トランプの「相互関税」が引き金に? 日本国債に崩壊の兆し

2025-05-26 10:55
アメリカのトランプ大統領による相互関税政策が発表された後、世界の金融市場が不安定になり、ドルや米国債が急落したのに続き、日本国債も危機に直面しているのか?(資料写真/AP通信)
アメリカのトランプ大統領による相互関税政策が発表された後、世界の金融市場が不安定になり、ドルや米国債が急落したのに続き、日本国債も危機に直面しているのか?(資料写真/AP通信)

トランプ米大統領が「相互関税」政策を発表したことにより、世界の金融市場は動揺を見せている。米ドルや米国債の急落に続き、日本国債にも危機の兆しが見られているのか──。これについて、経済評論家の阮慕驊(げん・ぼくか)氏は自身のフェイスブックで、日本の国債残高がGDPの250%に達しており、この驚異的な比率は世界でも類を見ないと指摘。これまで破綻を免れてきたのには4つの要因があるとしつつも、「神話はあくまで神話にすぎない」として、日本銀行による「決済の日」が近づいていると警鐘を鳴らした。

トランプ氏は就任以降、米国の巨額な貿易赤字の是正を掲げており、過去には日本が意図的に円安を維持していると批判したこともある。市場では、石破茂政権が米国から円高圧力を受けるとの観測が広がっており、同時に日本の長期国債市場では近ごろ売り圧力が強まっていることから、懸念が高まっている。

阮氏は、日本の国債がGDP比で250%に達していることに触れ、「本来であれば日本国債はとっくに破綻していてもおかしくない」としたうえで、それでも持ちこたえてきた理由として次の4点を挙げた。

1.日本国債の最大保有者は日本銀行であり、「兄弟が同じ下着を履いているようなもの」だと表現。実質的に一体化していることが背景にあるという。

2.円安が長期にわたって続いており、日本銀行は円安によって得られる為替スワップ取引の利益で国債利払いをまかなっている。

3.日本銀行は長年にわたり量的・質的金融緩和(QQE)およびイールドカーブ・コントロール(YCC)を続け、金利とインフレを抑えてきた。

4.日本の深刻な高齢化により、「日本はインフレにはならないデフレ国家である」との認識が広まっている。

「しかし、神話は神話にすぎない。日銀が現実を突きつけられる日が近づいている」と阮氏は警告。さらに、日本の石破首相が「日本の財政はギリシャよりも深刻」と発言したことに言及し、「皇帝の新衣裳を暴いたようなものだ」と表現。加えて「トランプ大統領が円高と利上げを要求すれば、それは日本にとって命取りになりかねない」と述べ、「大嵐が水平線の向こうで着実に育っている」と強い危機感を示した。 (関連記事: 石破首相「中国の現状変更に強く警戒」 DSEI Japanで防衛装備協力の推進を明言 関連記事をもっと読む

中国語関連記事

編集:梅木奈実

世界を、台湾から読む⇒風傳媒日本語版X:@stormmedia_jp

最新ニュース
トランプ氏、EUへの「核弾級」50%関税を警告 電話会談で発動延期に合意
未来を創る共創の場、高輪に集結──GATEWAY Tech TAKANAWA 2025現地レポート
中国軍「ドローン攻撃」を阻止できるのはいつ? 台湾海峡での実現に向け、台湾ドローン産業の奮起が急務―ブルームバーグ報道
調査》歩行者地獄の大きな抜け穴、6年前に指摘されていたが 交通部は無策だった
張鈞凱コラム》戦争は本当に必要か?
スターバックス、台湾全土のおすすめ店舗をチェック!:ヨーロッパ風庭園、童話の小屋で写真とコーヒーを楽しんで
日本滞在9年、台湾人フォトグラファー呂柏霏──歩み、成長、そしてこれから
木宮正史氏、日韓国交正常化60年で講演 日韓の経済連携と対中戦略・構造的転換を語る
台鉄新観光列車「山嵐号」ついに運行開始!予約方法から車内グルメまで完全ガイド
台湾・基隆観光の新定番は廟口夜市じゃない!雨でも晴れでも楽しめる人気スポット5選
台湾「映える廃墟」巡り レトロな建築と歴史が交差する絶景スポット5選
台湾漫画家Peter Mann氏「音楽×漫画」の新境地 日本滞在経験を糧に新作制作へ
世界的人気アニメ「Winx Club」作者が来日 関西万博で日本初の特別イベント
中国は米国だけに嫌われてない! メキシコも怒りの声「政府は100%関税をかけろ」中国製品の安値攻勢に抵抗
米国Genius法案が世界の金融秩序を再構築 金融派大星警告:台湾は準備万端か?
在日台湾人が語る挑戦と再生の日々 「自分を取り戻せた一年」東京留学で見つけた新たな道
都庁プロジェクションマッピングに『ガンダム』登場 累計観覧者60万人突破
上野駅が江戸時代にタイムスリップ 「駅遊都うえど」初開催で江戸グルメや歌舞伎体験
「AIマーケター」誕生 電通の新ソリューションで業界の常識が変わる
2025年屏東おすすめ観光地5選 台湾最南端の楽園・屏東で心癒される旅
調査》中国、金馬澎に浸透「前線の眼」 海巡署、共諜事件に関与した者が昇進
台湾海峡戦争は2027年までに引き延ばされない!産経は沖縄米軍が最初に麻痺すると予測、台湾はこの地が先に占領される
かつて日本建築の巨匠・隈研吾氏に密着取材 旅日作家Mihoがゼロ距離観察の実録を公開
【鉄道×ミシュラン】「鳴日廚房」、移動する美食体験を再定義 陳偉強シェフ&王輔立シェフ監修、唯一無二の四頭アワビバーガーも登場
《SSFF & ASIA 2025》別所哲也と小池百合子が対談:「東京」を再定義する短編映画の力、優秀賞はイタリア作品『外人』に決定
習近平氏の「テック覇権」構想、中国製造2025は世界を飲み込むか?
台海デコード》北京が民進党との交流を望んでいないと誰が言った? ある「合言葉」はすでに準備され、頼清徳が「判断し舵を切る」次第
JR東日本主催「TAKANAWA WORLD FESTIVAL」 高輪ゲートウェイで世界を旅する1日を体験
大阪・関西万博》台湾が「奇跡の島」として万博に登場 新キャラ「a-We」で未来への希望を届ける
石破首相「中国の現状変更に強く警戒」 DSEI Japanで防衛装備協力の推進を明言
TSMCが米国に抗議文 関税次第でアリゾナ工場「中止の可能性」も
NVIDIAが台湾に本社設立 韓国メディア、AI主導権で焦り「自国企業が下請け転落の恐れ」
日本・パラグアイ・台湾が「3カ国友好レセプション」開催 ペニャ大統領「台湾支持は自国支持と同じ」
「食べ物はどこに?」ガザ封鎖「解除」から3日、支援届かず 200万人が飢餓と空爆の二重苦に直面
AI医療》「透析大国」台湾 AI技術で命を守る最前線へ
【日本ハム】孫易磊を支配下登録 「15勝できる」新庄監督も期待の台湾右腕が即1軍へ
黄仁勲氏と米シンクタンクが警鐘──中国と米国のAI戦争、「極めて僅差」 戦略の違いを徹底分析
台湾・鴻海が仏タレスと半導体工場建設へ 欧州初の先端パッケージ拠点に
台湾は「唯一無二」の生産拠点 TSMCが3カ国の誘致を断った背景とは?
ニューヨーク観察》米国抜きで国際秩序は成り立つか──混乱か、それとも新たな希望か
舞台裏》台湾軍「盲目剣士」作戦は中国軍の攻撃網を破れるか? 印パ戦争の教訓が台湾の空軍・潜水艦・非対称戦略に焦りを与える
インフルエンサー・ゲーム・ショート動画は政府対外宣伝より効果大! 英エコノミスト誌が「ソフトパワー」による「クールチャイナ」実現を分析
論評》台湾・頼清徳総統、就任1周年演説で「中国」への言及避ける 「異例」演説に国内外の注目集まる
「中国大使が行けぬ場所に彼女が立つ」 蔡英文氏、欧州歴訪で台湾の声届ける──国際社会で台湾の存在感を強調
インテルが台湾進出40年》新CEOが宣言「技術重視に回帰」 AI時代へ台湾との連携強化
人気インフルエンサー2人が相次ぎ射殺 ラテンアメリカでフェミサイド深刻化
論評:行政院長・卓栄泰氏、脱原発問題で「的外れ」発言。 電力供給の話ではない!
衛藤征士郎氏「台湾のCPTPP加入を断固支持」 日本政府に国際参加の後押しを呼びかけ
韓国大統領選》残り2週間、李在明が保守派の牙城を突破⁈ “Z世代”1200万票は誰を支持するのか、勝敗の鍵となる恐れ
トランプ氏のTSMC圧力後、「半導体の盾」は台湾を守れるか?独メディア:黄仁勲氏が故郷の安全支持、NVIDIAが台湾の盾新核心に