台湾・歩行者優先の意識を高め、「歩行者地獄」との汚名を返上すべく、台湾交通部は本日(19日)、道路交通管理違反事件に関する統一裁罰基準および処理細則の改正を公告した。中でも、横断歩道で歩行者に道を譲らなかった運転者への罰則がさらに強化される。事故により歩行者に軽傷を負わせた場合、罰金は1万8000元(約8万8千円)からに引き上げられ、重傷を負わせた場合は死亡事故と同等に扱われ、一律で3万6000元(約17万7千円)の重い罰金が科される。さらに刑事責任も問われることとなる。これらの改正は6月30日より施行される予定である。
交通部によれば、2023年6月30日に歩行者妨害に対する罰則を強化して以降、同年の死傷者数は498人減少し、死亡者数も380人から366人へと減少した。これにより交通安全に一定の改善が見られたものの、依然として83人が歩行者優先を無視した車両により命を落としており、全体の約2割を占めている。これにより、一部の運転者がいまだに法令に基づいた歩行者優先を守っていない実態が明らかとなった。
交通部は、運転者の「見逃されるだろう」という安易な気持ちを抑制し、歩行者事故の発生を減少させるため、本日、「違反道路交通管理事件統一裁罰基準および処理細則」の改正を公告した。歩行者優先を無視した結果、死傷事故に至った場合の罰則および罰金額を引き上げ、6月30日より正式に施行される予定である。
具体的には、歩行者に道を譲らず軽傷を負わせた場合の罰金は、従来の7200元(約3万5千円)から1万2000元(約5万9千円)の範囲から、1万8000元(約8万8千円)から3万元(約15万円)へと引き上げられる。歩行者に重傷を負わせた場合は、従来の1万8000元(約8万8千円)から3万元(約15万円)ではなく、死亡事故と同等とみなされ、一律3万6000元(約17万7千円)の罰金が科され、さらに刑事責任も問われる。
また交通部は、歩行者に軽傷を負わせた場合の行政処分として、現在は1年間の運転免許停止処分となっているが、今後は1年から2年への引き上げを予定しており、法改正を進めるとしている。さらに、重傷または死亡事故となった場合は、現在の「免許取り消し後3年間の再取得不可」から、「4年から5年間の免許再取得不可」へと処分が厳格化される見通しである。
交通部は、現在の法改正案について、すでに行政院に送付し審査中であることを強調した。審査を経て通過した後、立法院に送付し、今会期中の審議入りを目指すとしている。また、交通部は「人本交通(人を中心とした交通)」の理念がすでに国民全体の共通認識となっているとし、今後も歩行者の安全対策を推進していく姿勢を示した。具体的には、停止線と歩行者横断線の間隔の拡大、人通りの多い交差点における歩行者保護島の設置、歩行者専用信号や歩行者用の青信号を先行して点灯させる「歩行者先行信号」などの対策を講じ、すべての道路利用者にとってより安全な通行環境の整備を進めるとしている。
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