陸文浩の視点:中国空母2隻が台湾に接近──「山東」は英国空母の南シナ海入りに備える

2025-06-26 11:50
「山東」はイギリス空母の南シナ海進入に備えている。(AP通信)

シンガポールからの報道によれば、イギリス海軍の空母「プリンス・オブ・ウェールズ」が6月23日にシンガポールへ入港した。同日、中国軍の北部戦区に所属する「遼寧号」と南部戦区の「山東号」空母編隊は、太平洋での遠洋訓練および紅藍対抗演習を終え、それぞれ山東省青島および南シナ海方面へ帰港したとされる。「山東号」は海南省三亜に一足先に帰還し補給を受けており、イギリス空母の南シナ海進入に備え、中国南部戦区の海空兵力が応答する可能性がある。

6月18日から22日にかけて、中国東部戦区はイギリス艦の台湾海峡通過や、頼清徳総統による定例軍事会議開催に反応する形で、海空監視および「聯合戦備警巡」を実施。また、北部・南部戦区の空母編隊もデータリンク通信による協同訓練を行い、運-8哨戒機による情報支援と対潜任務が確認された。

台湾の外交部は6月19日、イギリス海軍の哨戒艦「HMSスペイ」が18日に台湾海峡を通過した件について、航行の自由を実際の行動で示したと評価し、台湾海峡が国際水域であるとの主張を明確に支持する立場を示した。台湾駐在のイギリス事務所も、同艦の行動は国際法に完全に準拠していると表明した。

また、在台イギリス事務所は、イギリス海軍はどの地域でも行動する際、国際法を完全に遵守していると説明した。

イギリス海軍報道官:「HMSスペイの台湾海峡通過は長期計画に基づいたものであり、今回の航行も国際法を完全に遵守している。」

中国「環球時報」は、中国人民解放軍東部戦区がスペイの台湾海峡通過を「公開の扇動」とし、イギリスの行動は破壊行為であり、台海の平和と安定を乱していると報じた。

今回、イギリス艦が台湾海峡を通過した件について、台湾では国防部ではなく外交部が対外発表を行った。こうした対応は極めて異例である。

台湾国防部が6月18日に発表した内容によると、同日、中国の軍用機25機が台湾周辺空域で活動し、そのうち19機が台湾海峡の中線を越えて北部および南西空域に進入した。この動きは、イギリス艦の海峡通過に対する中国側の軍事的反応の一環であるとみられる。また、台湾周辺海域では中国海軍の艦艇7隻が確認されており、通常、中国軍は1〜2隻で中線両側の監視を行っていることから、今回の展開はやや異例と言える。

続いて、6月19日午前6時から翌20日午前0時5分までに、中国軍機50機が台湾周辺の空域で活動し、そのうち46機が海峡中線を越えて北部、西南、東部空域へと進入した。一方で、中国艦6隻が常態的に展開していた。この動きの背景について、台湾側では注視が強まっている。 (関連記事: 陸文浩の視点:中国空母が初めて「第二列島線」突破 硫黄島沖で遠海演習「機動-2025」 関連記事をもっと読む

さらに、6月20日午前6時から21日午前6時にかけては、中国軍機40機が周辺空域に出現。そのうち27機が中線を越えて台湾の中部、西南、東部空域に進入した。20日12時10分の国防部発表では、午前8時50分からの24機による飛行が確認され、スホーイ30戦闘機や空中警戒管制機「空警-500」を含む15機が中線およびその延長線を越えて行動。中国海軍艦艇との「联合戦備警巡」の連携が示唆された。