025-05-27 10:14
台灣大學政治系名譽教授・明居正氏、「下班瀚你聊」に出演。(資料写真/柯承惠撮影)

米国のドナルド・トランプ大統領は、衰退した製造業を米国本土に取り戻し、「アメリカ・ファースト」の実現を目指している。これについて、台湾大学政治学科教授の明居正氏は、《風傳媒》のインターネット番組《下班瀚你聊》に出演し、「米国の軍需製造は数量も規模も不十分であり、速度も追いつかないため、台湾、日本、韓国との協力が進められている。台湾はこの分野で発展を遂げ、“次なる護国神山”となる可能性がある」と語った。

明氏によれば、米国は経済的に豊かになった後、水道光熱費や人件費などのコストが高騰したことを背景に、製造業を他国へ分散させてきた。第二次世界大戦終結後にはヨーロッパを支援し、その後は中国の成長を後押しした結果、自国の製造業が衰退する事態を招いた。中国は台湾の製造技術と香港の不動産投資とを組み合わせて経済成長を遂げたが、その一方でWTOの市場原則を歪め、トランプ政権1期目でも改革に踏み切ることはなかった。こうした背景から、トランプ氏は4年の空白を経て中国への対抗措置を再開したという。

明氏は、「トランプ氏が今すぐに強硬策を講じなければ、中国は来年の米国中間選挙まで事態を引き延ばし、共和党が上院または下院で敗北すれば、米国はもはや中国に対抗する力を失うことになる」との見解を示した。

また、明氏は「米国は自国の軍事力を強化するために再軍備を進めているが、製造業の基盤が弱いために数量も速度も十分ではない。そのため、台湾、日本、韓国との協力が必要となっている」と述べ、すでに米国の軍需企業が台湾を視察している事実を紹介。「今後、本格的に決定すれば、台湾国内で武器を生産することが可能となり、中国が台湾に攻撃を仕掛けても、国外から兵器を輸入せずとも対応できる」とした。そして、「もしこれが成功すれば、半導体が現在の護国神山であるのに対し、軍需産業が“次の護国神山”となる」と力を込めた。

さらに明氏は、韓国《中央日報》が入手した情報として、「米国国防総省が今年8月に新たな国防戦略を発表し、台湾海峡情勢に対応するために在韓米軍が“戦略的柔軟性”を採用する可能性がある」と紹介。これは、米軍の台湾防衛方針がこれまでの「戦略的曖昧さ」から、「本土防衛レベル」へと格上げされることを意味するという。

「まったく驚くべきことではない」と明氏は語り、「米国の閣僚や国務長官は、高性能チップの90%を台湾から輸入していることを繰り返し強調しており、中東の同盟国を守るのと同様の姿勢で、台湾を守ることになるだろう」と述べた。

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