5月18日、スイスのジュネーブで第79回世界保健機関総会(WHA)が正式に開幕したが、台湾は再び会場外での待機を余儀なくされた。総会は最終的に「台湾をオブザーバーとしてWHAに参加させる」との提案を議題に組み込む要請を却下し、台湾は10年連続でWHAから除外される結果となった。
11の国交締結国が提案、50カ国以上が支持表明 外交力がかつてなく結集
今期のWHAに向け、台湾側は膨大な外交資源を動員した。台湾外交部(外務省に相当)によると、世界保健機関(WHO)の加盟国である11の国交締結国が一致して、台湾のオブザーバー参加を求める提案をWHO事務局に提出し、今期総会の追加議題として取り上げるよう求めた。また、グアテマラやセントクリストファー・ネイビスなどの国交締結国の議会も、親台湾の決議を採択し、多様な形で支持の声を上げた。
国際社会からの支持の声も明らかに高まっている。50カ国を超える行政機関や立法機関が台湾支持を公に表明した:
- 英国:外務省が、台湾の国際機関への有意義な参加を支持する立場を継続的に対外発信している。
- スウェーデン:外相のマリア・マルメル・ステネルガルド(Maria Malmer Stenergard)氏は議会質疑に対する書面答弁で、台湾の有意義な国際参加を強く支持すると再三強調し、理念を同じくする他の国々と連携してWHO事務局に働きかけている。
- 欧州連合(EU):組織の規則や慣例に反しない範囲において台湾の国際体系への参加を認めるべきだと公言し、中国が持ち出す「一つの中国」原則には国際的なコンセンサスが存在せず、EUもこれを承認または採用したことはないと明確に指摘した。
- 米国:国務省が今年1月にWHOから脱退したものの、国連駐在米国代表のマイケル・ウォルツ(Michael Waltz)氏は、台湾の国際機関への有意義な参加を支持する姿勢を堅持し、中国側が国連総会第2758号決議を意図的に誤用していると非難した。
さらに、親台国の国会議員や「世界医師会」などの国際医療団体も相次いでWHO事務局長に書簡を送り、台湾を速やかにオブザーバーとしてWHAに招待するよう要請した。
外交史上初、林佳龍氏が石崇良氏を伴いジュネーブの最前線へ
今回のWHAでは、かつてない外交行動が見られた。台湾外交部長の林佳龍氏が自らジュネーブに赴き、WHA開催直前に現地入りした史上初の台湾外相となった。また、台湾衛生福利部長(厚生労働相に相当)の石崇良氏も同行し、両氏は共同で国交締結国代表団との昼食会や外交レセプションを主催し、友好国に直接謝意を伝え、台湾の存在感をジュネーブに刻むことに尽力した。
(関連記事:
台湾の民間団体、WHO加盟を要請 ジュネーブで23年連続アピール
|
関連記事をもっと読む
)
林氏は関連行事において、台湾がWHOに参加できない主な原因は中国の外交的圧力によるものであり、単なる医療保健の課題にとどまらず外交問題でもあると指摘。「台湾がWHOに参加できないことは不公平であり、同時に世界の損失でもある。中国は自他ともに利益をもたらさない行為をしている。新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック期間中における台湾と中国の対応は、最良の対比である」と強調した。
一方、石氏は「中国がWHOに対して強大な影響力を持っていることは事実だ。しかし、WHOが依然として世界で最も重要な保健医療の交流プラットフォームであり、その重要性は現時点で代替不可能であることも否定できない。だからこそ、台湾はオブザーバーまたは加盟国としての参加を引き続き積極的に求めていく必要がある」と述べた。
パラオとパラグアイが擁護、第2758号決議の援用は「国際法の歪曲」と痛烈批判
総会での「二対二の討論」において、反対派に回ったのは依然として中国とパキスタンであった。中国代表は国連総会第2758号決議およびWHA第25.1号決議を理由に、台湾の参加阻止を主張し、パキスタンも中国に同調して「一つの中国」原則を支持した。
パラオ共和国副大統領兼保健相のレイノルド・オイロウチ(Raynold Oilouch)氏は発言のなかで、国連総会第2758号決議およびWHA第25.1号決議のいずれも台湾について言及しておらず、台湾の地位を決定づけるものでもなく、またいかなる政府にもWHOの枠組みで台湾を代表する権限を与えていないと強調した。同氏は、台湾の国際参加を阻むためにこれらの決議を援用することは、「国際法の意図的な歪曲かつ誤用である」と厳しく指摘した。
さらにオイロウチ氏は、グローバルヘルス・ガバナンスにいかなる空白も許されず、台湾を含む能力があり責任あるパートナーを排除することこそが、その空白を生み出すと訴えた。台湾が先進的な公衆衛生の専門知識と充実した医療体制を有しており、その実質的な参加は世界の保健体制を弱めるどころか、むしろ強化するものであると強調した。
パラグアイ厚生福祉省保健管理・監督次官のホセ・オルテラド(Jose Ortellado)氏は、COVID-19を例に挙げ、台湾が当時迅速に早期検知メカニズムを構築し、疫学監視を強化したうえで、多くの国々と防疫の経験を共有した実績に言及。責任ある極めて有効なパートナーとしての役割を十分に果たしたと評価した。同氏は、世界が最も協調と協力を必要としている今、台湾をWHOから排除し続けることは「とりわけ時代錯誤」な決定であると語った。
しかし、国交締結国の懸命な訴えにもかかわらず、総会議長は最終的に台湾の議題を今期の議案に組み込まないとの裁定を下した。
中国側「台湾に参加の『権利』なし」、国台弁は「行き止まり」と威嚇
総会が決定を下した後、中国外務省は直ちに、「中央政府」の同意がない限り、台湾にはWHAに参加するいかなる根拠、理由、権利もないと主張した。中国国務院台湾事務弁公室(国台弁)も、台湾が目論むいわゆる突破口は「行き止まりである」と牽制した。
これに対し台湾外交部は、国連総会第2758号決議およびWHA第25.1号決議はいずれも台湾に言及しておらず、これを根拠に台湾の国連体系やその他の国際機関への参加を排除することはできないと改めて反論した。さらに、WHO事務局に対しては専門性と中立性を厳格に守り、政治的干渉を排除して、台湾がオブザーバーとしてWHAやWHOの各種専門的会議および活動に参加し、世界の公衆衛生に貢献できるよう道を開くべきだと求めた。
台湾は2009年から2016年にかけて、オブザーバーとしてWHAに参加し、その貢献は国際的に高く評価されてきた。しかし2017年以降は参加を拒まれ続けており、現在に至るまで10年が経過した。この高い障壁を前に、台湾は同盟国を広範に募り、自ら積極的に働きかける道を選び、ジュネーブをはじめとするあらゆる国際的な舞台で声を上げ続けている。