イラン、イスラエルに報復空爆 全面衝突とホルムズ海峡封鎖の懸念も

2025-06-23 10:19
イスラエル中部の町がイランのミサイル攻撃を受けた様子。(AP通信)
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米軍がついにB-2爆撃機を派遣してイランの核施設を空爆した後、トランプ米大統領はイランに対し「報復しないように」と要請したが、テヘランは依然としてイスラエル国内の複数箇所への報復攻撃を行った。さらに、イラン外務省は「米軍の核施設空爆はイランへの宣戦布告に等しい」とし、「イギリスとEUのイランへの交渉復帰要求はもはや実行不能である」と宣言した。報道によると、イランによるイスラエルへの最新の攻撃で16人が負傷し、テルアビブの一部の建物が損傷した。しかし、テヘランが米国の中東拠点をいつ攻撃するか、あるいは石油輸送の要所であるホルムズ海峡を封鎖するかはまだ不明である。

トランプ大統領はイランに平和を求めるよう呼びかけ、「さもなければさらなる重い打撃を受けるだろう」と警告した。しかし、イランの外務大臣アッバス・アラーグジは22日、X(旧Twitter)にて「米国の核施設攻撃は永続的な結果をもたらす」と警告し、テヘランは「すべての報復手段を保持している」「イギリスとEUの交渉復帰要求はもはや実行不能である」と述べた。さらにイラン外務省は声明を発表し、「米国がイラン国内の3つの核施設を攻撃したことにより、米国はイランに対して危険な戦争を仕掛けた」「世界は、民族浄化を支持し不法なイスラエル政権を支援した米国を忘れてはならない。これらの攻撃行為は外交手段を裏切った」と主張し、イランは「米国のならず者政権による軍事侵略に対抗し、イランの安全と国益を守るためにあらゆる権利を保持する」と明言した。

イラン国営テレビは、以前に試射した「ホッラムシャフル4」ミサイルの映像を放映し、22日のイスラエルへの攻撃に使用されたと主張している。AP通信は「ホッラムシャフル4」ミサイルがイランのミサイル部隊で最大の搭載量を持つとし、射程距離は2000キロメートルで、1500キログラムの弾頭を搭載可能であると指摘した。また、国際原子力機関(IAEA)のグロッシー事務局長は、米国の介入を受けて23日に緊急会議を開催すると表明した。AP通信によると、イランはグロッシーの矛盾した発言に不満を抱いており、それが先週のイスラエルの空襲行動を引き起こしたとしている。

イランは短距離ミサイルとドローンのみか?

『ガーディアン』紙によれば、イランの報復手段は実際には非常に限られており、リスクが伴う。イラン当局はアメリカの艦船や基地をターゲットにすると述べており、ここ数日間のイスラエル空軍による攻撃は、イランの長距離弾道ミサイルシステムの大部分を破壊したが、イランは依然として豊富な短距離ミサイルとドローンを保有している。中東に駐留する米軍は過去数週間、イランからの攻撃に備え、海軍の配置を分散し、防空システムを強化している。 (関連記事: トランプ氏がイランを攻撃したら何が起こるのか――米専門家が語る最悪のシナリオ 関連記事をもっと読む

「抵抗軸」は存続しているか?

イランが数十年かけて構築した「抵抗軸心」(axis of resistance)——中東各地の民兵と結成した同盟は、この間、イスラエルによって大きな打撃を受けている。例えば、ヒズボラの大規模なミサイル庫は昨年のイスラエル空軍によって破壊され、ヒズボラの幹部も「斬首」と称される攻撃を受けた。また、最近イスラエル空軍はレバノンのシーア派武装勢力を圧制し、今年4月にはベイルートでのミサイル倉庫を空爆した。しかし、ヒズボラの司令官アスカリ氏はCNNのインタビューで、米軍の中東基地は「狩猟場」になると述べ、米国の中東の利益を狙った攻撃を行うと宣言した。