日本での永住許可申請の要件が厳格化される中、就労ビザ(在留資格)で最長となる「5年」の在留期間をどのように取得するかが、多くの外国人労働者の関心事となっている。「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ437人を対象とした調査で、在留期間を左右する主な要因が、企業規模のほか、現職での勤続年数、給与の伸び、日本語能力、雇用形態、転職のタイミングであることが明らかになった。
日本の就労ビザで付与される在留期間(主に1年、3年、5年)は、日本で働く外国人にとって重要な関心事の一つだ。特に一般的な就労ビザである「技術・人文知識・国際業務(技人国)」の場合、期間の長短は生活の安定だけでなく、将来の永住許可申請や転職などの中長期的なキャリア設計にも直結する。
初回申請は企業条件が鍵、上場や設立年数が影響
調査によると、初回のビザ申請時において、出入国在留管理庁(入管)が重視する要因の一つは所属企業の条件だ。
梁氏によると、初回申請で5年の在留期間を取得した人のうち、上場企業に勤務する割合は33.5%、従業員1000人以上の企業は30.4%に上り、初回で1年を取得した層を大きく上回った。
データを見ると、在留期間との関連性が強い企業条件として、企業規模、上場の有無、設立年数、外国人従業員数が挙げられる。従業員100人以上の企業では5年の取得率が71.8%に上昇し、上場企業では78.4%と、非上場企業(48.5%)を大きく上回った。
設立年数による差も顕著だ。設立1〜3年の企業では5年取得率がわずか20%にとどまる一方、11年以上の企業では60%を超えた。さらに、外国人従業員が51人以上の企業では取得率が72%に達し、0人の企業の39%を上回った。これについて梁氏は、企業側が外国人の雇用やビザ申請の手続きに精通しているかどうかが関係している可能性があると分析している。
一方、外資系企業か日系企業かという点自体は主要な要因ではないという。梁氏によると、同等の規模であれば、外資系と日系で在留期間に与える影響にほとんど差は見られなかった。
個人条件の影響、日本語能力N1は間接的な要因か
もっとも、梁氏は「入管の審査においてN1保持が直接加点されているとは限らず、間接的な効果である可能性が高い」と指摘する。N1保持者は大企業や上場企業など安定した職場に就職しやすく、結果として5年の在留期間を得やすくなっているとの見方だ。
学歴についても同様の傾向がみられる。一定規模以上の企業に入社した場合、日本の学歴と海外の学歴の差は縮小するという。日本の学歴が持つ優位性は、審査での直接的な加点というよりも、日本の労働環境に適応しやすいという側面が大きいとみられる。
雇用形態で明確な差、派遣社員の5年取得率は19%
日本語能力や学歴に加え、雇用形態による差も無視できない。
調査によると、派遣社員の5年取得率はわずか19%で、正社員と比べて40ポイント以上の開きがあった。雇用の安定性が、在留期間を判断する上で重要な指標となっていることがうかがえる。
ただし梁氏は、今回の調査では派遣元と派遣先の企業規模を細分化しておらず、有期雇用か無期雇用かの区別もしていないと説明。派遣社員の5年取得率が低い背景については、さらなる調査が必要だとしている。
1年・3年からの更新、5年取得への準備と対策
現在1年または3年の就労ビザを持つ外国人が、更新時に5年を取得するためには、現職での勤続年数と年収が最大の鍵となる。
梁氏によれば、現在1年の在留期間を持つ人にとって最も有効な方法は、現職で3年以上勤務することだ。調査では、現職での勤続年数が3年を超えると5年取得率が明確に上昇し、3年未満の人と比べて約20ポイント高くなった。
すでに3年の在留期間を持つ人にとっては、年収400万円を超えるかどうかが重要な分水嶺となる。在職1年以上かつ年収400万円以上の層では、5年に到達する割合は約74%に達している。
更新に向けた優先順位として、梁氏は「まず現職での勤続年数を3年以上に伸ばし、同時に年収を400万円に近づけること」を推奨する。その上で余裕があれば、日本語能力をN2からN1に引き上げ、その後従業員100人以上の規模の企業への転職を検討するのが望ましいとしている。
転職自体はマイナスにならず、重要なのは「更新のタイミング」
多くの外国人労働者が「転職はビザ更新に不利になる」と懸念しているが、調査結果によれば、転職そのものが必ずしもマイナス要因になるわけではない。
梁氏の分析では、2回までの転職であれば明確な悪影響は確認されなかった。調査対象者のうち、転職回数が2回の人の5年取得率は65.6%で、転職したことのない人(57.2%)を上回った。ただし、3回以上の転職となると取得率は40.9%に低下するため、更新申請時に自らのキャリアパスを論理的に説明することが求められる。
すなわち、転職自体が問題視されるわけではなく、申請者が審査官に対し、キャリアの連続性を明確に示せるかが問われる。可能であれば、新しい職場で基盤を固めてからビザ更新を迎えるのが理想的だという。
永住申請の要件厳格化、5年ビザの重要性が増す
今回の調査が注目を集める背景には、日本における永住許可制度の変更がある。出入国在留管理庁は永住許可に関するガイドラインを改訂しており、今後は「最長の在留期間をもって在留していること」という要件がより厳格に適用される。技人国の在留資格において、最長の在留期間は原則として5年であるため、5年の期間を取得できるかどうかが永住申請の計画に直結することになる。
ただし、現行の経過措置には留意が必要だ。2027年3月31日までは、3年の在留期間を持つ場合でも「最長の在留期間」の要件を満たすとみなされる。また、同日時点で3年の在留期間を保有し、その期間内に永住許可申請を行った場合も経過措置の対象となる。
つまり、現在1年または3年のビザで将来的に永住を希望する人は、早い段階から自身のキャリアやビザの条件を見直すことで、将来の不確実性を減らすことができる。
シミュレーターで現状確認を
ただし、最終的な在留期間は入管が個別に総合判断するため、シミュレーション結果が実際の審査結果を保証するものではない。現在1年または3年のビザを持ち、将来的な永住申請を視野に入れている人にとって、所属企業の規模や年収、日本語能力、雇用形態、転職状況を客観的に見つめ直すための参考ツールとして活用できる。
期間1年は「失敗」ではない、キャリア構築による改善が可能
梁氏は、「1年の在留期間を付与されたからといって、申請者自身の能力が劣っているわけではない」と強調する。多くの場合、最初のビザ期間は就職先企業の属性を反映しているに過ぎないという。もちろん、好条件の企業に入社できるかは個人の実力も関係するが、出発点が理想的でなくとも、転職や正社員登用、年収の増加、現職での経験蓄積を通じて、段階的に在留期間を延ばしていくことは可能だ。
この調査は、ビザの計画が本質的にキャリア設計と密接に結びついていることを示唆している。1年や3年から5年へと期間を延ばすためには、更新直前に焦るのではなく、企業規模、雇用形態、給与水準、勤続年数、今後のキャリアパスを日頃から意識しておく必要がある。
FAQ:日本の就労ビザ期間に関するよくある質問
Q1:日本の就労ビザは何年取得できるのか?
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の場合、一般的な在留期間は1年、3年、5年となっている(制度上は3カ月もある)。実際の付与期間は、申請者の職務内容、所属企業の規模、雇用の安定性、給与条件、日本語能力、過去の在留歴、キャリアの状況などを総合的に判断して決定される。
Q2:初回申請時、なぜ企業規模が期間に影響するのか?
調査によれば、入管は初回申請時において所属企業の安定性を重視する傾向にある。上場企業や規模の大きな企業、設立年数の長い企業、さらに外国人従業員が多くビザ申請の手続きに習熟している企業ほど、長期間のビザが交付されやすい。
Q3:1年・3年のビザから5年に更新するためには何が必要か?
現在1年ビザの場合、優先すべきは現職での勤続年数を伸ばすことだ。とくに現職での勤続3年がひとつの目安となる。現在3年ビザの場合は、年収400万円を超えるかどうかが重要な分岐点となる。調査では、在職1年以上かつ年収400万円以上の人の5年到達率は約74%となっている。
Q4:日本語能力試験(JLPT)のN1を持っていれば5年を取得しやすいか?
調査では、N1保持者の5年取得率は60.5%と、N2保持者を17ポイント上回った。ただし、N1が審査で直接加点されているというよりは、N1保持者が大企業や安定した職場に入社しやすいため、間接的に5年の取得確率が高まっていると推測される。
Q5:転職はビザの更新に悪影響を及ぼすか?
転職そのものが直ちにマイナスになるわけではない。調査によれば、2回までの転職は5年取得率に明確な悪影響を与えなかった。しかし、転職が3回以上の場合や、転職から1年未満で更新を迎える場合は、自らのキャリアの連続性や転職の理由を積極的に説明する必要がある。
Q6:2027年以降、永住許可申請には必ず5年ビザが必要になるのか?
最長在留期間が5年と定められている在留資格(技人国など)においては、2027年4月以降、原則として5年の在留期間を保有していなければ、永住要件の一つである「最長の在留期間をもって在留していること」を満たさなくなる。ただし、2027年3月31日までに3年ビザを保有している場合は条件を満たすとみなされる。また、同日時点で3年ビザを保有し、その期間内に初めて永住許可の審査を受ける場合にも経過措置が適用される。