台湾前総統の馬英九氏は、馬英九基金会の「大九学堂」メンバーを率いて中国を訪問し、「海峡フォーラム」に出席した。6月15日には全国政治協商会議主席の王滬寧氏と初めて会見し、中国5,000年の歴史における「合久必分、分久必合(長く続いた統一はやがて分裂し、分裂が長引けばまた統一される)」という考えを語った。
馬氏は過去2年で中国を3度訪れており、今回の訪問を通じて両岸の民間交流、特に若者同士の対話の重要性を再確認したと述べた。台湾では、大陸から来た学生や教員が温かく受け入れられており、これに対する双方の反応も良好だという。こうした民間交流が、いかなる力でも切り離せない友情の証であると強調した。
今回の訪問は6月14日から27日までで、福建省と甘粛省を回る予定だ。馬氏にとっては2023年以降、今回が中国訪問4回目となる。出発前の台湾桃園空港では、「両岸の若者が学び合い、理解し合う機会をつくることで、平和的な発展を後押ししたい」と語った。
馬氏ら一行は14日午後に厦門に到着し、インターコンチネンタルホテルに宿泊。随行者には、中国側から潘賢掌・国務院台湾事務弁公室副主任、台湾側からは新党の呉成典主席、国民党の林祖嘉・大陸事務部主任、民衆党の張凱鈞・党中央委員らが含まれている。
王滬寧氏は「尊敬する馬英九氏」と呼びかけ、今回が初対面であることを明かした上で、海峡フォーラムが両岸の民間交流の拡大と融合発展の深化において重要なプラットフォームであると述べた。
また、馬氏が「中華民族の一体感を持ち、九二コンセンサス(※1992年の合意)を堅持し、台湾独立に反対する立場を明確にしている」と評価した。さらに「民族統一と復興を願う台湾の人々にとって、馬氏の行動は模範的だ」とも語った。
王氏は、馬氏がこの3年間で4度にわたり中国を訪れ、青年交流や中華文化の普及に尽力していることに触れ、「両岸交流の障害を乗り越える象徴的存在」だと称賛した。馬氏は会見で、現在の両岸関係が不確実であり、挑戦に直面していることを認識したうえで、「こうしたときこそ、理性と冷静さを保ち、対話と交流を通じて理解を深める努力が求められている」と語った。
また、中国5,000年の歴史に根ざす「合久必分、分久必合」の考えに触れ、「台湾の人々は、両岸が『和』と『合』の方向に進むことを望んでいる」と述べた。さらに、今年5月以降の世論調査では、多くの台湾人が両岸の平和と協力を支持し、「両岸は同じ民族である」との認識が主流になっていると説明した。
馬氏は、1992年に両岸がそれぞれの表現で「一つの中国」原則を認めた合意について、歴史とそれぞれの法律の整合性にかなっており、人民の利益と福祉を重視するものであると評価した。
そのうえで、「九二コンセンサスに基づいて台湾独立に反対し、協力関係を深めていきたい」と語り、対立を交流に、衝突を対話に置き換えるべきだと強調。戦争の可能性をすべて排除し、中華民族の振興をともに目指すことが、両岸の未来に安全と繁栄をもたらすと述べた。
また、両岸の民間交流の重要性についても再度触れ、特に若者たちが広い視野を持ち、文化を通して中華文化の本質や民族としての一体感を育むことができると述べた。
今回の旅の目的については、「福建の歴史や産業を知ることに加え、顔を合わせて交流することで両岸の緊張緩和を図りたい」と述べ、今後は甘粛省の天水や敦煌などを訪問し、中華文化の発信に共同で取り組む予定であると明かした。
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