調査》歩行者地獄の大きな抜け穴、6年前に指摘されていたが 交通部は無策だった

2025-05-26 11:43
新北市三峡で重大な死傷事故が発生し、市民は犠牲者のために花や食品を捧げて祈りを捧げた。この事故が再び「歩行者地獄」の問題に注目を集めた。(資料写真、顔麟宇撮影)
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最近、高齢運転者による事故が相次いで発生している。新北市三峡では重大な交通事故が起こり、10名以上が死傷した。また台北市では「今まで運転免許を取得したことがない」78歳の運転者が高速で衝突し、8名が負傷。交通部長である陳世凱氏は5月20日に記者会見を開き、3つの政策を打ち出した。これには試験の難易度を上げて識別度を高めること、違反者の安全運転の意識を強化すること、高齢者の安全な運転を支援することが含まれている。また、高齢者の免許更新年齢を70歳に引き下げ、70歳を超えて免許を返納した場合には、TPASS購入の補助を提供することで、大衆交通機関への乗り換えを促進する方針だ。

しかし翌日には、時代力量や台湾基進、歐巴桑​(オバサン)連盟、民進党が行政院前で抗議し、免許更新年齢の引き下げを評価しつつも、交通部が「ズルズルとした対応」で、超高齢運転者の「一生免許更新不要」という抜け穴を埋めないことを非難した。この問題については、監察院が6年前にすでに是正を提起し、半年前にも立法委員が問題を指摘したにもかかわらず、交通部は依然として両手を広げ、積極的に行動しないと批判されている。

20250521-交通部長陳世凱21日於立院接受媒體聯訪。(顏麟宇攝)
三峽重大交通事故に対し、交通部長の陳世凱氏は3つの政策を打ち出し、高齢運転者の免許更新年齢を70歳に引き下げることを検討している。(資料写真、顏麟宇撮影)

高齢運転事故の死傷者数は年々増加 続けている免許更新不要の状態

この「一生免許更新不要」という抜け穴は何か。『道路交通安全規則』は2017年に改正され、75歳以上の運転者は3年ごとに再発行が必要とされたが、改正以前に75歳以上ですでに免許を持っていた者、すなわち1942年7月1日以前に生まれた現83歳以上の高齢者の免許は終身有効とされ、違反行為がない限り免許更新は不要で、これらの終身免許者も交通部による全面的な管理を受けていない。

統計によれば、台湾全体の60歳以上の普通車運転免許所有者は2014年の183万人から2024年には362万人に増加し、割合は2014年の14.68%から2024年には25.34%に成長している。そして、交通部の道安総動員プラットホームの統計によれば、65歳以上の高齢者の交通事故による死傷者数は確かに毎年増加しており、2014年の3万9853人から2024年には7万6009人に増加。また、高齢者が全国の事故死傷者数に占める割合も絶えず増加し、2014年の9.60%から2024年には14.41%に達している。 (関連記事: 台湾で3人死亡の車暴走事故に新展開?78歳運転手、事故直前に市街地で謎の迂回 関連記事をもっと読む

統計には「60歳以上の免許保有数」と「65歳以上の事故死傷者数」があるが、ある民進党立法委員は、20歳から30歳、30歳から40歳など他の年齢層については統計が区分されているのに対し、高齢者の場合は65歳以上あるいは60歳「以上」と一括りにされ、現行制度では75歳以上で免許を定期的に更新する必要がある。具体的に65歳から75歳の間に何人が免許を持ち運転しているのか、75歳以上の高齢者および法改正前の終身免許者は具体的に何人いるのかを交通部は明確に把握していない。