安倍昭恵さんが2日、東京で開催された日本李登輝之友会のイベントに出席した。会場では「AI李登輝」による『千の風になって』の歌唱が上映され、多くの来賓が感動。安倍氏も涙を見せた一人だった。
昭恵さんは現在、友人に「AI安倍晋三」の制作を依頼しており、将来的に「AI李登輝」との対話が再現されることを楽しみにしていると語った。
李登輝基金会の会長・李安妮氏と安倍昭恵さんは、今年3月に日本李登輝之友会(通称・李友会)の名誉顧問に就任。この人事はイベント当日、会員に向けて発表された。
李氏の誕生日は6月9日で、奇しくも安倍夫妻の結婚記念日と同じ日。昭恵さんの誕生日はその翌日の6月10日である。李氏は、「この偶然に気づいたのはここ2年のこと。年齢は12歳違うけれど、干支はどちらも午(うま)で、自然と“姉妹”のような関係になった」と語った。
昭恵さんもまた「縁」を信じており、「義母の安倍洋子さんの誕生日は6月14日で、アメリカのトランプ大統領と同じ日なんです」とエピソードを補足した。
昭恵さんは5月29日にモスクワを訪れ、ロシアのプーチン大統領と会談。このニュースは日本国内でも大きな注目を集めた。会見の様子はロシア国営テレビでも報道され、生前の安倍晋三氏とプーチン氏の関係の深さがあらためて強調された。
注目されたのは会見場所にもあった。使用された部屋は、フランスのマクロン大統領やドイツのショルツ前首相らとの会談でも使われたことがある。また、昭恵さんを迎えた高級車「Aurus(アウルス)」は、かつてプーチン氏が北朝鮮の金正恩氏に贈ったモデルだった。
滞在中、昭恵さんは有名なボリショイ劇場も訪問。ここは2018年、安倍晋三氏とプーチン氏が互いの国を「国家年」として文化交流を促進するために選ばれた象徴的な場所だ。昭恵さんはこれまでにも、故・安倍晋三氏にゆかりのある場所を訪れている。アメリカのトランプ夫妻と訪れたマール・ア・ラーゴ、モンゴルの日本人慰霊碑などがその例である。

ロシアから帰国後、昭恵さんは加賀市を訪問。4選を目指す親台湾派の市長・宮元陸氏の選挙活動を応援した。加賀市は台南市と友好都市関係にあり、「日台共栄首長連盟」の発足地でもある。宮元氏はその会長を務めている。午後には李友会のイベントに再び出席し、夜にはNSO(国立交響楽団)の音楽会への参加も予定されていた。
イベントでは李安妮氏が「デジタル李登輝」の開発状況について報告し、「AI李登輝」による対話映像が上映された。
「AI李登輝」は中国語・台湾語・日本語・英語の4カ国語で自己紹介。長年李登輝氏の秘書を務めた早川友久氏は、「まるで過去の音声を再生しているかのような完成度だった」と驚きを口にした。一方で、「千の風になって」の歌唱については、李安妮氏が「すぐAIだと分かる。父はよく音を外していたから」と笑いを誘い、涙ぐんでいた安倍昭恵さんを笑顔に変えた。
昭恵さんは、現在若者たちが「安倍デジタルミュージアム」プロジェクトを進めていることを紹介。AI安倍晋三については「まだ始まったばかりで完成は見えないが、AI李登輝との対話が実現する日を楽しみにしている」と語った。
かつて李登輝氏との直接の面識はなかったが、若い頃に安倍晋三氏と台湾を訪れた経験があるという。安倍氏の死後も台湾をたびたび訪れており、そのたびに李安妮氏が「家族のように」迎えてくれると述べた。
また、「李登輝氏は、日本人以上に日本人らしい方だった」と評し、「日本李登輝之友会の名誉顧問として、より多くの日本人に李登輝氏のことを知ってもらいたい」と語った。昭恵さんにとって台湾は「もう一つの故郷のような存在」だという。
李安妮氏は昭恵さんに、離れがたい姉妹の絆を象徴する「ダブルリング」のネックレスをプレゼント。昭恵さんは、安倍晋三氏と李登輝氏の共演写真がプリントされたグラスを贈り返した。
それぞれの贈り物には、日台関係、そして世界への貢献への敬意が込められていた。
編集:田中佳奈
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