米軍B-2爆撃機、36時間の極秘作戦に中ロ沈黙 専門家「米軍行動に2つの不可解な点」

2025-06-26 13:00
米軍がB-2ステルス爆撃機7機を動員し、コードネーム「ミッドナイトハンマー」の爆撃任務を遂行、イランの3つの重要な核施設に対して空爆を実施した。(アメリカ太平洋空軍司令部公式サイトより取得)
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​アメリカのトランプ大統領は22日早朝、米軍がイランの重要な核施設3か所を空襲し、7機のB-2ステルス爆撃機による「ミッドナイトハンマー」と呼ばれる爆撃任務が成功したと発表した。作戦は36時間にわたり、911事件以来最長のB-2実戦任務であった。これについて、総合経済学者の呉嘉隆氏はFacebookで、トランプ氏がイランの3つの核施設を爆撃するよう命じたことで、アメリカの軍事力が非常に強大であることを世界に認めさせたが、この件について振り返ると、2つの奇妙さがあると指摘した。

呉嘉隆氏は、今回の米軍によるイランの3つの核施設への爆撃には3つの特徴があると述べた。第一には、長距離攻撃である。B-2爆撃機はアメリカ本土のミズーリ州ホワイトマン空軍基地を出発してイランに飛び、36時間にわたり往復飛行した。第二には、精密攻撃である。重い貫通爆弾が地下核施設の通風口や出入口を狙った。第三には、深層攻撃で、地下90メートルに隠れたバンカーも破壊された。こうした軍事能力は地球上のどの地点でも利用可能であり、中国共産党にとっては不快なものであろう。

トランプ氏、イランとの会談をせずにB-2爆撃機による空襲を直接命令

​呉嘉隆氏は「しかし、よく考えてみると、この件には2つの不可解な点がある」と指摘し、その第一はトランプ氏のスタイルに関するものだと述べた。トランプ氏は「TACO(Trump Always Chickens Out/トランプはいつも腰抜けだ)」という揶揄に対して、行動で反論しただけでなく、イランとの交渉が決裂したうえで攻撃を決断したわけでもなく、最初から交渉そのものを行わずに攻撃に踏み切った。攻撃命令を出した際には「検討には2週間かかるかもしれゥない」と発言しており、これは敵の目を欺くための“陽動作戦”だったとも見られる。特に注目すべきは、イランとの直接的な交渉を一切行わずに、同国のフォルドゥ地下核施設への空爆を命じた点である。

呉嘉隆氏は、トランプ氏が事前に警告を発し、多くの人が彼を狂人だと思っていたが、実際に行動に移す際には交渉さえせず無分別に攻撃するという、西部劇のカウボーイのような行動をとり、対抗者を全く目に留めない様子を見せた。これはビジネスマンらしいスタイルなのだろうか?トランプ氏のこうしたスタイルに誰も事前に気づかなかったのだろうか?少し奇妙ではないか?とも指摘している。

呉嘉隆氏は、4月2日にトランプ氏が対等関税を発表し、中国共産党に報復をしないよう警告したが、結局中国側の報復に対しトランプ氏は対抗し、中国への対等関税を最大125%に引き上げた過程もまた「話し合わずに行動」となった。こうしたスタイルが繰り返され、かつてはトランプ氏をしり込みすると嘲笑されていたが、現在はメディアの理解が不足していることが明らかになっている。 (関連記事: イラン、米国への報復でカタールにミサイル奇襲! ウデイド空軍基地の重要性と、中東における米軍基地の実態とは? 関連記事をもっと読む

呉嘉隆氏は、第二の奇妙な点は、このような遠距離軍事行動で多くの国を飛び越える必要がある中、ロシアや中国共産党の情報と探知能力が全く発見しなかったことだと指摘。これが事件全体の最大の裏に潜む音ではないかと語っている。アメリカ内部の事前の厳密な秘密保持は当然としても、行動が進む中でロシアと中国共産党が完全に蚊帳の外に置かれたのはどうなのだろうか?