公益財団法人旭硝子財団(東京都千代田区、島村琢哉理事長)は6月11日、地球環境分野における国際的な賞「ブループラネット賞」の2025年(第34回)受賞者を発表した。今回の受賞者には、スタンフォード大学のロバート・B・ジャクソン教授(米国)と、英国の環境活動家であるジェレミー・レゲット博士の2名が選ばれた。

ブループラネット賞は、1992年の地球サミットを機に創設され、地球環境問題の解決に顕著な貢献をした個人または団体に贈られるもので、毎年原則2件が選ばれる。受賞者には賞状、トロフィー、そして賞金50万米ドルが授与される。
土壌生態と温室効果ガス削減に貢献:ジャクソン教授
ジャクソン教授は、森林や草原、湿地といった陸域生態系における炭素循環の研究において世界的に高く評価されている。特に、土壌・植生・微生物群集の相互作用に関する先駆的研究で知られ、化石燃料や自然生態系由来の温室効果ガス(CO₂、メタン、亜酸化窒素など)の排出量を定量的に解析する手法を確立した。2017年からは国際的な研究機関「グローバル・カーボン・プロジェクト(GCP)」の議長として、地球規模での排出削減の取り組みを主導している。
金融と環境をつなぐ実践的アプローチ:レゲット博士
一方のレゲット博士は、気候変動による経済リスクを「カーボンバブル」という形で可視化し、投資家や政策立案者に警鐘を鳴らしてきた。化石燃料関連投資のリスクを評価する「Carbon Tracker Initiative(CTI)」の初代会長として、化石燃料からのダイベストメント(投資撤退)運動を世界的に広げた功績がある。
また、英国の太陽光発電企業の創業者としても知られ、再生可能エネルギーの普及に尽力。近年はスコットランドで「ハイランド・リワイルディング社」の代表として、自然回復と地域経済の共生を目指す活動にも注力している。
授賞式は10月に東京で開催予定
授賞式は10月29日(水)に東京會舘(東京都千代田区)で開催される予定で、受賞者による記念講演会は翌30日(木)に東京大学、11月1日(土)には京都国際交流会館にて開催される予定。環境分野における世界最前線の知見に触れられる貴重な機会となる。
編集:梅木奈実 (関連記事: 台湾・台北市でEVバスが走行中に爆発炎上 日本製バッテリー搭載、けが人なし 市は全車両を3日以内に緊急点検へ | 関連記事をもっと読む )
世界を、台湾から読む⇒風傳媒日本語版X:@stormmedia_jp