評論》民主が台湾独立に自由を与え、台湾独立は民主の自由を没収しようとしている

2025-06-05 12:22
頼清德総統(前中央)は、側近が共諜事件に巻き込まれる国安会秘書長の呉釗燮氏(前右)に手も足も出せず、国会の制衡を敵とみなす。(資料写真、柯承惠撮影)
頼清德総統(前中央)は、側近が共諜事件に巻き込まれる国安会秘書長の呉釗燮氏(前右)に手も足も出せず、国会の制衡を敵とみなす。(資料写真、柯承惠撮影)
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大規模なリコール運動が目前に迫る中、罷免運動の主導者である曹興誠氏が発言を強めている。曹氏は、国民党の立法委員・徐巧芯氏を「妖女」と非難し、また国民党の傅崐萁・党団総召をはじめとする17人の立法委員が北京で王滬寧氏と面会したことについて、「国家を売り、敵に通じた大罪だ」と厳しく糾弾した。さらに「台湾人が納税者の金で共産党を養うことなど断じて許されない」と訴えた。こうした曹氏の発言は大きな衝撃を呼んだが、皮肉なことに、実際に納税者の資金が中国共産党に流れるような構造を作っているのは民進党の高官であるとする見方もある。その「高官」とは、国家安全会議の呉釗燮秘書長で、現在も職を維持しているばかりか、頼清徳総統が自ら召集人を務める「全社会防衛レジリエンス委員会」の副召集人3人のうちの1人でもある。

李俊俋氏が「大規模リコール運動」の象徴的な犠牲となったのは、決して不当ではない。

愛犬のトリミングのために公用車を使用し、批判を浴びて辞任した前監察院秘書長・李俊俋氏と比較すると、民進党の「ダブルスタンダード」がいかに深刻かが浮き彫りになる。まるで「中国のスパイ行為よりも犬のトリミングの方が国家安全にとって深刻」と言わんばかりの対応だ。李俊俋氏に非があることは確かだ。過去には公用車の私的利用により、汚職(公有財産の横領)で有罪判決を受けた前例があり、使用した燃料費が数百元から数万元であったとしても、監察院が処分を求め、公務員懲戒や職務停止に至ったケースも存在する。つまり、監察院の秘書長という立場上、公用車の使い方を知らなかったとは言い訳にならない。李氏側は「監察院の業務費が削減され、燃料代は自己負担だった」と説明しているが、問題は燃料費だけではなく、公用車には運転手が付き、公的資源を私的に利用すること自体が問題視される。李氏を含め、私的利用で規律委員会に送られた3人の監察委員はいずれも、公用車の運転手をまるで私用の使いのように扱っていた。たとえ軍の勤務兵であっても、私用に従事させることは許されない。李俊俋氏が「社会的イメージ」を重く見て辞任したことは、決して不当ではないと言える。 (関連記事: 国民党リコール全敗 朱立倫だけが悪いのか?黄光芹氏が統計で異議 関連記事をもっと読む

もし李俊俋氏の過ちは「社会的イメージが悪すぎて、大規模リコール(大罷免)の勢いを損なった」ことにあるとするなら、だからこそ象徴的な「生け贄」となったのだとすれば、中国スパイ事件(共諜案)はリコール運動にとって打撃ではないのだろうか。忘れてはならないのは、「抗中保台(中国に抗い台湾を守る)」こそが、民進党がリコール運動を推進する際に掲げたスローガンであり、罷免派が国民党の立法委員に貼ったレッテルは「中国共産党の協力者(中共同路人)」、その目的は「立法院の一掃」だったという点だ。実業家の曹興誠氏の言葉を借りれば、立法院で中指を立てたり、罵倒、暴行、噛みつき行為は「政治的死刑(リコール)」に値する「死罪」ではなく、訪中して王滬寧氏と会い、「帰国後に憲政を破壊し、国家を崩壊させようとすること」こそが「死罪」なのだという。曹氏はこうした主張で痛烈に批判するが、実際には徐巧芯氏は傅崐萁氏率いる訪中団には参加していないという事実には一切触れようとしない。

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