夏珍コラム:「大規模なリコール」が掘り起こした国家安全の脆弱性

2025-06-24 11:43
民進党中央が「市民と共に歩む リコール宣伝三本の矢」を始動し、リコール選挙区での党公職者を結ぶ。(民進党秘書長林右昌のフェイスブックより)
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台湾・大選から1年5カ月が経過した今、与野党は再び動員を強化し、今週末に民進党はリコール(国民党委員)成立の選挙区で同時に「リコール同意投票、反共はより強力」と宣伝する方針を打ち出した。一方で、国民党は北北基で反リコールの大規模なデモを行うと予告。25%の同意と賛成票が反対票を上回る低い閾値に基づき、国民党にとって危機が迫っていると予測される。しかし、この低い閾値が故に、リコール投票が社会分裂や与野党の対立の終着点となることはないと見られる。

罷免不同意、民主才有力

公民が主導するか民進党が動員するかにかかわらず、民進党の総理事連柯建銘が得意気になったり、怒り狂ったりしながら国民党の立法委員を無差別に批判する中、「大リコール」はすでに法理的根拠を失っている。そもそも、リコールは公民が代表を問責する補正メカニズムではあるが、「全リコール」で国会の構造を逆転させることは、問責ではなく、国会の支配権を争うことである。政党間の争いの延長であると同時に、選挙で敗北した者がそれを受け入れずに再度やり直す試みでもある。机をひっくり返した者は興奮するが、机をひっくり返された者が納得することはないだろう。特に、今後リコールされた者の同意票が当選票数に達しなかった場合、支持者の憤りはさらに強まるだろう。

昨年初めの大選が終わり、民進党が大統領選を勝ち取ったにもかかわらず、国会での「敗北」の悪夢を払拭できないでいる。大リコールは「不適任な立法委員の退場」を求めるものだが、ターゲットは藍白の立法委員に絞られている。もし民衆党が全て比例区の立法委員でなければ、柯建銘の狙う「第一リコール」は必ずしも傅崐萁ではなく、黃國昌であったかもしれない。これが、民進党中央が「傅隨組織」を主張し、リコール団体の側翼が「一票三害を除く」と宣伝する理由でもある—選挙区の藍委、傅崐萁、黃國昌の一票当選では三害を除けないが、支持者の憎悪を成功裏に動員することはできる。訴えは基本的に論理に合わず、理性の基礎を欠いているが、リコールの動員は感情に依拠しており、理性ではない。 (関連記事: 「頼清徳政権1年」を振り返るセミナー、早大で開催 日台研究者が警鐘「リコールは政治対立を深める恐れ」 関連記事をもっと読む

藍白の立法委員に対するののしりは、陣営を変えれば、さもなくば緑営へののしりとしてぴったりと合致するだろう。例を一つ挙げると、「憲政を破壊し政を乱す」—無差別の大規模リコールや、立法院の総予算審査結果を受け入れず、地方補助金を大幅に削減して報復することはまさに「乱政」であるとして民進党が藍白政府に対する「政府マヒ」を指摘した時、過去1年半、政府をマヒさせていたのは「大リコール」のみに専念した府院党であった。トランプ政権の第一波関税戦において、卓内閣は大リコールの演説をしていた。司法院大法官人事の追加指名案を立法院に提出したが、同意権は急を要しないものとなった。それに加え、NCC委員の名簿を再提出するも3カ月以上延期されるなど、民進党が国会への監督と牽制を拒み、大法官が民進党の「憲政破壊」の共犯者となる状況が続いている。