「トランプ・モバイル」発表 米製スマホでApple・Samsungに挑戦か

2025-06-17 12:56
全体がゴールドカラーのトランプ携帯が予約開始された。(トランプモバイル公式サイトより)
全体がゴールドカラーのトランプ携帯が予約開始された。(トランプモバイル公式サイトより)
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アメリカ大統領ドナルド・トランプ氏のファミリー傘下のトランプ・オーガニゼーション(The Trump Organization)は16日、通信市場への本格参入を発表し、新しいブランド「Trump Mobile」の携帯電話と無線通信サービスを立ち上げることを告知した。「アメリカ製」と愛国心を前面に押し出し、今年9月から販売開始を予定している。

発表会はニューヨークのトランプ・タワーで行われ、長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏が登壇。価格499ドルのスマートフォン「T1 Mobile」および月額47.45ドルの通信プランを提供すると明かした。このプランは「遠隔医療支援」「ロードサービス」「100か国での無制限SMS」などの機能も備え、保守層の消費者を主なターゲットとしている。月額料金47.45ドルの「47プラン」は、トランプ氏が第45代および現在の第47代大統領であることにちなんだものと見られる。

2025年6月16日、エリック・トランプ、ドン・ヘンドリクソン、エリック・トーマス、パトリック・オブライエン、ドナルド・トランプ・ジュニア(左から右)ニューヨークで「トランプ電信」記者会見に出席。 (AP通信)
2025年6月16日、エリック・トランプ氏、ドン・ヘンドリクソン氏、エリック・トーマス氏、パトリック・オブライエン氏、ドナルド・トランプ・ジュニア氏(左から右)ニューヨークで「トランプモバイル」記者会見に出席。 (AP通信)

「T1 Mobile」スペックと運営体制

公式サイトによれば、「T1 Mobile」は、メモリ12GB、ストレージ256GB、6.8インチAMOLEDディスプレイを搭載し、顔認証・指紋認証、5,000万画素のメインカメラ、1,600万画素の前面カメラ、5,000mAhバッテリーと20W急速充電を備える。OSには最新のAndroid 15を採用している。

トランプ・オーガニゼーションは製造や運営には直接関与しておらず、ブランド名「Trump」のライセンスを提供する形で展開する。これまで同社は不動産、ホテル、ゴルフ場、デジタルメディアなどで同様のブランドライセンス事業を展開してきた。今回も商標管理を行うDTTM Operationsが、「T1」や「Trump」ブランドの通信機器やアクセサリー、店舗などに関する商標登録を米国特許商標庁に申請している。

(トランプ電信公式サイトより)
(トランプモバイル公式サイトより)

なお、端末の製造とサポートセンターはアメリカ国内で行われると発表されたが、アメリカにはスマートフォンの大規模な製造拠点が少ないため、「米国製」の実現可能性については疑問視する声もある。

通信インフラについては、米国内大手通信キャリアであるVerizon、AT&T、T-Mobileと提携し、MVNO(仮想移動体通信事業者)モデルでネットワークを借り受ける形となる。既存のスマホにも対応し、T1購入後すぐにTrump Mobileのサービスが利用できるという。大手3キャリアからのコメントは現時点で出ていない。

トランプブランド、Apple・Samsungへの挑戦?

アメリカのスマートフォン市場ではApple(アップル)とSamsung(サムスン)が圧倒的なシェアを誇り、通信サービスではVerizon、AT&T、T-Mobileの3社で95%以上を占めている。通信分野に詳しいPP Foresightのアナリスト、パオロ・ペスコレ氏は「トランプ・モバイルのビジネスモデルやキャリアとの協業内容はまだ不透明で、今後の展開には多くの不確実性がある」と指摘する。

トランプ家はこれまで不動産、ホテル、高級ゴルフ場を主軸としながら、近年はSNSや暗号資産といった分野にも進出。今回の通信分野参入も、保守派向けの「パラレルエコノミー(並行経済)」構築の一環とみなされている。Trump Mobileの公式サイトはすでに公開されており、T1スマホは8月に予約開始、9月に正式発売となる予定だ。

アメリカ国内で飽和状態かつ競争の激しい通信市場において、トランプブランドがどこまで通用するのか、今後の動向が注目される。

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