貧困から頂点へ、李在明氏が韓国大統領に就任 内乱克服と経済再生を誓う

2025-06-04 16:02
2025年6月4日未明、韓国の共に民主党大統領候補、李在明氏が国会議事堂前で勝利演説を行った。(AP通信)
2025年6月4日未明、韓国の共に民主党大統領候補、李在明氏が国会議事堂前で勝利演説を行った。(AP通信)
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韓国で3日に行われた大統領選挙は、4日午前1時20分時点で80%の票が開票され、共に民主党の大統領候補、李在明(イ・ジェミョン)氏が48.37%の支持率を獲得。金文洙(キム・ムンス)氏の42.93%と李俊碩(イ・ジュンソク)氏の7.64%を上回り、リードしている。勝利が確実となった李在明氏は4日未明に勝利演説を行い、「国民から与えられた銃で国民を脅かし、軍事クーデターを起こすことは断じて許さない。全力を尽くして経済を活性化し、国民生活を回復させる」と訴えた。

韓国で3日に行われた第21代大統領選挙は、4日未明に開票が終了し、「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)氏が49.42%の得票率で当選した。対立候補である「国民の力党」の金文洙(キム・ムンス)氏は41.15%、改革新党の李俊錫(イ・ジュンソク)氏は8.34%にとどまった。

中央選挙管理委員会は4日朝、全体会議を開いて投票結果を正式に承認し、李在明氏を第21代大統領に確定。同日午前6時21分、代理大統領を務めていた李周浩(イ・ジュホ)副首相兼教育部長官から大統領権限が引き継がれた。

李氏は当選確実が伝えられた後、ソウル・汝矣島の民主党本部で花束を受け取り、市民に両腕を掲げて挨拶。「最優先任務は内乱の克服だ。国民から与えられた銃で軍事クーデターを起こすような行為は断じて許されない」と述べた上で、「経済の活性化と国民生活の回復に全力を尽くす」と力を込めた。

貧しい家庭出身の新大統領

​聯合ニュースによると、李在明氏は、韓国北部の慶尚北道安東で開拓農家の家庭に生まれ育った。本人も「銀のスプーンどころか木のスプーンすら持っていなかった」と語るほどの貧困生活を経験。幼少期には、市場で腐った果物を拾って食べ、母親は市場の公衆トイレの掃除やトイレットペーパー販売で生計を支えたという。5男2女の5番目として育ち、姉2人は幼い頃に亡くなっている。

2025年6月4日凌晨,韓国共に民主党大統領候補である李在明が国会議事堂外で勝利演説を行っている。(AP通信)
2025年6月4日未明、韓国の共に民主党大統領候補、李在明氏が国会議事堂前で勝利演説を行った。(AP通信)

小学校へは山道を5キロ歩いて通い、卒業後は京畿道城南市に移住。進学を諦めて6年間、児童労働に従事した。時計工場では塗装作業中に嗅覚障害を患い、野球用グローブ工場では左腕をプレス機に挟まれ骨折。以降、左腕は曲がったままとなった。過酷な労働環境から抜け出すため、独学で高校卒業認定試験を受けた。

その後、奨学金を得て1982年に中央大学法学部へ進学。人権弁護士として活動を始めた。本人によれば、人生の目標は「いじめられない」「貧しさから抜け出す」「自由に生きる」の3つだったという。

政界入り後は、城南市長や京畿道知事などを歴任。2022年には尹錫悦(ユン・ソンニョル)氏との大統領選に敗れたが、野党第一党「共に民主党」の党首として再起し、今回の選挙で再び大統領選に挑んだ。国会議員選挙でも党を勝利に導き、政権交代を果たした。 (関連記事: 韓国・大統領補欠選挙で李在明氏が当選確実 尹政権の弾劾受け緊急実施、政治混乱に終止符へ 関連記事をもっと読む

李在明時代が今日から始まる

聯合ニュースによれば、今回の選挙で李氏が勝利した背景には、尹錫悦政権や「国民の力党」に対する国民の審判という側面があったとされる。李氏は「即戦力の大統領」という評価を受けており、今後5年間は、与党が国会過半数を占める体制で政策を進めていくことになる。共に民主党は現在、300議席中171議席を有している。

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