台湾の頼清徳総統が24日、「選挙やリコールを通じて“不純物”を取り除き、民主主義の鋼の意志を守る」と発言し、国内外で大きな波紋を呼んでいる。これに対し、元立法委員の郭正亮(かく・せいりょう)氏は、同日の政論番組『大新聞大爆卦』に出演し、「頼氏の発言は、中国の習近平国家主席よりも危険だ」と強く批判した。
郭氏は、「共産党が『不純物』という言葉を使ったことはあるが、それはあくまで党内の反腐敗や粛清に限られていた。習近平氏も党外の人間に対してこうした言葉を使ったことはない」と指摘。「民主国家のリーダーが『不純物』という言葉で反対意見を排除しようとするのは異常だ」と訴えた。
さらに、「もし頼氏が民進党内の問題分子に向けてそう言ったのなら理解は得られるかもしれないが、台湾を『民主の灯台』と標榜しながら、政敵を『不純物』と表現するのは民主主義に反する」と非難した。
また、「中共が党内を対象にした粛清とは異なり、頼氏は党外への“整肅”を進めようとしている。それがさらに危険だ」と強調。「民進党内部にも多くの問題人物がいるのに、彼らには手をつけず、思想が違うという理由だけでリコールを仕掛けている」と訴えた。
郭氏は「民主主義や自由の価値を理解している人間であれば、『不純物を排除する』などという発想には至らない」と述べた上で、「頼氏の言動からは、“偉大な頼清徳”を讃えるような社会を作ろうとする発想が透けて見える。今回の発言は、彼の本音が漏れたものだ」と指摘した。
加えて郭氏は、「中華民国の本質は民主制度を守ることにある。つまり、真の『中華民国派』とは、主権国家としての体制を守る者だ」と主張。中広(中華広播公司)の元董事長である趙少康氏の「中華民国を守る」という発言も「反共」ではなく、「国家体制の維持」を意味するものであると解釈した。
さらに、「台湾を守るという点で言えば、台湾人の誰もがすでにその意志を持っている。韓国瑜立法院長も『台湾の家を守る』と語っている。頼氏が言う“台湾派”とは、実質的には“独立派”を指している」と語った。 (関連記事: 台湾・賴総統「反共しない者は中華民国派ではない」 「団結国家」第二講で強調 | 関連記事をもっと読む )
編集:梅木奈実
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